過去の積み重ねから
つくられる家主の脳裏を
のぞくようなレイアウト

a person sitting in a chair
Jumpei Seki
この日の着こなしはサンリミットのシャツに、ヤエカのチノパン、エルエルビーンのジャケットを合わせたトラッドなスタイル。足元はエンダースキーマのスニーカーを模したレザーシューズ。

オンラインギフトサービスの「ギフティ」をはじめ、企業のクリエイティブを数多く手がける長谷川踏太(はせがわ とうた)さん。高校卒業後に渡英し、一旦帰国した後デンマークへ移り、そこから再びロンドンへ。世界を渡り歩くグローバルな経歴の持ち主です。現在は日本を拠点に活動しながら、ロンドンのクリエイティブ集団「tomato」にも唯一の日本人メンバーとして所属しています。

また、武蔵小山で「same gallery」を運営し若手アーティストの支援を行うなど、活動の場は多岐にわたります。ちなみに2020年に開催され話題になった「盗めるアート展」を仕掛けたのもこのギャラリー。

a man sitting on a couch
Jumpei Seki
きれいなシャツに、チノパンに眼鏡が長谷川さんの定番。「夏にパンツがチノのショーツに変わるくらいで、ベースのスタイルは変わりません」と言います。

クリエイティブの最前線で活躍している長谷川さんの住む自宅は、きっとショールームのようなコンセプチュアルな部屋なのかと思いきや、返ってきた答えは意外なものでした。

「あまり、部屋づくりのコンセプトというものを意識したことはないですね。どちらかと言うと、今まで自分が生きてきた過程で集まってきた持ち物や趣味など、過去からの蓄積が今の部屋になっていると思うので。あとは、『常に感覚をアップデートというか変化させておかないと』とは思っています」

そう言って見せてくれたのは、中国・唐の時代の陶器。

「若い頃は、自分の感覚で好きなものを選んでいました。ですが、40代になったぐらいからかな、今までの価値観にはないものを積極的に勉強して取り入れ始めて、そうしてたどり着いたのがこの時代の骨董品でした。広く浅くということはないのですが、ある程度の深さまでいって次の興味に移っていくというのを繰り返していく…。それが自分の仕事にも生きているのかなとも思います」

その言葉どおり、骨董品やバンクシーの作品など時代もジャンルもさまざまなものが不思議と調和がとれた状態で並ぶ様は、過去からの蓄積と呼ぶにふさわしい長谷川さんにしか表現できない部屋づくりです。

シャツとチノパンでつくられる
知的でクリーンなスタイル

a closet full of clothes
Jumpei Seki
白やストライプなどトラディショナルなシャツが、ワードローブの基本。ユニフォームのような感覚でそろえているそう。

「高校生の頃はアメ横で服を買っていた」という長谷川さんのスタイルは、一見プレッピーのようにも感じますが、特にルールに沿った着こなしを考えているわけではないそう。デイビッド・ホックニーやアンディ・ウォーホルなどアーティストの着こなしを若い頃に見ていて、『自分も年取ったらこういう格好したい』とかは思っていました」

普通のおじさんのようなスタイルを独自のセンスでひねった、絶妙なバランスが洒落ています。

「今日も着ているサンリミットのシャツは、好きで何枚も持っていますね」

a basket full of shoes
Jumpei Seki
ラルフ ローレンからミュージアムショップのものまで、ゆうに100個は超えるというキャップのコレクション。
a blue shirt on a swinger
Jumpei Seki
好きで集めているという80〜90年代に存在していた日本のアウトドアブランド、アーガイルクラブのジャケット。
a group of bags on the floor
Jumpei Seki
自転車に乗ることもあるためトートバッグではなくショルダーバッグを使うことが多いそう。中でもお気に入りはヴォルフガング・ティルマンスのグッズであるオレンジのバッグ。
a group of shoes on a wall
Jumpei Seki
エンダースキーマの革のラックにかかっているお気に入りの眼鏡とサングラス。アイウエアは20本ほど所有。この日かけていたのは1980年代のカトラー アンド グロスのもの。

引っ越しても組み立てやすい構成に。
ユニットごとに管理された
長谷川さんの居住空間


長谷川踏太さん (クリエイティブ ディレクター)
東京都出身。ロイヤル・カレッジ・オブ・アートの修士課程を修了後、ロンドンのクリエイティブ集団tomato、ワイデン+ケネディ トウキョウのECDを経て2019年ギフティのCCOに就任。

インタビュアー
関 隼平さん
(ファッションインプルーバー)
パリをベースに、さまざまなショップやブランドの価値を高めるべく活動中。パリ16区に「PARKS Paris」を構え、2号店となる新ショップ「keylime Tokyo」を2023年にオープン。

メンズクラブ2023年11月号掲載記事の転載です。

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