※本記事は、ウェルネスや健康食品に造詣の深いジャーナリスト、マイケル・イースター氏の寄稿を基に作成しています。


 
気がついたら、いつの間にかお腹周りが…! 多くの社会人男性が直面する悩みを、改善する方法を探ります。  
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 ある1人の友人(男性)を実例にしましょう。彼の身長は192センチ、体重は109キロ。いわゆる「肥満」ではありませんが、女性たちから「ビッグ・テディベア」と呼ばれています。   

 彼は毎週1度か2度、夜になると自由参加で集まっては試合を行うバスケのチームに加わっていたり、クロスフィットのジムにも通っています。そのため、彼は決して何もしていない訳ではないのですが…食事量が一般の人よりもかなり多いのです。なので、このような体型になっていると推測します。 

 推測というより実は確証に近いのですが、彼と一緒に食事をしてわかりました。その大食漢たるや凄いもので、仲間内で誰かの皿に食べ残しがあったのなら、彼はすぐさまそれをもらうけ、ペロリと平らげるのです。それが手羽先のひとつでもキレイにかぶりついては、きれいに骨だけにするのです。毎回の食事では前菜まで必ずオーダーしますし、野球観戦をした日にはいつもだってダークラガーとフィリー・チーズステーキ・サンドウィッチ12インチのセットを完食しているのですから…。   

 不意に(いや結構前からかもしれません…)彼は「体重を減らしたい!」と思いつきました。そして、パレオダイエット(旧石器時代の食事に立ち返るダイエット法。農耕や牧畜に頼らず、日常的に簡単に入手できる魚介類、鳥類、小動物、昆虫、卵、野菜、キノコなどの菌類、根菜、ナッツ類などを中心とした食事により、がんばらないで体重を減らしてゆく方法)を始めたのです。そしてチップス、チポレ、チーズケーキに別れを告げ、新たにチキンやケール、ココナッツミルクを口にするようになったのです。 

 彼は「簡単なダイエットだと思っていた」と言いました。食べていいものといけないものが明確に分かりましたし、同じジムに通っている多くの人がそれを実践して、引き締まった身体を手に入れていました。   

 そして、ついに彼もダイエットに成功したのです! 「石器時代の原始人のように食べるぞ」という彼の決意を聞いてから3カ月後…。彼に会うと、彼は見るからに体重が減っていました。なんと10キロほど痩せたそうです!   

 しかしです。その数カ月後、彼に会ったなら…。そこには再び「ビッグ・テディベア」がいたのです……。   

 一体、この数カ月間で彼に何が起こったのでしょうか? パレオダイエット、ゾーンダイエット、アトキンスダイエット、サウスビーチ・ダイエットなどなど、どんなダイエットにしても、それを実践した人がいること、そして、それに成功した人がいます。   

 しかし、その成功者の中には、結局はこの例のように元に戻ってしまう人が多いことも、私たちは知っているのです。ではなぜ、多くの人がダイエットに成功したと思った矢先に、失敗という下り坂にハマってしまうのでしょうか。   

 プレシジョン・ニュートリションのコーチング・カリキュラム開発担当者のクリスタ・スコットディクソン氏は、こう話しています。 

 「いままで自由に食べていた人が、急に厳しい食事制限のもとダイエットを行うことがあります。これは例えるなら…自転車の乗り方しか知らない人が、いきなりフェラーリに乗ってアウトバーンを手動運転するようなもの。しばらくは何とか走らすことができるのですが、結局は挫けるのです」と。

 つまりは、この「挫ける」ということは、不慣れなものに対面した際の“意思の弱さ”であり、“決心”または“自尊心”が足りなさからではないということを述べているのです。仕方ないこと、必ず陥ってしますもの…と言っていいようです。では、そこに陥ってしまう、2つの大きな要因を理解することで、今後の戒めにしておきましょう(笑)。

【1. 潔癖症的な発想】

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Maja Hitij(Bongarts/Getty Images)
最高峰のプロリーグでも、鉄壁の守備を誇るチームが1本のスルーパスで崩壊することも多々あるように…。



 「クラッシュダイエット(急激なダイエット)をする人ほど、上手なダイエット法ができない人である傾向が高い」と、スコットディクソン氏は言います。続けて、「そんな人は必ずと言っていいほど、物事は対して必ず白黒はっきりさせてから行動を起こすタイプなのです。『良い』食べ物は何か、『悪い』食べ物は何かと、きっぱりと分けなければ済まない性格。そして、そのダイエット期間中は当然『良い』食べ物だけしか口に入れることを自分に許さないのです」と。そのクッションのない考え方が、失敗の根源にあるということなのです。 

 一方で、希望の体型そして健康を維持するための日頃から食事に注意を払っている人(年間を通じて身体に良い食事をしている人)は、多くの種類を口にすることが自分の食事とライフスタイルに必要なものだということを理解しています。なので、毎週「息抜きの日」があってもいいし、時々食べたいだけ食べてもいい、というこということを理解しているのです。   

 プレシジョン・ニュートリションの栄養士、クレイグ・ウェラー氏はこう説明しています。  

 「クラッシュダイエットをする人と常に健康な食事をしている人の前に、ナチョスの盛ったプレートを置いたと想像してみてください。健康な食事をしている人はナチョスを少し食べて、終わりにします。他はすべて身体に良いことをしているので、ナチョスを少しくらい食べても全く問題はないことを知っているのです。ある程度のナチョスを食べたからといって、ライフスタイル全体に深刻な影響が生じるわけではありませんし」と、語っています。 

 「一方で、クラッシュダイエットをする人は、大抵、栄養に白黒をつけなくては済まない。ナチョスは自分のダイエットルールに合わないものとし、潔癖ならぬ鉄壁の防御でナチョスを跳ね除けるのです。しかしながらサッカーのように、時として不意のスルーパスが心に隙間に放たれるわけです。例えば、「一口なら…」という思いがほころびとなり、その隙間からナチョスのパスがあなたの壁にヒビを入れるのです。そして、やがて壁は音をたてて崩れ、一挙にナチョスを完食してしまう…ハイ! そこでダイエット終了!! というわけです」と、例を挙げてくれました。

【2. 慣れないことへのストレス】

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 「クラッシュダイエットは、ストレスに弱い」とウェラー氏は補足してくれました。

 「それまでの食習慣とはまったく違う食生活で自分を改善しようとするクラッシュダイエッターは、常にどんな食材を買うべきなのか?、どのくらいの量を食べるべきのか?、レストランでパレオダイエット食が食べられるのか?、等、日々不安だらけなのです。その上、大事な会議に行く途中で渋滞が起きたり、パートナーと喧嘩したり、夜に眠れなかったりといった予期せぬストレスが加わったりすると、てんてこ舞いです。まずは目の前にある大きなストレス=ダイエットを減らすことで帳尻を合わせたくなるのです。そして元の食習慣、かつての無意識な食生活へと、急速なターンで心を落ち着かせるのです。目の前のナチョスを一口食べるはずが、結局、全部食べてしまったというときは、大抵このようなストレスの積み重ねが原因となるのです」と。

 常に健康的な食事をしている人なら、食べ物がストレスになることはありません。毎回の食事で悩むこともありません。なぜなら、何年もかけて自分らしい食事法を見つけてきたからです。ですから、新たなストレスが生まれたとしても、それを食事法で帳尻を合わせる必要はないのです。つまり、現状それはストレスではないからなのです。

 しかし、クラッシュダイエットをしている人は、そこが目下最大のストレスとなっているはずなので、そこを緩めることで帳尻を合わせたくなる…つまり、そこから壁が音をたてて崩れるのです。

【最後に:クラッシュダイエットの解決策は?】

 クラッシュダイエットは、「結果が伴わない!」と言っているわけではありません。それでも、確実にあなたのぜい肉を減らしてくれます。でも、理想に到達するためには、継続できるダイエットをするべきなのです。そうすれば自分に約束した通りに、確実にぜい肉をなくすことができるのです。しかし、多くの人が、そのぜい肉の返還をいつしか受けるのも無視できません。 

 過去に「アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション」で紹介された研究によると、ダイエットを始めた人の20%が体重を落とし、その状態を1年以上維持できているということです。そして、その20%のうち減少した体重を5年間維持できた人は、それからもずっとその状態を維持できるという数値を残しています。

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【その理由から、今後の対策を!】

 なぜならその人たちは、ダイエット期間中にルールを多少破っても、効果が上がる方法を見つけたからなのです。つまりは、その人たちは自分のアレンジでダイエットができるようになったからなのです。   

 「身体に良い食べ方を学ぶのは、違う言語を学ぶのに似ています。徐々に少しずつ覚えていけば、そのうちペラペラになるのです」と、ウェラー氏は語っています。   

 ウェラー氏とスコットディクソン氏が言っているのは、つまりは「ゆっくりやる」ということに尽きるのです。そして、「正しい食習慣をひとつ選んで、少なくとも2週間は実行する」ということ優しい目安も教えてくれています。   

 スコットディクソン氏は、「2週間という期間はストレス要因をなくして、正しい食習慣を簡単に学ぶための理想的なタイムスパンなんです」と話しています。2週間実行すると、その習慣が身につくとのこと。そして、「その次の2週間で別の健康的な食習慣をさらに取り入れると良い、これを繰り返していけば達成できる」とのことです。 

 まず最初に、単純でストレスのかからないダイエット法を、ひとつトライしてみることです。そして2週間実践できたら、それを続けるのと並行して次の習慣を実践してみましょう。自分にとって継続可能で効果的でダイエット法行っていけば、そのシナジー効果により、あなたの身体は半永久的に健康な状態が維持できる、そんな改善が期待できるのです。オーバーめに言うなら、死ぬまで健康的な食事ができるようになれるかもしれませんよ!!

最後に実例を挙げてみましょう。

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■1週目と2週目:ゆっくり食べる 

 まず、ガツガツ食べるのをやめましょう。プレシジョン・ニュートリションのパフォーマンス・ニュートリション・ディレクターで登録栄養士(R.D.)兼認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)であるブライアン・サンピエール氏によると、「ゆっくり食べて摂取カロリーを記録すると、食べる量が少なくなる」という研究結果が常に出ているそうです。 

■3週目と4週目:タンパク質を摂る 

 タンパク質は、素晴らしい栄養素です。筋肉を作り、脂肪を燃やします。そのうえ、満腹感が増えるので、全体的な食事量が減ります。だから、毎回の食事で手のひら2つ分のタンパク質を摂りましょう(1日において、手のひら6つから8つ分ほどが目安です)。

最も良質のタンパク質を含むもの:肉、魚、卵、ギリシャヨーグルト、カッテージチーズ、プロテインパウダー 

■5週目と6週目:野菜を食べる 

 野菜は、健康を促進する栄養素(ビタミン、ミネラル、植物性栄養素)の塊です。しかも低カロリーで、水分と食物繊維が多いので満腹感も与えてくれます。こう考えてもいいでしょう。野菜は高カロリーの「不健康な」食べ物の代わりになる、と。すべての食事で拳2個分の野菜を食べましょう(1日に拳6個分から8個分ほどが目安)。 


■7週目と8週目:たっぷり、睡眠を取る 

 「意外かもしれませんが、睡眠は食事と同じくらい、見かけや気分や活動にとって大事なものなのです」と、サンピエール氏は話します。ですから、皆さんには、確実に良い睡眠をとる方法を考えるようにアドバイスしているとのことです。目標は、毎晩7時間から8時間の睡眠です。 

■9週目と10週目:リラックスする 

 生活上のストレスが多すぎると、体重に大きな影響を及ぼしがちです。「ストレスは命取りになります。脂肪が溜まり筋肉が痩せ、健康を損ない、体力が低下します」と、サンピエール氏は話します。毎日たった20分でいいので、ストレスを減らすために何かをしましょう。そうすれば、体形も改善できるのです。しかも、何を食べればいいかも学べることでしょう。瞑想、犬を可愛がる、散歩、読書、あるいはレゴを組み立ててもいいでしょう。  

 いかがでしょう、皆さんもぜひ実践してみて、気になるぜい肉とおさらばしましょう!

Source / Men's Health US
Translation / Esquire Japan
※この翻訳は抄訳です。