落ち込んだり、ものすごくストレスを感じたりしているとき、あなたは誰かに「楽観的になれよ~」と言われた経験がありませんか? それはあまりにも単純なアドバイスで呆れてしまったりする経験もあったことでしょう…。ですが実は、科学的に関連があることが分かってきています。

 学術誌『リサーチ ダイジェスト』によると、米国ラトガーズ大学が行った最近の研究では、幸せな思い出について考えると体のストレス反応を止めることができることがレポートされています。

 マウリシオ・デルガド氏とメーガン・スピーア氏は、学術誌『ネイチャー ヒューマン ビヘービアー』に投稿されたこの結論にいたるまで、134人のボランティアに協力してもらい検証したそうです。

◇検証方法の概要

 その検証とは、「氷水の中に手を入れるところをビデオ撮影する」というストレス下において行われました。

 協力者の数名には、ビデオ撮影中にディズニーランドに行くなどの肯定的な経験について考えてもらい、もう一方のグループには、旅行の準備をするなどの肯定的でも否定的でもない内容について考えてもらいました。

 幸せな思い出を考えていたグループは、より気分良く実験に参加できただけでなく、ストレスホルモンである“コルチゾール”が、感情的に中立的なことを考えていたグループの“コルチゾール”の量と比べて、わずか15%しか生成されませんでした。

 研究者らはその後、同じ実験を再び行いましたが、今度はfMRI(functional magnetic resonance imaging)を用いて、脳のスキャンを行いました。

 幸せな思い出について考えていた人は、感情調節、認知コントロールに関連する脳の領域、そして報酬の処理に関連する脳の領域の活動が増加しました。

 デルガド氏とスピーア氏は、「これらの研究結果は、記憶をよみがえらせることによって、自己生成したポジティブな感情がストレスに対して修復的かつ保護的機能を活性化する」と、述べています。


◇日本の場合を検証

 厚生労働省の「労働者調査」によると、仕事に関する強い不安や悩み、ストレスを感じている労働者の割合は2018年(平成30年)では 58.0%(平成29年調査:58.3%)となっています。労働者の5割以上は何らかのストレスを抱えているということになります。

 強いストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容をみると、「仕事の質・量」が 59.4%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が 34.0%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が 31.3%という調査結果になっています。

 

◇ストレスに強い人と弱い人の違いは?

 では、ストレスに強い人と弱い人の差異はどこにあるのでしょうか…。

 例えば、(仕事などで)厳しい環境下に置かれても、「これはチャンスだ」「失敗に終わったが、次につながる課題が見つかった」「これ以上の辛い経験はなから、ここから頑張ろう」と、前向き(ポジティブ)に捉える人はストレスに強い傾向があると言えます。逆に、ネガティブな思考に陥りやすく、結果に対して後ろ向きに捉える人は気持ちが沈み、ストレスに弱い傾向が多いと言えるでしょう。

■ストレスに強い人の特徴

  • 自分に自信がある人
  • キツイ環境下でも自分はなんとかすることができると考えている人
  • 心理学的は自己効力感が高い人

…色々な出来事を、精神的に脅威とは感じにくく、比較的ストレスに強い人の特徴と言えるでしょう。

■ストレスに弱い人の特徴

  • 自分に自信がない人(人から嫌われたくない・他人を比較してしまう)
  • キツイ環境下に自分は対応できないと考えている人
  • プライドが高い
  • 絶対に失敗したくない完璧主義(悪い意味で自分に厳しい)

◇ストレスに強くなる方法:合理的な考えを意識して習慣づける

 日常で受ける“出来事”に対して、自分がコントロールできることを合理的に考えて行動する習慣を身につけましょう。

 例えば、ストレスに弱い人の特徴として「絶対に失敗したくない完璧主義」を引き合いにだすならば、非合理的な思考は「ひとつでも失敗があればすべて失敗したも同然」と、いわゆる“ゼロイチ思考”な考え方です。勝ち負けの両極端で考えてしまう人です。

一方で、この状況での合理的な思考は、「平均以上の7割は評価を受けたし、伸びしろがあるため次に活かそう!」と成功面に意識を向けることです。 

◇結論

 この研究結果により、つまらないことを考えるよりも幸せなことを考えたほうがずっと価値があることが理解できたかと思います。

 では皆さん、さっそく紙に「ハッピーなことを考えろ!」と書いて、目のつくところに貼っておきましょう。そして、あとひとつ! その文字の後に「科学的に証明されている」と書き加えることもお忘れずに!!

Source / Men's Health
Translation / MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。