コーヒー好きな人にとっては、ここで非常に悲しいニュースをお伝えしなければなりません。なんと野生種のコーヒーのおよそ60%が、絶滅の危険性にあるそうなのです。

 それは米科学誌『サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)』に掲載された論文から。気候変動や干ばつ、森林伐採、病気などによって、熱帯雨林で育つ天然のコーヒーが危機にさらされているとのことなのです。

 絶滅が危惧されている品種の中には、世界で一番流通しているアラビカ種とロブスタ種のコーヒーも含まれているそうです。「英王立植物園(Royal Botanic Gardens, Kew)」の研究チームは、「懸念すべき研究結果です」とコメントしています。

 「コーヒー種全体の絶滅リスクは60%と、非常に高いと思われます。地球上で絶滅危惧種に認定されている植物の割合(22%)をはるかに上回る数字なのですから…。絶滅の危険性のある品種の中には、100年以上にわたって目撃情報がなく、すでに絶滅した可能性があるものも含まれています。今回発表された研究論文により、絶滅が危惧されている品種に焦点が当てられ、必要な措置が適切に行われることを祈っています」とのこと。

 研究では124種のうち、75種が危機にさらされていることが判明。

 そのほか、35種には絶滅の恐れはないものの、14種に関しては情報不足のため評価はできなかったとか…。地域別にみると、マダガスカルで43種、タンザニアで12種が危機的状態にあるという結果になりました。

Latte, Café au lait, Drink, Food, Caffè macchiato, Skin, White coffee, Flat white, Coffee, Cappuccino,
Getty Images

 
 科学専門誌『グローバル・チェンジ・バイオロジー(Global Change Biology)』に掲載された2つ目の研究論文でも、エチオピアを原産地とするアラビカ種が絶滅の危機に瀕していると発表されており、気候変動の影響で2088年までに、この品種の生産量が半減するかもしれないという警告まで出ています。

 現在、世界のコーヒー生産は、アラビカ種とロブスタ種の2種類に依存しています。

 そのため、今後はそのほかの野生種にも注目が集まる可能性は大。研究を率いた英王立植物園のアーロン・デイヴィス氏は、「コーヒーの長期的な持続可能性を支援するためには、貴重な資源を失わないことが重要なポイントです。森林(特にアフリカの森林地帯)の保全・再生活動など、今すぐ行動しなければ、コーヒーの未来はありません」と語っています。

Tree, Nature, Vegetation, Green, Natural landscape, Plant, Leaf, Sunlight, Sky, Woody plant,
Getty Images

 また今回の研究に携わった、エチオピアのチャリティ団体「Environment, Climate Change and Coffee Forest Forum」のタデス・ウルデマリアム・ゴール氏も、「エチオピアと世界におけるアラビカ種の重要性について考え、その品種が脅威にさらされているということを理解する必要があります」と説明します。

 アラビカ種は、日本人にも非常になじみ深いコーヒーです。「コーヒーを飲まないと生きていけない!」という人も多いはずですが、私たちにも何かできることがないか、考えるべき時期にきているのではないでしょうか。



From Women's Health UK
Translation/ Reiko Kuwabara


Related Videos

preview for Espresso Doesn't Actually Give You a Stronger Morning Jolt Than Coffee