7月初旬に私(筆者)は、このうえのない邂逅(かいこう)を果たしました。
それは限定イベントとして「It’s coffee time at The Macallan ~二つの世界が共鳴し合う時間~」をテーマに、スコッチウイスキーの「ザ・マッカラン」の理念である“妥協なきものづくり”を感じながら、ウイスキーとコーヒーの共通点や親和性を感じさせる展示スペースとともに、試飲もできるというもの。
そのイベントの主役は、「スコッチウイスキーの王様」とも呼ばれるザ・マッカランが「自然と調和しながら生きる」という願いを込め、創造性・革新性を表現するためウイスキーの枠組みを超えたコラボレーションから誕生する「ハーモニーコレクション」シリーズの第2弾。コーヒーからインスピレーションを受けて誕生した「ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」です。
イベント会場のピエール・エルメ・パリ 青山ブティックにて、ディプレイと解説からコーヒーとウイスキーのものづくりの親和性についてを体感したのち、この日の主役「インテンスアラビカ」を試飲したわけですが、その前に用意してくれたコーヒーから私の感動はピークへと導かれます。なぜなら、ここで登場したのは2013年に閉店した青山の名店「大坊珈琲店」の主人・大坊勝次氏であり、その大坊氏が自ら心を込めて淹れたデミタスコーヒーが味わえたから…。
かつて私にとって大坊珈琲店は、心のオアシスでした。
編集者として青山界隈をうろちょろしていた90年代から閉店になる2013年12月まで、少しでも時間があれば1階のコインロッカーを目印に雑居ビルの階段を上り、民芸調のたたずまいとも言える空間で心の傷を癒やしていたものでした…。手廻し焙煎器で自家焙煎した豆を、ネル布で丁寧に祈りをささげるかのようにクルクルと時間をかけてドリップしてゆく大坊氏の姿を横目で見ながら待つ時間…それは至福の時でした。もちろん、差し出されたそのコーヒーを口にすれば、さらなる高みへと舞い上がります。
まさに、私にとって最高峰の邂逅を果たしたイベントとなったのです。思わずドラマ『BARレモン・ハート』のセリフ、「世の中にはたくさんの出会いがある。その中で最も良い出会いはなんだと思う? それは“再会”だよ」が浮かんできました。
もちろん、今回のシリーズ第2弾「ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」もまた格別。大坊氏のコーヒーへの愛、そしてそこから創出された味わいの深い余韻が手伝って、他のスコッチウイスキーとは一線を画すその味わいに酔いしれることができました。
コーヒーからインスピレーションを受けたというその香り…ティラミスからカプチーノ、そしてバニラへと変化していく香りをリアルに実感。その後口に運べば、その香りをさらに端麗にした味わいを感じさせてくれました。ダークチョコレート、そしてレーズン、ブラックベリーのうま味もそこはかとなく感じさせながら、次第に大坊氏が淹れたコーヒーのようなバランスのとれた甘い余韻も感じさせる…。きっとその甘さは舌と言うよりも、心で感じた部分が大きいでしょう。精神的に、ラグジュアリーさを満たしてくれるものだったのです。それにこの「インテンスアラビカ」は、コーヒーの製造過程で生まれるコーヒー豆の廃材を活用した再生紙をパッケージに使用したサステナビリティなコンセプトも、それに拍車をかけていたのかもしれません。
つまり総合するなら、この 「ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」は初見となった瞬間から、“再会”することを強く願う卓越した香り・味わいを感じさせてくれたのです。皆さんもぜひ、この「ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」を味わってみてください。
しかしながら限定本数の生産ゆえ、もうSOLD OUTかもしれません。 もし皆さんが、市場でこの「ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ」に出会ったのなら、迷わず購入すべきときです。必ずや、格別の出会い(再会を約束してくれるでしょう。
◇詳細
商品名/ザ・マッカラン ハーモニーコレクション インテンスアラビカ
容量/700ml
アルコール度数/44%
希望小売価格/3万8500円
色/クレマ(エスプレッソの上に形成されるクリーミーな泡)
香り/ティラミス・カプチーノ・レーズン・アーモンド・甘いオーク・バニラ
味わい/エスプレッソ・ダークチョコレート・レーズン・ティラミス・ブラックベリーブラジルナッツ、甘いオーク
☕ コーヒーブレイク(余談)
私が「ザ・マッカラン」を最初に口にしたのは30代になってから、遅咲きとも言えます。「酒を楽しみ」というより、「酒を愛する」と言ったほうがふさわしい(紳士的な)先輩に連れられて行った銀座のバーでのこと。その先輩が私にすすめてくれたのが「ザ・マッカラン 12年」で、軽くその歴史を語ってくれました。
「1824年にハイランドで2番目の蒸留ライセンスを取得した蒸留所なんだけど、蒸留所としての歴史はもっと古くて18世紀初頭にはすでに、その名は知られていたんだ…。ハイランドの中でもスぺイサイドにあって、自社で原木の選定から製樽まで徹底したこだわりで仕上げられたシェリー樽で熟成するんだ。さすがに18年はまだ早いな、まずは12年だ。これ以上はもっとマッカランのことを知ってから、自腹で飲んでこそ今以上の別格と感じられる時間が過ごせるだろうよ」と、そんな感じに言ってくれたことも記憶しています。
当時の私は「ハイランド? スぺイサイド?」などと?の連続で、聞きながらひと口飲むと…そこにはまだ行ったことのないスコットランドの森が口内に広がったのです。その感覚は20年過ぎた今でも鮮明に覚えています。いまから思えば、その1杯のお値段以上の至福の時間が、流れ始めたのです。
で、私に第一印象は、まずは聴覚から視覚からやられました。簡単に言えば「琥珀色」なのですが、ちょっと今まで飲んできたものと違う…。どこか優雅で、心に響く波長で金色にきらめいているのです。そして次に、バーテンダーさんはわざわざ私の目の前に来てコルク栓を開けるのですが、その抜けるときの音ときたら…これまで聞いたことのないほど強烈な「キュッキュッ」を奏でてくれました。
もはやこの時点で、私は「ザ・マッカラン」の虜と言っていいでしょう。ですが、もちろんそれだけでは終わりませんでした。クライマックスの味わいです。バニラかと思わせる柔らかなニュアンスの中に、ほのかなジンジャーの香りとドライフルーツを思わせるスイートな舌触り。スモーキーさは感じさせず、気高い濃厚な味わいを感じたのでした。先輩いわく、「ザ・マッカランは、“シングルモルトのロールスロイス”と言われているんだ」とのこと。「ふむふむ」と、偉そうに納得していた自分をすぐさま反省してのを覚えています。
さらに詳しくは公式サイトへ
以来、ウイスキーを愛するようになった私は、自らのウイスキーリストの中でも常に上位に「ザ・マッカラン」がランクインしています。華やかで上品な味わいを嗜(たしな)みたいときには必ずと言っていいほど、「ザ・マッカラン 12年」を選ぶようになりました。
そして今回、絶好のタイミングでイベントが行う知らせを受け、喜び勇んで参加したというわけです。そして前述のようにそれは最良も“再会”であり、素敵な邂逅でした。