《目次》

▶緑茶の注目すべき成分・メリット

 ―抗酸化作用が期待できる「カテキン」

 ―「ビタミンC」が豊富な緑茶

 ―「カフェイン」も含まれている緑茶

 ―リラックス効果のある「テアニン」

▶緑茶のダイエット効果(体脂肪低下)について

▶まとめ:緑茶の健康効果

まず、緑茶に含まれる主成分と、それぞれが健康へと導く効果とそのメリットについて説明していきます。ここでは、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」を参照しています。 

◇緑茶の注目すべき成分・メリット

▼抗酸化作用が期待できる「カテキン」

緑茶の渋み成分であり、ポリフェノールの一種である「カテキン」。エピカテキン(EC)、エピガロカテキン(EGC)、エピカテキンガレート(ECG)、エピガロカテキンガレート(EGCG)と4種類が存在します。

そして「カテキン」には、抗酸化作用があることが認められており、活性酸素が脂質と結びついて過酸化脂質になるのを防いでくれると言われています。人間は生きていくためには酸素が必要です。そして身体に取り込まれた酸素のほとんどは、エネルギーを生産するために使われますが、取り込まれたうちの数%は「活性酸素」という物質になります。その活性酸素は強い酸化作用を持っていて、滅菌や放射線によるガン治療に関しても活性酸素の力を利用したものになります。

人の体内にはSOD(スーパーオキシドジムスターゼ)という酵素があり、体内の活性酸素が通常の量であればこの酵素によって無毒化されます。ですが、一方で紫外線やストレス、加齢など、生活の中でのさまざまな要因によって、その活性酸素がSODで処理することができないほどの量になる場合があります。すると、正常な細胞や遺伝子を攻撃し、動脈硬化やガンなどを引き起こす原因となることが報告されています。

そこで増えてしまった活性酸素に対抗するために、抗酸化物質を含む食品を摂取することが有効と考えられているわけです。最近では、「ポリフェノール」に抗酸化作用があることが研究によってわかってきています。そして、そのポリフェノールの仲間である「カテキン」にも高い抗酸化作用が確認されています。

緑茶に含まれる成分「カテキン」の「抗酸化作用(=体内で発生する活性酸素の除去する働き)」によって、動脈硬化など心筋梗塞や脳梗塞の予防にもつながる実験結果もあります。

とは言え、その実験はある一定の人々から得た結果にすぎません。例えば、「カテキン類が閉経後にあって予防効果を最もよく示したのは、冠動脈疾患に対して危険因子の少ない女性に対してであった」という結果もあります。つまり。ある実験では「タバコは吸わず、糖尿病や心臓血管疾患のない人たちへの予防性が認められた」ということになるのです。言ってみれば、「タバコ等の有害性には勝てない可能性」も示されているわけです。

また、お茶から摂取した「カテキン」類の有効性は、赤信号だった報告もあります。特にお茶中のガレート(gallates)を含むカテキン類は、「冠動脈疾患死予防とはならない」という報告もされています。緑茶には「エピガロカテキン(EGC)」や「エピカテキン(EC)」等が含まれていますが、最も多く含まれるのは「エピガロカテキンガレート(EGCG)」や「エピカテキンガレート(ECG)」です。緑茶に関して言えば、緑茶内のカテキン類のうち、EGCGが50~60%を占めていると言われています。なので、「緑茶で誰もが確実に予防できる」とは言えません。なので、ご注意ください。

他には抗菌や抗ウイルス、風邪予防のひとつとして、「“緑茶や紅茶でうがいをする”と良い」とも言われています。これも期待できますが、「新鮮なつくりたての緑茶や紅茶であれば効果的」という見解です。うがい用に緑茶や紅茶をつくり置きしていると、水よりも細菌類が増殖しやすいため、それをうがいに用いるのは望ましくないという考えからです。この点も注意しましょう。   

▼「ビタミンC」が豊富な緑茶

緑茶は、β-カロテンやビタミンB1、ビタミンB2、ニコチン酸、パントテン酸、葉酸、ビオチン、ビタミンCを含んでいます。

特にビタミンCの含有量が多いのが特徴です。

▼例えば、緑茶100gの中に含まれるビタミンCは、次の通りです。
 
・玉露の場合:約19mgのビタミンC含有量
・煎茶の場合:約6mgのビタミンC含有量
・釜炒り茶の場合:約4mgのビタミンC含有量
・番茶の場合:約3mgのビタミンC含有量

緑茶に含まれるβ-カロテンはプロビタミンAと呼ばれ、体内のビタミンAの必要量に応じてβ-カロテンをビタミンAへと変えてくれます。

さらにビタミンCは、皮膚や粘膜の保護をサポートします。ビタミンCにも抗酸化作用が期待でき、活性酸素の除去をサポートしてくれるでしょう。

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▼「カフェイン」も含まれている緑茶

緑茶の苦み成分と結びついている「カフェイン」。覚醒作用と利尿作用があることが報告されていますが、摂り過ぎると不眠や頭痛といった症状が現れてしまうので、飲み過ぎには注意が必要です。

ちなみに日本の厚生労働省では、カナダ保健省 (HC)の注意事項を引用し、「健康な成人は1日最大400mgまでとする」と推奨しています。緑茶のカフェインは100mlあたり約20mgですので、普通に飲む分には問題ないと言えるでしょう。 

▼リラックス効果のある「テアニン」

緑茶のうまみ成分である、アミノ酸の一種「テアニン」。お茶の甘みを構成する要素の一つでもあります。

茶葉の日光に当たる時間が少ないほど豊富に含まれるため、新茶や玉露は甘みを強く感じられると一般には言われています。さらに「テアニン」には、リラックス効果が期待できると言われており、「カフェイン」の覚醒作用を穏やかにするとも言われています。 

緑茶のダイエット効果(体脂肪低下)について

ここからは、緑茶のダイエット効果について研究をもとに解説していきましょう。緑茶=減量できる」と安直に保証することはできません。ですが、減量(体脂肪低下)が期待できる理由はいくつか存在します。 

■緑茶のダイエット効果を検証

小さい規模で行われたある研究の臨床試験では、「飲料として、もしくは緑茶成分を抽出したカタチで摂取した太り気味の人々は、緑茶を飲んでいない人よりも体重が減った」という結果が報告されています。

米国「クリーブランドクリニック(Cleveland Clinic)」の統合生活習慣医学の顧問であるクリスティン・カークパトリック博士は、「総合的に考えてみると、緑茶には多少のダイエット効果が認められる可能性があります」と話しています。

米国オクラホマ州立大学で実施されたある小規模な調査では、「1日に4杯ほどの緑茶を飲んだ人は、水を飲んでいた方よりも8週間でおよそ0.5kg程度の体重が減少した」との報告もあります。また、他のいくつかの研究では、「カフェインの含まれていない緑茶でも、ダイエット効果があるかもしれない」とも示唆しています。

緑茶はお腹周りの脂肪を減らす効果があるかもしれない

研究によると、決まった時間に食事をし、週に180分間の運動をしている人々の中で、緑茶に含まれる成分で最も生物学的に活性化合物である「カテキン」を含む飲料を飲む人たちは、腹部脂肪の変化率が「カテキン」が含まれていない飲み物を飲んでいる人たちと比べて高いことが報告されています。

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緑茶に含まれる、特にエピガロカテキンガレート(EGCG)と呼ばれる主要な「カテキン」が、体重を減らしたいと願っている人に役立つ可能性があるとの報告がありますが、その理由についてはいくつかの見解があります。

カークパトリック博士は、「緑茶に含まれるカテキンには、実際に炭水化物の消化と吸収を抑制することが考えられます」と説明しています。これは「緑茶抽出物を摂取した後では、炭水化物の吸収がより低くなることが明らかになった」と報告する「サイエンティフィック・リポーツ」の発表からの引用になります。

「最も期待できるものは、『マイクロバイオーム(ヒトの体内に共生する微生物)』における緑茶の効果に注目しています」と、カークパトリック博士。現在、緑茶が腸内のマイクロバイオームを変化させることがさまざまな研究によって、さらに明らかになっています。その変化が減量に役立っている可能性が、もう少しで明かされるかもしれませんので期待しましょう。  

■抹茶もダイエット効果(体脂肪低下)にも効果があるかもしれない?

カークパトリック博士は、「抹茶は、ティーバッグの緑茶の葉と同じくらいダイエット効果(体脂肪低下)があるのか? それとも、お茶(緑茶)を入れた後の茶葉と同じくらいしか効果がないのか?」といった質問を患者から多く受けているそうです。

その答えとして、「抹茶そのものの研究は、まだ多くはされていないのです」と前置きをしながらも、「緑茶は植物の葉でつくられ、抹茶はその葉をすりつぶしたものであるので、抹茶にも同じようなダイエット効果(体脂肪低下)があると考えることが合理的でしょう」と、カークパトリック博士は付け加えています。

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◇まとめ:緑茶の健康効果

緑茶を飲んだ人が良い理由は、ダイエット効果(体脂肪低下)だけではありません。

カークパトリック博士は上述しているように、「緑茶とガン予防に関する効果」を挙げています。「心臓病を予防する可能性のある効果、潜在的な記憶力への効果、及びその他にも健康を増進することが緑茶には含まれています」とのこと。

そして最後に、「減量効果に関しては、さまざまな見解があります。緑茶は減量を保証するものではありません。しかし、緑茶が服用している薬に悪い影響を与えないのであれば、砂糖を入れずに(驚くと思いますが、米国では砂糖入りの緑茶が売られているのが一般的)、また緑茶を減量の万能薬として考えずに、日常的に飲む習慣をつけてもいいかもしれません」と締めくくってくれました。

Source / Men's Health US
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。