ニュージーランドの伝説的なランニング・コーチ、アーサー・リディアード氏は、自明の理とされてきた「痛みなくして得るものなし」という考えに、限界を感じていました。どれほど苦しいトレーニングに耐えることができても、その成果を裏付ける賢明な戦略がない方法で、チャンピオンになるのは難しいことです。

そこで、リディアード氏はトレーニングに関する方針を転換。「体のどこかを痛めるほど過度には行わない」よう推奨することにしました。ですが、それで本当に、運動した翌日の体の痛みをなくすことは、可能になったのでしょうか──?

筋肉痛をまったく起こさないようにすることは、おそらく不可能です。現実的なこととは言えないでしょう。ですが、ノースカロライナ州立大学などの研究者からなるチームが発表した論文によると、その痛みを軽減する方法が、ようやく見つかった可能性があるそうです。

ジャーナル「フロンティアズ・イン・ニュートリション」に発表されたその研究結果によると、トレーニングに関する“真に賢い戦略”は、キッチンから始まると考えられます。

運動強度の高いトレーニングを行う前の1カ月間、1日あたり57グラムのアーモンドを摂取していた人たちは、そうでなかった人たちと比べ、体の回復を促す分子の「12,13-ジヒドロキシ-9Z-オクタデセン酸(12,13-diHOME)」のレベルが大きく上昇していました。「12,13-diHOME」は、エネルギーの調節やミトコンドリア機能、代謝の健全性に関連するものです。

ナッツの「回復」効果、研究で明らかに?
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また、強度の高い筋力トレーニングを90分間行った後、ナッツを摂取したグループの人は、「疲労レベルが低く、気分が高揚しており、向上した筋力が維持されていた」とのことです。さらに、筋肉の損傷が減少していたことも報告されました。つまり、日常的なアーモンドの摂取は、トレーニング後の回復を早める可能性があるとみられます。

ただ、袋入りのアーモンドをたくさん食べるのがつらいという人もいるでしょう。そう思う人は、代わりにナッツバターをトーストに塗って何枚か食べたり、スムージーにスプーン1杯分を入れて飲んだりしてもいいかもしれません。イブプロフェンなどの鎮痛剤を服用するよりも楽しみながら、痛みを和らげることができそうです。

ナッツバターの作り方

生のナッツ170gを180℃で10分間、焼き色がつくまで焼きます。フードプロセッサーにかけ、ペースト状にします。濃すぎる場合は、小さじ1〜2杯のオイルを加えます。

さらに風味を高めたい場合は、以下のいずれかを加えてみてください。

  • アーモンド + オレンジの皮の小片(小さじ2杯分)
  • ピーナッツ + チリオイル(小さじ2杯)
  • カシューナッツ + カルダモンパウダー(小さじ半分 )+ バニラビーンズ(さや1本分)
  • ピスタチオ + 無糖・細切りのココナッツ(50グラム)

Source / Men's Health UK
Translation / Ryoko Kiuchi