2018年11月の初週、カリフォルニア州は3つの山火事に巻き込まれました。
南カリフォルニアの大火事の悲劇を目の当たりにした私たちは、火傷に関する知識と理解を深めておくことの重要性を身にしみて覚えたのではないでしょうか。
今回は、デンバー・チルドレンズ・ホスピタルの主催した、火傷を負った子供たちとのキャンプに参加した際のエピソードを交えつつ、医師としての知見を皆さんと共有したいと思います。それから火傷してしまった際の応急処置や初期治療、それから生命を脅かす危険性についての科学的知識を、ここでお伝えしようと思います。
実用的なことをお教えしますので、どうぞお付き合いください。
※本記事は、元陸軍レンジャー部隊の軍医、現在は緊急救命医として勤めている、ジェディディア・バラード先生(JEDIDIAH BALLARD)の寄稿になります。
「ねえ……、ちょっとだけ休んでもいいでしょ」
「あと10歩だ、がんばれ。調子は良さそうじゃないか。あと10歩だけ登ったら、少し休憩しよう」
弱音を聞き届けて、それを受け入れます。約束通り10歩だけ前進したら、しばしの休憩です。
「さあ、そろそろ出発の準備はいいかな?」
「あと10秒だけ休ませて」
彼が理不尽な要求をしているわけではないのは、様子を見れば分かります。…ということで、もう10秒だけカウントして、それから出発します。