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タンパク質はダイエットの味方になるのでしょうか?

より多くのタンパク質を摂取することが、脂肪を効果的に減らすための秘訣なのでしょうか?

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トレーニング休憩中の男性

減量と脂肪の減少について語るとき、よく「何を食べるべきか?」ということよりも「何を避けるべきか?」について議論する時間のほうが長くなることがあります。ですが残念ながら減量は、常に物理法則に支配されていると言えます。

つまり結局は、「摂取カロリーよりも、消費カロリーが上回らなければならない」ということがついて回るもの。ただし、食べるカロリーの種類にも注意を払うことで、このバランスが取りやすくなる可能性があります。その一例が、タンパク質です。

それでは、タンパク質がダイエットにどれだけ効果的か見てみましょう。タンパク質は食欲を抑え、代謝を活性化させる筋肉の形成を助け、安静時のカロリー消費を増加させ、さらに運動後の回復を促進させるのか…科学的根拠を確認していきましょう。


[INDEX]

▼ タンパク質とは?

▼ 高タンパク食は減量に良いのか

 理由【1】:タンパク質は満腹感を高める

 理由【2】:タンパク質は多くのカロリーを消費

 理由【3】:タンパク質は代謝を“高める”

 理由【4】:タンパク質は筋肉量の促進と維持に役立つ

 理由【5】:タンパク質は体重のリバウンドを防ぐのに役立つ?

▼ タンパク質はどれくらい摂ればいいのか

▼ 高タンパクな食事の危険性

▼ プロテイン シェイクのダイエット効果


タンパク質とは何でしょうか?

プロテインと書かれた文字
Djavan Rodriguez//Getty Images

タンパク質は、炭水化物や脂肪と並ぶ「主要栄養素」の1つです。タンパク質は個々のアミノ酸から構成されており、私たちの健康にはタンパク質が欠かせません。なぜなら、タンパク質は筋肉や骨、皮膚など、私たちの生命維持に必要なシステムのほとんどを構築、修復、維持し、さらにはホルモンや酵素をつくるためにも必要だからです。

カロリー摂取と体重の減少との関連という観点からみれば、タンパク質は1グラムあたり約4キロカロリー相当で炭水化物とほぼ同じ。一方の脂肪は、1グラムあたり約9キロカロリー相当となることが知られています。ですが、そう単純な話ではないことをこの記事の後半で詳しく説明します。

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高たんぱく質の食事はダイエットに効果的ですか?

グリルチキンを楽しむ様子
hxyume//Getty Images

ダイエットに関して、タンパク質は非常に重要な役割を果たすと考えられます。

研究によれば、推奨される1日の推奨摂取量を上回る量のタンパク質を摂取すると、減量に大きく貢献することが示されています。実際、いくつかの研究では、参加者の食事中のタンパク質量を増やすことだけに重点を置くと、「脂肪減少が達成された」という結果が実証されています。

タンパク質を多く摂取することは、基本的なダイエットの原則である「摂取カロリーと消費カロリーのバランス」の代替策ということではありません。つまり、ダイエットで成功するためには、依然として消費カロリーが摂取カロリーを上回ることが大前提にあると言えるのです。

ただしこの研究では、毎日どれだけのカロリーを摂取しているかを追跡したり、カロリーの摂取を制限するように指示もしていなかったりしたにも関わらず、1日のタンパク質の摂取量を増やすことが参加者の総カロリー数に影響を与えていました。

それではなぜ、タンパク質が減量に効果的なのでしょうか? その理由を見てみましょう。

理由【1】:タンパク質は満腹感を高めます

スープを飲む男性
miniseries//Getty Images

満腹感、つまりお腹がいっぱいであるという感覚は、身体に空腹の合図を停止するよう指示することが知られています。研究によると、これはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)やコレシストキニン(CCK)などの満腹ホルモンの増加と、空腹ホルモンであるグレリン(GHRL)の減少が関係しているとされています。

この効果はどれくらい顕著なのでしょうか? 2005年7月に「アメリカ臨床栄養学会誌に発表された研究では、タンパク質の摂取量を15%増やすだけで、参加者は1日の摂取カロリーが400キロカロリー以上減少し、他には食事に意識的な変更を加えなくても、12週間で約5キログラムの体重減少につながったことが示されました。

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理由【2】:タンパク質は消化により多くのカロリーを消費します

トレーニングをする男性
RossHelen//Getty Images

直感に反するように聞こえるかもしれませんが、カロリーを摂取すること自体がカロリーを消費することにつながっています。身体が食べ物を消化してエネルギーに変える作業は、実は身体にとってコストがかかることなのです。このようなコストを科学者は「食物の産熱効果(The Thermic Effect of Food)」、略して「TEF」と呼んでいます。

三大栄養素の中でタンパク質のTEFは高く、消化中に摂取したカロリーの最大30%が消費されるということ。これは、タンパク質から得るカロリーが炭水化物や脂肪に比べて少ないことを意味します。

また、平均して消費するカロリーより多く摂取している場合、体脂肪として蓄えられるカロリーも少なくなることを意味しています。

理由【3】:タンパク質は代謝を“高める”ことができます

ランニングをする男性
Westend61//Getty Images

TEFはまた、炭水化物や脂肪の一部をタンパク質に置き換えると、摂取カロリー総数を変えずに1日平均でより多くのカロリーを消費し、代謝を効果的に促進するとされています。

いくつかの研究では、高タンパク質の食事により、カロリーの消費が毎日最大200キロカロリー増加する可能性があることが実証されています。

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理由【4】:タンパク質は筋肉量の促進と維持に役立ちます

トレーニング中の男性
Yoshiyoshi Hirokawa//Getty Images

減量について話す際には、体重の減少と脂肪の減少の違いを理解することが重要です。体重を減らす際…特に長期間にわたってダイエットを行う場合、ある程度の筋肉が減少することは避けられないでしょう。

ですが、これを最小限に抑えて「除脂肪量(体重から体脂肪を除いた部分。FFM=Fat Free Mass)」を維持することは、健康的な減量を成功するための重要な要素となります。

なぜなら、筋肉量が多いと代謝活動が活発になるからです。つまり、「安静時にもより多くのカロリーを消費する」という理由が挙げられるのです。が、同時に重要なことは、筋肉量が低いと全ての死因のリスクが高まるという研究結果もあることです。

基本的に筋肉が少しでも多いことは、非常に健康に良いことなのです。

研究によれば、高タンパク質の摂取とレジスタンストレーニングを併用することで、カロリー制限中や減量期間中でも筋肉の減少を防ぐのに役立つことが示されています。

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理由【5】:タンパク質は体重のリバウンドを防ぐのに役立つかもしれません

体重計に乗る男性
James Darell//Getty Images

2004年の研究では、ダイエット後に高タンパク質の食事を続けた人々は、低タンパク質のグループよりも体重が非常に戻りにくい可能性があることが示されました。これは、これまでに列挙したタンパク質の摂取による利点が理由であると考えられます。

この研究が示すように、減量後も高タンパク質の食事を維持することの重要性も忘れないでください。持続可能な減量においては、食事や生活習慣の変化が大切であることを重ねて強調しておきます。

タンパク質はどのくらい摂取すべきですか?

グリルサーモン
SimpleImages//Getty Images

推奨量はさまざまですが、上記で引用した研究にあるように、減量を成功させるためには一つの要因が一貫してあるようです。それは、1日の推奨摂取量よりも多くのタンパク質を摂取することです。

イギリスにおける現在の成人の推奨量は、体重1キログラムあたり約0.75グラムです。これは75キログラムの男性では平均で1日約56グラム、69キログラムの女性では45グラムということになります。男性の場合、これはおおよそ鶏胸肉1枚分に相当します。

なお日本の場合…「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、一般の人が必要とするたんぱく質の量は、体重1キロあたり0.8gです。

上記の研究結果が正しいとすると、ダイエット目標に関係なく、タンパク質は推奨数字よりも多く摂取すべきと言えるでしょう。栄養士やコーチたちがよく口にする数字は、体重1キログラムあたり1.6〜2グラムとされていますので、そのくらいのタンパク質摂取をおすすめします。

高タンパク質の食事の危険性

お腹をおさえる男性
krisanapong detraphiphat//Getty Images

タンパク質を過剰に摂取すると不健康になる、または腎臓にダメージを与えるという噂は根強く残っていますが、最新の研究では、健康な人であれば、現在の推奨量を超える量のタンパク質を摂取しても有害な影響はないと示されています。

ただし、自分では気づいていない健康上の問題を抱えている可能性が、誰にでもあることに留意しておかなければなりません。食事やライフスタイルの大きな変化は注意深くモニタリングするべきであり、必要に応じて、医療専門家との相談する必要があることを理解しておいてください。

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プロテイン シェイクはダイエット効果がありますか?

プロテインシェイクを飲む男性
ArtistGNDphotography//Getty Images

一般的な知識や専門家のアドバイスでは、1日に必要なタンパク質は、加工されていない固形食品から摂ることが望ましいとされています。ただし、それを達成することが困難な場合は、サプリメントが頼りとなるでしょう。

そこで、「サプリメントからタンパク質を摂取しても大丈夫なのか?」という疑問を抱く人も少ないないでしょう。それに対してで2023年に発表された研究では、「タンパク質補給はどのような形であっても、根本的な健康への悪影響はない」ということが示されています。

また、いくつかの研究では、タンパク質の補給だけで減量が促進され、健康やウェルビーイングの指標が向上することも実証されています。

ただし重要な点として、全てのプロテインサプリメントが同じ品質ではないこと(あるものは添加物が多く入っていたり…など)、そして異なるプロテイン源に対して個人的な反応があり得ること(副作用を含む)を認識することです。繰り返しになりますが、注意深く状態をモニタリングし、必要に応じて専門家に相談してください。

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Translation / Yumi Suzuki
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Men's Health UK
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