「尿が臭くなる」食べ物と、7つの原因
尿のニオイや色からは、健康状態に関する多くの情報を得ることができます。尿のニオイのもととして考えられるのはなにか、最も一般的な原因を泌尿器科医にうかがいました。
私たちはほぼ毎日、何度も排尿を行っています。このように日常となっている行動ゆえに、多くの方は尿についてじっくり考えたりしたことがないのが現実でしょう。ところがある日突然、自分の尿が異臭を放っていることに気がついたらどうでしょう? 心配でたまらなくなってきませんか?
◇現役の泌尿器科医が記事を監修 ― 臭う尿の対処と改善方法
尿のニオイ、色、頻度からは、あなたの体調や健康に関する重要な鍵を得ることができる試験薬だということは、昔から言われていることです。なので、常に目を(そして鼻を)向けておいても決して損はないでしょう。
そこで泌尿器科医のマーク・ラニアード先生に、その気になるニオイのもとになる一般的な原因と共に、そのニオイによって不安を持ったときの対処法を教えてもらいました。
◇健康的な尿の色とニオイ
そもそも“正常”で健康な尿とは、どういう状態なのでしょうか?
色は時間帯や摂取する水分量によっても異なりますが、基本的に健康な尿は薄い黄色から金色の中間で、ニオイについてはかすかに臭うか、ほとんど気づかないレベルと言っていいでしょう。
「正常な尿で色が薄いものに関しては、よほど鼻を近づけて嗅がないとわからない程度のニオイしかないと言っていいでしょう」と、ラニアード先生は言います。
それでは、心配しなければならない異常なニオイのもととなる、一般的な原因について7つ見ていきましょう。
【1】尿が臭くなる原因の食べ物 ― アスパラガスは硫黄のニオイの原因
食べるものによって、吐く息が臭くなることは誰でも知っていますが、食べ物の中には尿にニオイに悪影響をもたらすものもあります。
朝、あなたの尿から硫黄のようなニオイがすることはありませんか? もし前日の夕食メニューに、「アスパラガス」が含まれていたら、おそらくそれが原因と言っていいでしょう。
アスパラガスは、尿に悪臭をもたらすことが知られています。研究者たちは1890年代から、アスパラガスがヒトの尿のニオイを悪臭に変えるのはなぜか?を調べてきました。それによると、アスパラガスは他では見られない独特の臭気を放つ化合物を含有しているということが報告されています。それはアスパラガス酸と呼ばれるもので、消化の際にメタンチオールやジメチルスルフィドなどの硫黄化合物を生成するということ。硫黄はスカンクのオナラや腐った卵のような独特の異臭で有名かと思います。
ですが中には、アスパラガスをたくさん食べても排泄物に影響が表れず、ニオイは変わらない方もいる結果も報告されています。研究者たちがその原因をさらに調査し始めたところ、2通りの説明ができる可能性に気がついたということ。1つは、臭くない尿を排泄した人たちは、単にニオイのある排泄をしなかった可能性があるというもの。つまり、臭気を発する化合物を含有する尿を生成しない方たちだったという推察です。さらにもう1つは、化合物を生成はしていますが、本人たちがそのニオイを感知できなかったという仮説です。
「おもしろいことに、例えニオイの元となる物質が発生しても、実際に尿が悪臭を放つのは一部の方だけなのです。その理由については、はっきりしたことはわかっていないのですが」とラニアード先生。さらに、「食べてから15分〜20分以内に代謝産物として生成されます。それが、排尿時に放出されニオイの原因となると考えられます」と、説明してくれました。
◇尿に悪臭をもたらす食べ物一覧
そのほか、尿に悪臭をもたらす食べ物には以下のようなものがあります。もし尿のニオイに気づいたら、こういったものを含んだ料理を最近食べなかったか思い出してみてください。
・キャベツ
・芽キャベツ
・カブ
・カリフラワー
・ニンニク
・魚
・クミン
【2】コーヒー ― 尿が臭くなる飲み物
もしかして、あの(美味しい)カフェインに病みつきになっていませんか? だとすれば、それは尿ばかりでなく、あなたの活力にも影響を及ぼしている可能性があります。
だから飲みすぎは禁物。一日に4、5杯のコーヒーを飲んでいると、尿が少しコーヒーのようなニオイになっているかもしれません。おすすめ関連記事:コーヒーに関する記事をまとめています
【3】脱水症状 ― 尿の色が濃く、臭くなる原因
尿から強いアンモニア臭がするなと思ったら、そろそろ給水の時間です。尿を薄めるだけの十分な水分を摂取しないと、色が濃くなって、いつもより臭くなり可能性が高まります。
「しばしば、尿のニオイが朝いちばん強くなるのは、夜の間に脱水が進んでいることが比較的多いからで、日中に水分を補給するようになるとニオイも改善されてきます」とラニアード先生。
【4】服薬(抗生物質・てんかんの治療薬) ― 尿が臭くなる原因
抗生物質やてんかんの治療薬を服用している方は、その薬がニオイの原因になっている可能性があります。
「サルファ剤––スルホンアミドとも呼ばれる––の中には、尿に悪臭をもたらすものがあります。スルホンアミド系の薬剤は主に、感染症やてんかんの治療に使われています」とラニアード先生。
【5】感染症 ― 尿が臭くなる原因
尿路感染症が悪臭の原因になっていることも、十分に考えられます。
「ヒリヒリするような、あるいは焼けるような感覚をともなっている場合は特にです」とラニア―ド先生。
尿路感染症はごく一般的な病気ですが、不快で嫌な気分のものです。もし、治療せずに放置しておくと、さらに深刻な病気に進行する恐れもあるため、何らかの兆候があるときは医師に相談することが重要となります。場合によっては、抗生物質による治療を受ける必要があるかもしれません。
【6】糖尿病 ― 尿が臭くなる原因
まだ糖尿病と診断されてはいないけれど、尿にかすかな甘いニオイがあるという方がいるかもしれません。そういう方の中で、もし、しょっちゅう喉が渇いたり、頭痛がしたり、排尿の回数がいつもよりずっと多いという方がいれば、ぜひ医師に診てもらってください。
「糖尿病で血糖値コントロールできなくなったことが原因で、尿が甘く臭うこともありますが、滅多にあることではないでしょう。また、アミノ酸の機能障害によって発症するメープルシロップ尿症という珍しい病気でも、尿に甘いニオイがするようになります。それとは別に、もし尿のニオイが臭いようであれば、肝臓に問題がある可能性もあります」と加えて説明してくれました。おすすめ関連記事:「糖尿病」改善が期待できる食べ物&飲み物17選
【7】フィスチュラ(瘻孔=ろうこう)― 尿が臭くなる原因
これは非常に稀なケースですが、もし、尿に悪臭があって、頻繁に尿路感染症にかかっているような場合は、「フィスチュラ(瘻孔=ろうこう)」を疑うべきかもしれません。
「たまに、フィスチュラ(瘻孔)と呼ばれる、腸と膀胱をつなぐ異常な通路ができることがあって、これが尿の悪臭と尿路感染症の原因になっている場合があります。心配な場合は医師に相談してください」とラニアード先生。
◇その他の、尿に現れる気になる兆候
深刻な病気の前兆を見逃さないために、尿に現れる異常のいくつかをラニアード医師に教えてもらいました。
■尿の色 ― 病気の可能性があるチェック一覧
最も注意して見なければならない点のひとつが、「尿の色」です。「いちばん深刻なのが、赤い色をした血尿です。これはガンの可能性があるケースもありますので、念のため泌尿器科医の診察を受ける必要があります」とのこと。さらに、「しかし、大量の(野菜の)赤いビーツを食べたせいで尿が赤くなっていることも考えられるので、まず、最近食べたものをよく思い出してみてください」とラニアード先生。
尿の色のチェック一覧です。あくまで、考えられる可能性とチェック用として活用してください。
・淡黄色・淡黄褐色:健康な尿の色
・赤褐色・茶褐色・混濁:急性腎炎、腎結核、腎臓ガンなどが考えられます。
・白濁:腎盂腎炎、膀胱炎の可能性が考えられます。
・黄褐色・泡:肝臓や胆道の病気の可能性が考えられます。
■排尿時の痛み
もし、排尿のときに痛みがあって、尿が不快なニオイをしていたり、濁っていたり色が濃かったりしたら、尿感染症の疑いがあるので、この場合も検査を受けることをおすすめします。
■頻尿
もし、それほど多くの水分を摂取したわけでもないのに、排尿の回数や量が大幅に増えたときは、血糖値のコントロールに問題がある可能性があるので、医師の診察を受けてみることをおすすめします。
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Source / Men's Health US
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。