7日間、継続的断食(ファスティング)に挑戦した女性の身体に起きた変化と学び
1週間毎日、1日(24時間)の中で12時間~18時間ほど食事を摂らずに過ごすと、身体にどのような影響があるのでしょうか?
「継続的断食」とは?
最初におさらいも兼ねて、説明しておきます。「断続的断食」とは、食べ物を摂取できる(食べて良い)時間帯を決めて行う食事法のことを指します。今回は1週間、この「継続的断食」を続けた女性が道のりと、その結果のレポートです。
「断続的断食」への道。
最初に断っておきますが、私(筆者)は食事を忘れるような人ではありません。私の口から、「お昼ご飯食べたかしら」なんて言うことはそうないでしょう。食べ物はいつだって私にとって生きることの原動力であり、食べていないときには「食べよう!」と考え、決してダイエットもすることもありませんでした。でも、最近お腹周りのぜい肉(肉と言っていますが、余分な脂肪を指します)が気になってきたので、食べることを我慢してみようと決心したのです。
「断食」のメリット|神経科学者が示す効果
いわゆる“5:2ダイエット”と言われる、「週に2日は500キロカロリーに抑える」というもの。そして、“16:8ダイエット”とも呼ばれる、「1日16時間の間は食事を摂取せずに残りの8時間内で適度な食事をする」という2つが代表的な断食が、いま注目のダイエットおよび健康法として注目されています。
「ダイエット」と言いましたが、これは「食事療法」に近いものです。ですが、科学的にも体重を減らす効果が大いに期待できるという研究も報告されています。
当然、食事の時間枠が少ないほど、摂取カロリーが少なくなるのは推察できるでしょう。そればかりではなく、血糖値の改善、心臓病などのリスク減少にもつながるという研究結果も出ているようです。
また、ジョンズ・ホプキンズ大学の神経科学者マーク・マットソン博士の研究によると、「気分や記憶を改善しながら、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患を防ぐのにも役立つ可能性がある」と発表してもいます。
この研究結果がもし真実であって、さらに個体差もなく誰もが同じように効果が出るものならば良いこと尽くめです。だからこそ私は、自分でも挑戦してみたくなったというわけです。
それでは、私がこの挑戦で学んだことをご紹介します。
食事を摂らない時間帯は?「断食の効果を最大限に努力」
私は時間制限食のほうを選びました。すなわち、「16:8ダイエット(もしくは、16時間断食)」のほうです。ですが私なりに考え、断食時間を「18時間」とし、残りの6時間の間に食事を摂る方法を実践し、「午後8時から次の日の午後2時までの間は食事をしない」という決め事をしました。
そして初日は、何とか18時間断食できました。とは言え、そう簡単なことではありませんでした。スマホアプリの「ポケモンGO」でポケモンを捕まえるよりも素早く、私は強迫観念にとらわれ、食べ物のことばかり考えてしまうのです。
このときの心の声はというと、「お腹が空いた。お腹が空いた。とにかくお腹が空いた、何か食べたい」という感じです。
「おすすめは12時間から14時間、16時間…そして18時間と段階的に断食時間を増やしていく」
ですが、「簡単に諦めてしまうことは、最善の方法ではない」というのが私の信条です。
このダイエット法の専門家の中には、週に2、3日から始めて徐々にその回数を増やしていくことを推奨する人もいれば、12時間から14時間..、そして18時間と徐々に断食時間を増やしていくことを推奨する人もいます。
さらに、「断食」というのは誰もが簡単にできるものではないということで、「きついのであれば、やめればいいだけ」という割り切った専門家もいます。
ですが私は、そう簡単にあきらるタイプではありません。「12時間から1週間かけて、徐々に断食時間を延ばす」という段階的なアプローチを試みました。すると驚いたことに、私の渦巻く食への思いは次第に薄れていったのです。
断食を成功させる専門家からのアドバイスとポイント
私の場合、ルーティンワークのほうが向いているのでしょう。冒頭でも述べた神経科学者で、自らも過去35年間「断続的断食」を実践しているマットソン博士も同じようです。
この断食法でのアドバイスをマットソン博士に尋ねたところ、次のような回答をいただきました。
「朝はお茶やコーヒーを飲んで、午後1時まで忙しく仕事をするのがおすすめです。普段から運動をしている人は、正午あたりに運動をすることをおすすめします。それから適量の健康的な食事(例えば、600キロカロリーのもの)をし、残りの食事は昼過ぎから夕方にかけての3~4時間の時間帯に食べるようにします。この方法の最大のメリットは、午前中いっぱいは頭がすっきりして生産性が高まることです」と、マットソン博士は説明してくれました。
「断食が習慣化できれば楽勝でした」
そうして私は、そのまま実行してみました。
水、ブラックコーヒー、ブレットプルーフコーヒー(シリコンバレー流グラスフェッドバター入りのエナジーコーヒー)や緑茶をたくさんの飲みながら仕事のToDoをこなしていくことを、午前中の習慣としました。
午前11時頃になるとお腹がよく鳴りましたが、正午に予定しているヨガのレッスンやハイキングの時間が近づいていることがわかっていたので、乗り切ることができました。
午後1時30分頃にヨガ教室から家に戻るまでには、空腹感でいっぱいになってくるので、定番のギリシャヨーグルトにベリーとスライスアーモンドを添えたものを最初の食事として摂ります。
その後も無難に、時間内に夕食を摂ってスイーツを食べ、それでおしまいです。
「集中力が向上した」
数日経過してしまえば、それは私の新たな日常に。以前のような空腹サインは、もう鳴らなくなったのです。そう、マットソン博士は正しかったのです。
食事の準備、食事のプラン、食事の摂取、食後の後片づけといった、これまで食事に費やされていた精神的エネルギーは他に注がれ、集中力も向上したように思います。
朝食が身体に合わない人もいる。「空腹は必ずしも悪いことではない。心配の必要はない」
この継続的断食に挑戦する以前まで、私自身は“朝食”を重視していました。皆さんの中にも「朝食こそ一番大切な食事です」と、小さい頃から言われて育った人も多いのではないでしょうか。
そんな私も、この体験のあとには、あくまで個人の見解としてですが、「朝食は1日の中で最も重要な食事ではない」という結論に達しました。
頻繁に食べても、代謝が上がるとは限らないこと(炭水化物が常に体内を循環していると、身体は脂肪を燃焼できません)、それによく言われているように、「空腹は無意識に、過食へとつながるわけではない」ということが実感できたからです。
注意点:「健全な空腹で、健康的な心地よさを保つこと」
以前までの私の胃袋は、スマホメールの着信音かのような頻度で空腹感を感じ、瞬時にその食欲の声に応えてしまっていました。ですが断食によって、空腹という“ある意味での不快感”を“心地良く”受け入れる方法を学んだのです。
今ではその心の声は、母の声のようにも思えます。ときには威圧的ですが、あるときは見返りを求めない愛を注がれているような。それは全く正しいとは限らないこともわかっています。そして、誰にでも通じるような正当なものでもないことを理解しながらも。
そうして今回、自らの空腹感をやり過ごすために役立ったのは、「コーヒー」に「紅茶」、そして“最初に計画したスケジュールを守る”といった「覚悟にも似た決意」です。そして結果的に、「空腹は単に、浮かんでは消える感覚である」と理解できたのです。
とは言え「断続的断食」というものは、自身を飢餓状態まで追いやる修行のようなものではありませんので、やり過ぎないように注意しましょう。
ファスティングのメリット:「簡単で、エネルギーレベルが急上昇」
このようなダイエットに取り組むとなると、大抵は避けるべき禁止された食べ物があったり、やっていいことと悪いことのチェックリストがあったりして、頭がパンクしそうになるものです。
ですが、「断続的断食」のルールはいたってシンプルです。ガイドブックや料理の本といったようなものも必要ありませんし、夕食の際に失敗してしまうこともありません。なぜなら、ワインもチョコレートもデザートの存在も公平に扱われているのですから!
私にとって、このダイエットが有利に働いたもう一つのことは、「ものすごく気持ち良い」と感じられるようになったからです。もちろん、最初の数日間の空腹は楽しめませんでした。ですが、その一方で食事というものが、単にエネルギーレベルを上げるためにガツガツと食べるだけの行為ではなくなり、楽しむべきものとなったのです。すると次第に、すべてのものがより美味しく感じられるようになりました。「イチゴって、こんなにも甘いもの!?」、と思えたことには感動でした。
「空腹時の運動は意外な効果がある」
以前は、空腹時には絶対に運動をしませんでした。原則として、ハイキングやヨガのレッスンの2時間前には、何かお腹に入れて意識を失わないように気をつけていたのです。
その状態で運動しても、めまいがするどころか、もっと攻めていくことができたのです。ふらつきを感じる代わりに、私はより我慢強く突き進むことができました。
私は自身に課した使命感でそのミッションの山を登っていき、目的を持って断食という行為をいたずらのように楽しめたというわけです。 そうして科学的にも、その効果が研究結果で報告されているように、「絶食状態で運動すると、身体の脂肪燃焼の可能性が高まる」という特典も得たのです。関連維持:正しい「プランク」のやり方と時間
アドバイス:「体重は急降下しませんでしたが、それでもいいのです」
「1週間で10kg痩せた」とお伝えしたかったところですが、私の身体にはそこまで上手くはいきませんでした。それに、7日間しか断食をしませんでした。確かに食べる量も減りましたし、不思議と空腹感も減ったので、時間が経てば脂肪も減ると思われます。
でも、「体重を減らすこと」だけを考えて食事計画を実行すると、失敗することは目に見えています。体重が下がり始めても、それ以上変化は起きなくなると(恐らくいつかはそうなるものですが)諦めてしまうものです。
ですが「断続的断食」には、内発的な動機づけが組み込まれているはずなので、モチベーションはダイエット目的だけの人々よりも継続させることができる可能性は高いのです。
そんなわけで私の場合は、エネルギーも集中力も、そしてモチベーションと全てに至って高めることができました。そして空腹感も、自らコントロールして楽しむことができることを確認できました。
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Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。