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体脂肪を減らしたい人におすすめの食べ物10選「満腹指数の高い食品は、脂肪を燃焼させる食品に勝る」

食生活を見直すことで、目標体重への減量がぐっと近づくはずです。そこで、正しい食生活を目指すために知っておくべきいくつかのことをお伝えます。

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体脂肪を減らすために食べたい食品10選
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【目次】

例えばGoogleに「脂肪」「燃焼」「食品」などの検索ワードを入力すると、「賢く食べて減量しましょう」などと謳(うた)うダイエット記事が次から次へと出てきます。「カロリーゼロの食材」や「代謝を上げる食品」などの、分かるような分からないようなキーワードと並び、「脂肪を燃焼させる食べ物」もまた耳触りが良い響きから、よく目にするフレーズです。そこに悪意が隠れているとは思えないキーワードでもありますが、時に誤解を招きかねない言葉であることも理解しておきましょう。

そこで今回は、そのあたりの情報をきちんと整理することを目指します。

「脂肪を燃焼させる食べ物」とは何か?
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「脂肪を燃焼させる食べ物」とは何か?

厳密に言えば、脂肪を燃焼させる食品など存在しません。カロリーゼロ食品も、マイナスカロリー食品も同様です。

食べ物はそれがいかなる物であれ、口に運べばカロリーとして加算されるもの。例えばセロリ。「消化に必要なエネルギー量」が「摂取カロリー量を上回る」という理由を掲げ、セロリを「マイナスカロリー食品」などと主張する人も少なくありません。

ですが、これはバカバカしいにもほどがあります。

また、「脂肪を燃焼させる食べ物」という表現を額面通りに受け取ってしまえば、「その特定の食品だけ摂ってさえいれば脂肪がどんどん燃焼していく」というようなイメージが湧(わ)くでしょう。これもまたしかり…。

仮にバターだけを摂取するとしたら、身体はバターに含まれる脂質だけを燃料として体内でエネルギーを燃やすことになります。従ってこの場合、(上述のものさしではかれば)バターがまさしく「脂肪を燃焼させる食べ物」と分類されることになるでしょう。バターと言えば、高カロリーで飽和脂肪酸も多く含んでいますので、この例え話を真に受けて「バターだけを食べればいいんだ」などと誤解しないようにしてください。体重が減るどころの話ではありませんので。

体脂肪(脂肪組織)を燃やすということの意味

━━ところで体脂肪(脂肪組織)を燃やすとなると、エネルギー収支をマイナスにして、エネルギー不足の状態をつくる必要があります。

食事摂取量を減らすことで、その状態にすることも可能でしょう。要するにどう考えたところで、何かを食べればエネルギーを摂取することになるのですから、紛らわしい表現には誤魔化されないようにしなければなりません。

「腹持ちのいい」食べ物を選ぶ

しかし、ここでひとつ覚えておきたいことがあります。満腹感が長持ちし、栄養価に優れ、他と比べて低カロリーな食品というのが確かに存在するということ…を。そのような「腹持ちのいい」食べ物を摂ることで、身体をエネルギー不足の状態に近づけることができれば、体脂肪を減らす効果も期待できるというもの。言ってみれば「脂肪を燃焼させる食べ物」と、理論上は言えないこともありません。“あくまで理論上の話”ですが。

さて、前置きをひと通り終えたところで、今度は「満腹感を得やすい」食品について考えてみたいと思います。そんな食品さえあれば、空腹を耐えて惨めな気持ちにならずに済むはずです。

満腹感を得やすい食品とは?
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満腹感を得やすい食べ物とは?

満腹感を得やすい食品とは、つまり満腹指数(SI値=Satiety Index)の高い食品のことであり、食後の満腹感が長続きする食品を意味します。

良質のタンパク質、繊維質、健康的な脂質を多く含む食材ということで、食欲を安定させるのに役立ち、それゆえ過食を防ぐ効果もあると言えるのです。

果物や野菜類のように水分が豊富で、カロリーと質量のバランスが良い食材であれば、満腹感を長続きさせるのに望ましいでしょう。

満腹感を得にくい食品とは?
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満腹感を得にくい食べ物とは?

満腹感を得にくい食品とは、すなわち満腹指数の低い食品ということになります。つまり、食後の満腹感は長続きしません。上質のタンパク質や食物繊維、健康的な脂質も十分に含まれていないものが多く、食欲が満たされず過食に陥りやすいことも特徴となります。

例として、甘いスナック菓子、白パンや調理パンなどの生成炭水化物や、飽和脂肪酸の多い食品などが挙げられます

このような食品ばかりを選んでいると空腹感を覚えやすく、結局1日を通じてより多くのカロリーを摂取してしまうことにつながります。

加工食品を見極める「NOVA分類」とは?

また、NOVA*1という食品分類をご耳にしたことがある人なら、「超加工食品(ウルトラ・プロセスフード)」の悪影響についてもご存知のことでしょう。

「NOVA」とは、以下の4項目に食品を分類する方法を指します

  1. 安全性が最も高いのが果物や野菜、穀物、肉や魚の切り身、未加工の肉類といった非加工食品。
  2. 続いて油類、バター、砂糖といった調理のために加工された、いわゆる副材料(自宅やレストランのキッチンで、【1】を用いて調理するときに使う食材)。
  3. それから缶詰野菜、燻製肉、パン、チーズなど、正しく用いられることで健康的な食生活の支えとなる加工食品。
  4. そして最後に来るのが、いわゆる超加工食品。5種類以上の素材を含み、工業的に加工されたもの。例えば、インスタント食品、スナック菓子、菓子パンなど…。

*1参照:The UN Decade of Nutrition, the NOVA food classification and the trouble with ultra-processing

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図表(下記日本語一覧表):スザンヌ・ホルト博士によるSI値のチャート(PMID: 7498104)

満腹指数(si値=satiety index)とは何か?
Dr. Susanne Holt

満腹指数(SI値=Satiety Index)とは何か?

オーストラリアの研究者、スザンヌ・ホルト博士によって考案されたのが、満腹指数という概念です。

研究の参加者にそれぞれ240キロカロリーの決められた食料を与え、その後15分ごとに空腹度を評価し、その結果をまとめたものです。

実験後は参加者はビュッフェに移動し、なんでも好きなだけ食べることが許可されました。

まず、白パンの満腹指数を100として、それを基準に他の食品の数値化を行います。38種類の食品が参加者に与えられ、それぞれの数値が設定されました。

100より数値が高い食品であれば、白パンより満腹指数が高いということになります。反対に100以下であれば、満腹指数が低いという評価です。満腹指数の高い食品であれば満腹感が長持ちするため、その後の食事の量が減ることで全体的としてのエネルギー収支のバランスが整い、結果的に体脂肪の低下が促されることになります。

食品名(満腹指数 =SI値)一覧:ランキング

日本人の食生活のなかでも日常的に使用する食品をいくつかピックアップして一覧表にしています。

※上述のように満腹感指数すべてが白パンと比較され、100を基準としています。

  • じゃがいも:323%
  • 魚:225%
  • お粥 / オートミール:209%
  • オレンジ:202%
  • りんご:197%
  • ブラウンパスタ(本記事下記説明アリ):188%
  • 牛肉:176%
  • ブドウ:162%
  • 全粒粉パン:157%
  • 菓子パン:154%
  • ポップコーン:154%
  • たまご:150%
  • チーズ:146%
  • 白米:138%
  • クッキー:120%
  • パスタ:119%
  • バナナ:118%
  • フライドポテト:116%
  • 食パン(白パン):100%
  • 穀物、ナッツ、ドライフルーツMIX:100%
  • アイスクリーム:96%
  • ポテトチップス:91%
  • ヨーグルト:88%
  • ケーキ:65%
  • クロワッサ:47%
体脂肪率を下げるための、満腹感を得やすい食べ物10選
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体脂肪率を下げるための、満腹感を得やすい食べ物10選

それではここで、カロリー目標の達成に寄与する、満腹感を得やすい食品をいくつか紹介していきましょう。

満腹指数のチャートからそのまま選出したものや、高タンパク質であることがエビデンス*2により裏づけられている腹持ちのいい食品を選んでみました。

*2参照:Protein-induced satiety: Effects and mechanisms of different proteins

1
ゆでたジャガイモ|満腹感を得やすい食べ物
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ゆでたジャガイモ|満腹感を得やすい食べ物

ホルト博士の満腹指数におけるジャガイモの満足度は、最高レベルの域となっています。ここで最低の評価を得たクロワッサンと比べ、実に7倍の満腹感を得られるという結果です。

「痩せたいならジャガイモ、太りたければ(筋肉のために増量を目指すなら)米」という格言を、ご存知の人もいるでしょう。これは、ジャガイモのカロリー数に比較して満腹感の高さからきています。

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2
魚類|満腹感を得やすい食べ物
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魚類|満腹感を得やすい食べ物

魚類は赤身の牛肉や鶏肉と比べ、カロリー当たりの満足度が高いことがホルトの満腹指数により示されています。タラやサーモンといった健康的な脂質を多く含む魚なら、特に良いでしょう。関連記事:タンパク質の含有量が豊富な「魚」14選

3
ポリッジ(オーツ麦を水やミルクで煮て作るお粥)|満腹感を得やすい食べ物
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ポリッジ(オーツ麦を水やミルクで煮て作るお粥)|満腹感を得やすい食べ物

イギリス人にとっては朝食の定番で、昔から親しまれてきた朝食のひとつ「ポリッジ(Porridge=オーツ麦を水やミルクで煮てつくるお粥)」。

オーツ麦ですが、満腹感がとても長続きする食品として知られています。これならランチタイムまで、空腹を感じることなく過ごせるでしょう。オーツ麦には食物繊維とタンパク質が豊富に含まれており、また炭水化物にも優れているためエネルギー補給と疲労回復に役立ちます。

4
鶏肉|満腹感を得やすい食べ物
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鶏肉|満腹感を得やすい食べ物

ホルト博士の満腹指数チャートには記載がありませんが、鶏肉(チキン)もまた、脂肪率を下げる食材として古くから親しまれてきた食材です。高タンパクであることが、満腹感を得やすい理由です。おすすめ記事:鶏の胸肉にある、あの白い模様(ホワイトストライプ)の正体は?

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5
牛肉(赤身)|満腹感を得やすい食べ物
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牛肉(赤身)|満腹感を得やすい食べ物

牛肉料理やステーキは、満腹指数で高得点となっています。ただし、カロリーの摂り過ぎを避けるためには脂身の少ない赤身を選ぶことが重要です。

6
ベイクドビーンズ|満腹感を得やすい食べ物
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ベイクドビーンズ|満腹感を得やすい食べ物

ベイクドビーンズ(=インゲンマメを甘辛いソースで調理した英国の定番料理)は高タンパクで食物繊維が豊富であるため、腹持ちのいい食べ物です。

全粒粉のパンのうえに低脂肪チーズとベイクドビーンズをトッピングすれば、ベジタリアン(肉や魚を食べない、またチーズやミルクなどの乳製品とたまごをOKとする人もいれば、動物由来の食品はNGとする人もいます)にとっても望ましい、運動後の高タンパク食の完成です。

7
たまご|満腹感を得やすい食べ物
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たまご|満腹感を得やすい食べ物

卵料理と言えば朝食に欠かせない定番メニューであり、満腹指数も高レベルです。全粒粉のパンにたまごをのせた高タンパクの朝食をしっかり摂れば、ランチタイムまで満腹感が続くはずです。

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8
オレンジ|満腹感を得やすい食べ物
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オレンジ|満腹感を得やすい食べ物

「間食をするならヘルシーな果物を」と言われて、驚く人などいないでしょう。中でもオレンジは、水分と食物繊維とをたっぷり含んだ優れモノです。

さらに、健康に寄与する微量栄養素(=タンパク質・炭水化物・脂質といった多量/マクロ栄養素に対し、微量ながらも人の発達や代謝機能を適切に維持するために必要な栄養素であるビタミン、ミネラルなどを指す)も充実しています。

9
リンゴ|満腹感を得やすい食べ物
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リンゴ|満腹感を得やすい食べ物

リンゴと言えば、大量に含まれる繊維質と水分によって、食欲を満たす優れた食品として昔から親しまれてきた果物です。低カロリーであることから、体脂肪を減らしたいという人には特にありがたい食品です。

10
ブラウンパスタ|満腹感を得やすい食べ物
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ブラウンパスタ|満腹感を得やすい食べ物

ブラウンパスタ(=小麦粉を使わず玄米や全粒粉、雑穀を原料としたパスタ)は満腹指数が高く、減量に適した食品です。適量を心がけながら、高タンパクのソースを合わせることで食べ応えがあり、満足度の高いひと皿となるでしょう。

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食物の産熱効果(thermic effect of food=tef)が特に高い食品
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食物の産熱効果(TEF)とは?

━━ところで、食物の産熱効果(thermic effect of food=TEF)が特に高い食品があるということをご存知でしょうか?

食物の産熱効果(TEF)、もしくは食事誘発性熱産生(diet-induced thermogenesis=DIT)とは、食物を消化する際に費やされるエネルギー量を計る指標です。

高タンパク質や高繊維質の食品を中心に摂ることで、このTEFやDITを理想的なレベルに整えることに役立ちます。

(例えばエクササイズなどの)エネルギー消費量の高い活動と比べれば、その効果は微々たるものに過ぎないかもしれません。ですが、それでも役立つことには変わりありません。

食物の産熱効果を高める食事:5つのヒント
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食物の産熱効果を高める食事・食べ物:5つのヒント

食物の産熱効果を高めるために、以下に挙げる要素を意識して食事に取り入れることを心がけると良いでしょう!

  • 高タンパク食品:鶏肉、牛肉、たまご、魚類、乳製品を上手に取り入れることで食物の産熱効果が高まります。
  • 繊維質が豊富な野菜類や豆類:ブロッコリー、ほうれん草、レンズ豆、ひよこ豆など、TEFを高めるのに効果的な食材です。
  • 全粒粉:ブラウンパスタ、全粒粉のパン、玄米などの食品には、精製されたものと比べて食物繊維が大量に含まれています。
  • カフェイン:食品ではありませんが、食事と合わせて飲むことで代謝量の増加に多少なりとも貢献することが分かっています
  • スパイシーな食べ物:香辛料(スパイス)には発熱作用があることが知られています。一時的に代謝を高めることが、エビデンスに示されているスパイスもあります。効果は短期間かつ小さなものかも知れませんが、美味しい食事に欠かせないスパイスを上手に使ってTEFを高めましょう。ただし、スパイシーなものを食べ過ぎることで消化不良を起こす場合もあるようですので、適量を心がけることが重要です。

Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。

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