タイタニック号(RMS Titanic)はイギリスのホワイト・スター・ライン社が20世紀初頭に建設した豪華客船で、乗客と乗組員を合わせて定員はおよそ3300人ほどでしたが、正確な乗船人数は実際のところ不明です。当時、世界最大の豪華客船として注目を浴び、その処女航海に乗ろうと多くの貴族、富豪、名士の絢爛(けんらん)たる顔ぶれが乗船していたことは、映画『タイタニック』を通して多くの方がこの悲劇とともにご存知のことかと思います…。

 1912年4月10日にイギリス・サウサンプトン港を出発したタイタニック号は、4月14日から15日にかけての深夜に氷山と衝突した後、大西洋に沈没しました。沈没から生還したのはわずか1/3ほどで、約1500人以上もの人々が犠牲となったと言われています。がしかし、遺体として発見されたのはたったの約340人程度だったのです。

 アメリカ・ニューヨークへ向かっていたタイタニック号はいま、カナダのニューファンドランド島東方の大西洋上に位置するテラ・ノヴァ油田の南600 kmの深さ約3800メートルの場所にひっそりと沈んでいます。2つに割れてしまったこの難破船は、互いに約600メートル離れた場所に位置しています。

 沈没後ほぼ一世紀の間、遺体や船、船内に残された調度品などを回収するか議論されてきましたが、主な試みは1996年に失敗に終わっています。しかし2014年から2019年8月初頭にかけ、海中技術の進歩と海洋の理解を深めるための支援を行う民間企業キャラダンオセアニックが率いる深海探検家と国際的な科学者のチームが、この難破船に8日間計5回ダイブを実施しました。 

 そこでチームは、研究のため難破船の構造に合わせて特別に改造したカメラを使用し、撮影を行いました。そのビデオは、イギリスの制作会社アトランティックプロダクションの手掛けるドキュメンタリームービーで使用されます。

RMS Titanic Expedition
Xavier DESMIER//Getty Images
1996年に撮影されたタイタニック号の船長室にあったバスタブ。

 しかしこの研究では、良いニュースをもたらすことはできませんでした。タイタニック号は温度約1度ほどの冷たい海底に一世紀以上にわたり沈んでいたため、海流の摩耗などにより膀弱になっていたのです。塩水やバクテリア、そして地電流は、予想以上に難破船に影響を及ぼしていたのです。

 最も劣化が進んでいたのは、船長室です。「タイタニックのファンたちに人気だった船長のバスタブは、今ではなくなっています。今後も劣化は進行し続けるでしょう」と、タイタニックの歴史家であるパークス・スティーブンソン氏は言います。

 現場付近ではチームが花輪を敷き、事故の儀税者を追悼する簡易的な式典が行われました。今後、前方ラウンジの屋根は崩壊し、船の内部を覆い隠す可能性もあります。この自然の流れが止まったり、停止させたりする要素は現時点で見つかっていません。この崩壊が止まることは、あまり期待できないのが現状なのです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Sub dive reveals Titanic decay - BBC News
Sub dive reveals Titanic decay - BBC News thumnail
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From ESQUIRE IT
Translation / Esquire Digital
※この翻訳は抄訳です。


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