• 世界最大の花は、腐った肉のような臭いで知られるラフレシア属に分類されます。
  • 写真の花はラフレシアの一種であるラフレシア・トゥアンムデと考えられ、インドネシアのマニンジャウ保全林で発見されました。
  • この花の直径は約107cmで、これまで見つかった最大のものより約4cm大きいと言います。

 全ての花が、バラのように香るわけではありません。

 例えばラフレシア・トゥアンムデの場合は、「悪臭死体ユリ」あるいは「死体花」というニックネームで一般的に知られいます。そう呼ばれているわけですから、この花の臭いを嗅いだことがある人はすでにしかめっ面となっているでしょう。それはもう、腐った肉といったところです。

 2020年1月上旬、そんなラフレシア・トゥアンムデの中でも過去最大の個体が、インドネシアのマニンジャウ湖近くの森林で発見されました。世界最大の花となったこの個体の直径は約107cmで、これまで見つかった最大の個体より約4cm大きいものでした。

 また、この2つの記録的個体はまったく同じ場所で見つかっており、同じ植物である可能性が示唆されています。

 ラフレシア種の花は、いずれも死臭を放ちます。が、これらの花は1週間にわたって周囲に悪臭を振りまいた後、すぐに腐り始めます。ラフレシア属の花の開花には、およそ9カ月がかかるため、このわずかな開花期間は興奮すべき貴重なものなのです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Rafflesia flower opening
Rafflesia flower opening thumnail
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 ラフレシアはその驚くべきサイズと臭いが注目されがちですが、最も興味深い点を皆さん見逃しがちです。それは…この花は寄生生物であるということ。

 『ニュー・サイエンティスト』誌によれば、この花は葉っぱや茎、根を持たず、宿主植物の中に隠れていると言います。ラフレシアはブドウ科に属するミズバカズラのつるに寄生し、この植物から成長・開花のための栄養や水分を受け取ります(横取りします)。

 では最後に、ラフレシアの花はなぜこれほどの悪臭を放つのでしょうか?

 実はこのひどい臭いには、生物学的機能があることが明らかになっています。この臭いは受粉に役立つハエやその他の昆虫を引き寄せ、この植物の繁殖プロセスに役立つのです。硫黄を含むジメチルジスルフィドのような化合物が、この腐敗臭の原因であると言われています。

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 このような臭いで、昆虫を引き寄せる植物は他にもあります。ザゼンソウ(東スカンクキャベツ)はその名の通りスカンクの死体のような臭いですし、ヒドノラ・アフリカーナの場合は糞便のような臭いを放ちます。また、「死体花」としても知られるショクダイオオコンニャクは、インドネシア原産のさらに珍しい花であり、4〜6年に1回、わずか24〜48時間しか開花しません。とは言えラフレシアと違って、この ショクダイオオコンニャクが死臭・腐敗臭を放つのは、枯れた後数日のみになります。

 実際に皆さんが遭遇した際は、遠くから見るのが一番かもしれません。いかんせん、この花の悪臭に耐えられる方はおそらくいないことは明らかですので...。ですが、万が一出合ったときには、顔を寄せてInstagram用に写真を撮るに違いありませんが…。そのために探検をしようと計画している方は、まずは息を長く止められるよう練習しておきましょう(笑)。


Source / Popular Mechanics
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。