※本記事は、「エスクァイア」USのスタイル・ディレクターであるジョナサン・デイヴィス(Jonathan Evans)による寄稿です。


私たちUS編集部はもちろん…、各国の「エスクァイア」編集部は当初から注目していた企画です。当時、オメガ(OMEGA)とスウォッチ(Swatch)のコラボレーションに対して懐疑的な眼差しを向ける人は少なくありませんでしたが、私たちは違いました。

ともにスウォッチ・グループ傘下にその名を連ねるふたつのブランドが手を組むことで、「いったいどんなに楽しい時計が登場するのだろう?」と、ワクワクしながら発表を心待ちにしていました。

そのニュースを初めて聞いたのは、ちょうど1年前の今頃でした。そのとき巷では、「あの格調高いオメガの『ムーンウォッチ プロフェッショナル スピードマスター』の価値が、『ムーンスウォッチ』によって台無しになってしまう…」などと危惧する声があふれましたが、(もう一度言います…)私たちは「そんなはずはない!」と断言していたのです。

とは言え…そんな私たちでさえ、「その状況を過小評価していた」と認めなければなりません。なぜなら結局のところ、「ムーンスウォッチ」こそがさまざまな意味で“2022年を象徴する時計”となったのですから…。

発表にともなって展開された一種過剰とも思えるハイプ(大々的な宣伝)から、その発売後に起きた人気の大爆発まで、「お手ごろ価格」と「希少性」とが奇妙な具合に混ざり合い、特に「ミッション・トゥ・ネプチューン」のようなレアなモデルを入手した人などは、まさに天文学的な落札価格を設定してeBayなどに出品する始末…。バイオセラミック製の、どちらかというと控え目とも思えるタイムピースが、あらゆる意味で話題を独占してしまったのです。

【おさらい】
「ミッション・トゥ・ムーンシャイン・ゴールド(Mission to Moonshine Gold)」とは?

「omega × swatch」ムーンスウォッチ ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールド
OMEGA × Swatch

さて、そこで今回の一件ですが、これはオメガとスウォッチによるコラボレーションの成り行きを注視している人々にとっては特に驚くべきニュースではないかも知れません。

「ミッション・トゥ・ムーンシャイン・ゴールド(Mission to Moonshine Gold)」──ひと言で言えば、オリジナルの「ミッション・トゥ・ザ・ムーン」の秒針に金メッキを施し、価格を260ドルから285ドルへと引き上げたモデル(=日本の価格設定ですと3万6300円から3万9600円に引き上げたモデル」)──が、先月(2023年3月7日)の満月の夜に世界各地でたった1日限定で発売されたのです…それが、ムーンシャインゴールド™の秒針を備えた「Mission to the Moon」なのです。

……ところが米国での発売は見送られていました。それが、なんと先日(2023年4月6日)の木曜日、米国東部時間の午後7時きっかりにタイムズスクエアに旗艦店のあるニューヨークに、遂に上陸したワケなのです。

※ニューヨークの他、世界13都市で1日限定で発売されました。

「omega × swatch」ムーンスウォッチ ミッション・トゥ・ムーンシャインゴールド
OMEGA × Swatch

さて、これが「ムーンスウォッチ」のファンにとって何を意味したかお判りでしょうか?

これまでのリリース状況を見る限り、需要の高さに比べて供給される本数は不足することが予想されていました。水曜の夜には行列ができ、店舗前で夜明かしする人も現れるという…つまりここでも、あの気の遠くなるような状況だったわけです。

しかし、確かな目を持った人々は、この状況をはるか以前に見抜いていました。これは「ムーンスウォッチ」というその名にちなんだ、満月の夜に合わせた発売開始だったわけです。

つまりは、満月がそのピークに達したのは午前0時34分。ムーンシャインゴールド™の秒針を備えた「Mission to the Moon」のニューヨーク着陸は、その18時間と36分前のタイミングとなったワケです。

ちなみに第二弾の限定発売では
何かデザインは変わったのか?

(2023年3月7日に発売されたモデルと比較して)今回の2023年4月6日に発売されたムーンシャインゴールド™の秒針を備えた「Mission to the Moon」は、何か異なった部分はあるのか!?…と言うなら、ゴールドのクロノグラフ秒針に、肉眼で確認するには少し難しいとも思えるとような小さな数字の『3』があしらわれています。この理由は、2023年3月7日の満月限定で製造したモデルのため、秒針に『3』とあしらわれています

ちなみに、2023年3月7日に発売されたモデルは、2023年2月の満月に製造されたモノであるのですが、こちらには数字はあしらわれて“いません”。これにより、4月6日に発売されたモデルはより一層の特別感を入手者は味わうことができたのではないでしょうか。

Source / Esquire US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Hikaru Sato