『エスクァイア』US版のクリエイティブ・ディレクターであるニック・サリバンが、お届けするコラム「Dialed In」へようこそ! 時計業界で起きているさまざまな出来事や最重要ニュースをお届けしています。ここでは、日本版による加筆とともにお送ります。


2022年、スウォッチは街を騒然とさせました。それはスウォッチ グループの中でも安定株の筆頭である「オメガ」とのコラボレーションで誕生した「ムーンスウォッチ」によって。スウォッチ独自のバイオセラミック素材を使用し、このブランドのアイコン的存在の名モデル「スピードマスター」をわずか260ドル(日本価格で4万円弱)という価格で多くの人々に提供してくれました(実際、多くとは言えないかもしれませんが…)。そしてこのたび、スウォッチ グループのもうひとつのメンバーである「ブランパン」との新たなコラボレーションが登場し、燻(くす)ぶったかと思われる火にさらなる油を注ぎます。

スウォッチxブランパンによって、
新たな熱狂が生まれるだろう

スウォッチxブランパンによる「Bioceramic Scuba Fifty Fathoms(バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス」は、オリジナルの「フィフティ ファゾムス」70周年を記念したものです。「Fathoms(ファゾム)」とはヤード・ポンド法における長さの単位で、日本の尺貫法では「尋(ひろ)」に相当するもので平均的な成人男性の両手を広げたときの幅に近い。1ファゾムはイギリスでは6フィート=2ヤードとされ、1.8288メートルとされています。そして「Fifty Fathoms」ということなので、50 x 6フィート=300フィートの水深に耐えられる防水機能を謳(うた)ったモデル名ということになります。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

当時としては、プロ用ダイバーズウオッチの防水性の新境地を切り開いたモデルとして、スキューバダイビングのパイオニアたちの間で瞬く間に評判となりました。かのフランスの海洋学者・地球科学者ジャック=イヴ・クストーと彼のチームは、1956年に最も画期的な水中ドキュメンタリー映画のひとつ『沈黙の世界(Le Monde du silence』を撮影する際、この「フィフティ ファゾムス」を着用しています。

また、アメリカ海軍のシールズからフランスやドイツの海兵隊まで、さまざまな軍隊が「フィフティ ファゾムス」を採用しています。そうして1960年代には、スキューバが一般的な趣味の一部として情熱とともに発展するにつれ、この時計は丘の上でも重要な役割を果たす多目的ツールウオッチの最高峰として君臨するようになります。

このようなさまざまな伝説から「フィフティ ファゾムス」はダイバーズウオッチのコレクターにとって、バケットリスト(死ぬまでに欲しいものリスト)の中でも上位3本指に入るモデルとなっているのです。

the new blancpain x swatch bioceramic scuba fifty fathoms alongside the watch that inspired it
Swatch
スウォッチxブランパンの新作「バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス」。

約300フィート(約91メートル)の防水性を誇るこの新しいコラボウオッチには、世界の5つの海からインスピレーションを得た、実に“ブランパンらしくない”5つのカラーコンビネーションが用意されています。

ルックスは5つの時計ともに同一となっていますが、その中身は…オリジナルの「フィフティ ファゾムス」がさまざまなプロフェッショナルや軍用時計として使用されていたことから、放射線や水分のインジケーターなど微妙なバリエーションが用意されています。

心配は無用
「ブランパン」の名のもとに
ムーブメントは機械式

ここで、「ある心配事」が浮上している人も少なくないでしょう。なおも冷めやらぬ「ムーンウォッチ」と同様に、「ムーブメントも変えているのでは?」と…。でも、大丈夫です。“ミスター・ブランパン”の異名をもつジャン-クロード・ビバー(Jean-Claude Biver)が、1981年にパートナーであるジャック・ピゲ氏とともにブランパンを2万1500スイスフラン(当時の相場で約245万円)で買収したときに打ち出したスローガン「1735年の創設以来、ブランパンのクォーツ時計は一度も存在しない。そしてこれからも出ることはないだろう」の言葉どおり…。この「フィフティ ファゾムス」の新モデルには、スウォッチの機械式ムーブメント「SISTEM51」が搭載されています。

the antarctic ocean colorway
Swatch
まさにスウォッチ流。どのモデルも透明なケースバックから、ムーブメント「SISTEM51」が見えるようになっています。そこには、「ARCTIC OCEAN(アークティックオーシャン)」「PACIFIC OCEAN(パシフィックオーシャン)」「ATLANTIC OCEAN(アトランティックオーシャン)」「INDIAN OCEAN(インディアンオーシャン)」「ANTARCTIC OCEAN(アンタークティックオーシャン)」の五大洋それぞれの地図とともに、いずれにもカラフルな海洋生物「ウミウシ」のイラストが描かれています。

1983年の創業から30周年を記念し、2013年にスウォッチから誕生した新たな革命…それがこの「SISTEM51」です。これが画期的なオートマティック(自動巻き)の機械式ムーブメントで、オリジナルのスウォッチ時計と同じように51個のコンポーネントと中央のネジ1本のみからできています。シンプルかつ、より効率的になった設計に成功することで実現した革命的なもの(多くの機械式ムーブメントは、その2倍以上のパーツでできています)。機械式時計で通常必要となる手動の歩度調整が不要で、90時間パワーリザーブ機能を備えています。

このムーブメントはシースルーバックから鑑賞可能で、それぞれの時計には精巧にレーザーエッチングされたウミウシが、隠し要素的に配されている。ウミウシはこの時計とつながりのある特定の海に生息する海の生き物だ。ムーブメント自体にも、特定の水域のレーザープリントが施されている。これは高級時計的要素ではなく、昔ながらの遊び心から来ている。

しかも42.3mm径のケースは、セラミックとヒマシ油由来のバイオ素材を2対1でブレンドしたバイオセラミック製。それぞれに付属するNATOストラップは、海洋で採集された漁網を再利用してつくられたものになっています。

このように自動巻きムーブメントを搭載し、優れた防水機能によってスウォッチxブランパンの「フィフティ ファゾムス」。言うまでもなく「ムーンウォッチ」に比べ必然的に価格もアップし、価格は400ドル(日本では6万500円)。9月9日(土)より、スウォッチ直営店のみでの発売なので、長蛇の列が予想されますので心して臨んでください。

最後に、「HODINKEE 」が制作した動画をご紹介しましょう。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
スウォッチ×ブランパンのスキューバ フィフティ ファゾムスは本物だ|Introducing| HODINKEE Japan
スウォッチ×ブランパンのスキューバ フィフティ ファゾムスは本物だ|Introducing| HODINKEE Japan thumnail
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◇詳細

Swatch x Blancpain Scuba Fifty Fathoms
スウォッチ×ブランパン
「スキューバ フィフティ ファゾムス」

型番:
SO35N100(アークティックオーシャン)

SO35P100(パシフィックオーシャン)

SO35A100(アトランティックオーシャン)

SO35I100(インディアンオーシャン)

SO35S100(アンタークティックオーシャン)

ケース径:42.3mm
ケース厚:
14.4mm
ケース素材:
バイオセラミック
文字盤:
ブルー、イエロー、ベージュ、グリーン、ホワイト
防水性能:
約91m
ストラップ:
NATOスタイルストラップ
ムーブメント:
SISTEM51(自動巻き)
パワーリザーブ:約90時間
振動数:
2万1600振動/時

公式サイト

Translation / Utah Zion
※この翻訳は抄訳です

From: Esquire US