今まで、栄養素についてお話ししてきましたが、『栄養が大事なのはわかるけど、どんな食事をしたら良いか分からないな・・・』という方も、なかには多いのではないでしょうか。私自身もアスリートではないですが、女性らしく筋肉も適度にある体型や綺麗な肌質になるためには、どんな食事をしたら良いのかと毎日のように考えています。そこで現在おすすめしたい、いくつかのポイントを述べさせていただきます。

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2008年10月16日のこと。イングランド・ロンドンのウェンブリー・スタジアムにて。当時33歳のデヴィッド・ベッカム氏は、「GO3」の新たな冷凍食品であるフィッシュスティックの広告塔を務めました。この食品には生活習慣病予防やダイエット、美肌に欠かせない栄養素として注目の「オメガ3」を豊富に配合しているので、お父さんとしてこの食べ物はおすすめです…的発言を当時していました。でも、アスリートとして、いくら「オメガ3」が配合されているからといって、揚げ物の冷凍食品をおすすめいいのでしょうか? そんな疑問を、当時抱いた方も多かったのでは⁉ Photograph/Chris Jackson(Getty Images)

カラダ革命のすすめ第5回 アスリートの理想の食事とは?「前提として…」

第一に…前提としてあげたいのは、
「美味しい食事・自分の体が喜ぶ食事であること」
 
 いくら栄養を考えた食事であっても、美味しくなければ食が進みません。さらに、このことを忘れないでください…、「美味しいな」と思う感情は実はストレスを軽減してくれるのです。 

 では、そこでのポイントとしては何でしょう? 

 それは“シンプル”であることが、第一に大切です。手が込んだものでなくシンプルな調理法こそ、美味しい食事が用意できる可能性が高い…と言ってもいいでしょう。また、調味料も本当に純粋なものを使うことに徹してください。そうすれば食材本来の旨味も引き立ち、余計な糖分・塩分等も取らずに済むのです。そう、食材・調味料にこだわるのは、最高のご褒美になるのです!


第二に…「栄養バランスの良い食事にすること」

 といっても、何が栄養バランス良い食事なのか分からない方も多いので、簡単なコツをお教えしましょう。

○野菜は、彩り豊かに用意する
○脂身の少ないタンパク質を選ぶ
  (魚・肉をバランス良く)
○お菓子は避け、フルーツやナッツを取り入れる
○納豆、ヨーグルトは善玉菌を増やす優秀な食品。
  なので、前向きに摂り入れる
 (用意するだけで、調理しなくても良いので簡単)

 
ここでポイントをひとつ。“まごはやさしい“という言葉を、皆さんはご存じですか?

=豆類、味噌、豆腐など(大豆には良質のタンパク質やミネラルが豊富)

=ごま、ナッツ類(不飽和脂肪酸・ビタミンが豊富)

=ワカメなどの海藻類(ミネラルの宝庫)

=野菜(ビタミンの宝庫)

=魚(タンパク質、オメガ3脂肪などが豊富)

=椎茸などのきのこ類(食物繊維が豊富で、腸内環境を良くし免疫力アップ)

=いも類(糖質、食物繊維、ビタミンCなどが豊富) 

 
 実はこの言葉に沿って食材を揃え、献立を立てると、非常にバランスの取れた食事を作ることができるのです。そして、今まで紹介してきたポイントが、よく当てはまるものがあります。それは、私たち日本人の誇りでもある和食なのです。 

 和食は低脂肪・高タンパク質で野菜も豊富、そして調理もシンプルで、私たち日本人の体に最も合う料理です。特に和食は、味噌や納豆などの発酵食品を多く利用しています。その中にある麹菌などは、日本人にとって相性の良い菌なのです。その点、腸が一番正直に反応してくれるでしょう。腸内環境が悪ければ、体全体のコンディションに悪影響を及ぼすのです。経験はありませんか? 

 腸はいろんな善玉菌がいることでどんどん体内を強くしてくれ、様々な効果をもたらします。ヨーグルトなど、乳酸菌を摂取するのも良い方法なのですが、シンプルな和食料理をコンスタントに食べることこそ、良い方法なのではないでしょうか。これはアスリートのみならず、私たち一般人の体にも喜ぶ食事なのです。

今日の体は、昨日までの食べ物でできている

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2017年8月4日、アメリカ・ニューヨークのクイーンズベローのシティフィールドでの対ニューヨーク・メッツ戦に登場した、移籍後初登板となるダルビッシュ選手。7回99球を投げ3安打1四球無失点、10三振を奪う力投で7勝目を飾りました。Photograph/Elsa(Getty Images)

 
 アスリートと一般の方ではエネルギー消費量も違えば、筋肉量なども違います。また、そもそも必要な栄養素の量が違い、食事の量や食べる回数、それにタイミングなども変わってきます。アスリートの中でさえ、個々で違いますから…。しかしながら、基本的なことは一緒なのです。 

 体を鍛えている方が身近に感じられるようになった現在、ご自身の健康管理に目を向ける方も増えたことに、私は非常に嬉しく思っています。

 私としては自分自身の体をよく観察し、自分の体に合うバランスの取れた食事や運動をすることこそが、脳の活性化や健康的な体作りへとつながる一番ふさわしい方法だと考えています。そして、その体が基盤となって、より質の高い生活を送ることへとつなげてくれるのだと、私は思っています。 

 
 もしあなたが健康への第一歩として「肉体作りから始めよう!」とおっしゃるなら、最初のステップは「食生活の見直し」からぜひ始めてください! それはなぜか? 2017年7月31日にロサンゼルス・ドジャースへの電撃移籍が発表されたダルビッシュ有選手の言葉を以前ご紹介しましたが、皆さん覚えていらっしゃいますか? 

 「今日の体は、昨日までの食べ物でできている」 

 この言葉どおりです。毎日の食事の栄養素からしか、自身の体を作ることはできません。皆さんも、もう一度ご自身を見つめ直し、自分がいちばん喜ぶことである「バランスのとれた美味しい食事」を継続して、自分を高めていきましょう! 

 

〜理想の献立をご紹介〜

 私が和食の中でも、一番の黄金バランスだと思う和食を挙げましょう。それは“ご飯、味噌汁、焼き鮭(おろし添え)、ほうれん草の胡麻和え、納豆、フルーツ”…のような、ごく普通の朝食メニュー、本当にシンプルなものです。ですが、これこそまさに栄養の宝庫なのです。 

 忙しい方や調理に自信がない方は、このようなシンプルなものを選んでいくことをおすすめします。そして下記の、“より栄養の質を高めた献立”を考案しました。ここでの違いを簡単にご説明しますと…。

 たとえば同じ納豆でも、野菜や梅肉を入れることで、ビタミン・ミネラルの摂取・消化吸収を助ける、疲労緩和の期待できるクエン酸が豊富な上に、味の変化も楽しめるのです。ぜひ参考にしてみてくださいね!! 

【メインが魚の場合】
・ひじきの炊き込みご飯
・豆腐の味噌汁
・鯖のみぞれ煮
・豆苗と椎茸のお浸し
・彩り蒸し野菜 胡麻だれ
(南瓜・ミニトマト・キャベツ・ブロッコリー・パプリカ)
・たたきモロヘイヤの納豆梅肉和え
・フルーツ 

 
【メインが肉の場合】
・薩摩芋ご飯
・根菜の粕汁
・豚肉の西京焼き
・小松菜と人参としめじのくるみ和え
・あおさ入り卵焼き
・とろろ納豆
・蜂蜜入りフルーツヨーグルト


 以上のことを注視して、高く強く逞しい体を目指してください。アスリートでない方も、健康的でより良い生活をおくるために、ぜひ実践を。その延長に、素晴らしい結果が待っているはずですから…。


 

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文責:原 梢(栄養士&調理師)

(C)Getty Images
Text/Kozue Hara