※本記事は、アメリカ人女性コラムニストであるサマンサ・フライさんによる寄稿です。

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犬がいる家庭は免疫システムが高くなる!?

 「私は毎晩、3歳になる体重45ポンド(約20kg)の愛犬と同じベッドで寝ています」。

 ダルメシアンとヒーラーの血が混じったこのメスの愛犬と私の間には、もう何年も変わらない“おやすみの儀式”があります。私が犬(以後、彼女と表記)にご褒美をあげると、彼女がまず片方の脚を差し出し、次にもう片方の脚も差し出して、ハイタッチのような仕草をします。この儀式が済んでから私は、ライトを消します」

 「ところが最近、私はあることが気になり始めました。彼女と同じベッドで眠るのは、私にとっては良いことなのであろうか?と…。そんな疑問が浮かんできたのは、私が彼女と外で遊んでいたとき、彼女が耳を切ったのがきっかけでした。私は彼女を家の中に連れて帰り、傷の部分をきれいにしました。傷の処置が終わると、彼女はさっそくベッドルームに駆け込み、ベッドの上に飛びのって、ベッドカバーのそこかしこに血をこすりつけてしまいました…」

 「『私の愛犬は実はかなり汚ないのではないか…!?』、そんな考えが、ベッドカバーについた血をぬぐっていた私の頭の中にふと浮かびました。彼女は泥の中で遊んだり、脚の爪を噛んだり、猫の吐いたものを口にしたりしますし、ウンチを踏んづけたり、トイレのボウルの水をのんだりするのこともよくあることです。そんな愛犬と同じベッドで、自分は毎晩寝ている…ペットである犬と同じベッドで眠るのは、実のところ私の健康にいいことなのでしょうか…」

愛犬と一緒にベット?肯定的な意見と否定的な意見

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 「そんな疑問を抱いた私は、さっそくグーグルで『ペットの犬と一緒に眠るのは健康に良くないことか』と検索してみました。すると、肯定的な意見と否定的な意見の両方が見つかりました。犬と眠るのは問題ないというサイトもあれば、反対意見の出ているサイトもありました。ただし、検索結果の多くは犬好きのブロガーが書いたもの。正直、私にとってブロガーというのは、健康面の意見に関して言えば、参考にしたい人たちは言えないのですが…」

 「そこで私は、自分で調査してみることにしました。私はジャック・ギルバート先生に電話をかけました。先生はシカゴ大学にあるマイクロバイオーム・センターの責任者、つまり、細菌が関係しそうなあらゆる事柄についての専門家という人物です。そんな先生は、『ペットの犬と同じベッドで眠ること自体は健康に良くないことではない。ただし、いくつかの場合に限っての話ですが』と私に言いました」

 「ギルバート先生によると、たとえば飼い主にアレルギーが少しでもある場合は、ペットの犬とは一緒に寝ない方が良いそうです。先生曰く、『アレルギーのある人の免疫システムは、いろんなアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に過剰反応するようになってしまっているだ』と言うそうですが、そんな人が犬といっしょに寝れば、ベッドはアレルゲンの発信源になってしまい、毎晩眠っている間ずっと有害な物質を吸い込み続けることになってしまいます」

 「そして、そんなことをしていれば、飼い主の免疫システムに深刻なダメージが生じることもあり得ます。実際に韓国で実施されたある研究で、長期間に渡ってアレルゲンにさらされていたマウス(実験用のネズミ)が、高い確率で有害な炎症にかかることがわかったとする報告もあります」

愛犬と一緒に寝る注意点!アレルギーのある人は気をつけるべき!

 「アレルギーのある飼い主は、愛犬と一緒に寝ることを避けるべきです。これは当たり前のことに思えるかもしれません。しかし、犬のアレルギーがある人は、あなたが考えるよりも、はるかにたくさん存在しています。「米国喘息・アレルギー基金」によると、アレルギーのある人はアメリカ人の半数以上に上り、また、そんな人の約3分の1以上が猫または犬のアレルギーに悩んでいるそうですので…」

 「アレルギーが何もない私にとっては、これは朗報でした。が、それでも犬と一緒に寝て本当に大丈夫か否かというのは、まだはっきりしませんでした」

 「犬は夜寝ている最中に、寝返りを打ったり、向きを変えることがよくありますが、それが原因で飼い主の睡眠パターンが乱れたり、あるいは飼い主がまったく眠れなくなることもあります。睡眠不足の影響で口にする食べ物の量が増えたり、スポーツの成績が振るわなくなったりするなど、いろんな問題も生じます。メイヨー・クリニックの研究者によると、一晩の睡眠時間が5時間しかない人は一般に推奨される8時間睡眠の人よりも、1日に採るカロリーが多いそうです。また、睡眠が十分でないアスリートは選手寿命が短いと、米国マーサ・ジェファーソン睡眠医学センターの研究者は述べています」

ペットとの交流によって、脳の中で“気分を良くする”ホルモンが分泌される

 「幸いなことに、夜中に愛犬に起こされることは私の場合はありませんので、睡眠不足からくる健康への悪影響を経験するリスクはないことがこれで分かりました。そして実際には、かえって犬と一緒の方が、私はよく眠れるのではないかと思いました。そこでもう少し調査をしてみると、私と同じように考えている人が他にもいることが分かりました。メイヨー・クリニックの紀要(定期的な学術雑誌)に発表されたある研究では、『犬と一緒の方がよく眠れる』と答えた人が、『犬は寝る邪魔になる』と答えた人の2倍以上に上ったそうです」

 「『犬が一緒の方がよく眠れる』そう思う人が多いのは、ペットが飼い主の心理や身体的の健康に肯定的な影響を与えるためですが、この影響は私たちが感情をコントロールしたり、ストレスに対処することに役立ちます。ミズーリ・コロンビア大学の研究者らは、ペットとの交流によって飼い主の脳の中にオキシトシンという“気分を良くする”ホルモンが分泌されることを発見しました。つまりこれは、ペットが飼い主の気分を和ませるということで、また飼い主との絆が強ければ強いほど、その効果も大きくなるということです」

バクテリアがすべて『悪者』ではない!

 「しかし、愛犬がもち込む、あの汚らしいばい菌はどうなのでしょうか…。この点についても、実は私にとっては、良いことである可能性があること分かりました。コロラド大学の研究者によると、犬のせいで屋内のバクテリアの数は増えるものの、そんなバクテリアがすべて『悪者』とは限らないそうです」

 「実際には人間の免疫システムは、多くのタイプのバクテリアにさらされることで強化され、また、そのことが病気を撃退するのに役立つ可能性があります。さらに、それが健康的な体重を維持することや、良い気分を保つことに役立つことさえあります。たとえばギルバート先生が行った調査では、農場で動物に囲まれて育った子供の他が、一部の自己免疫疾患を発症する確率が低いことが明らかになったそうです。先生は『自宅に犬がいる家庭で育つのは、農場で育つことの次に良いことだ』と、言っています」

 そうしたことから、私はこれからもずっとペットの犬と同じベッドで寝ることになりそうです。もっとも彼女(愛犬)にしてみれば、それ以外の眠り方を知らないという理由もありますが…。  

From Men's Health
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。