ジェンダー平等を目指す時流のなか、参照したい作品です。
Lionsgate
映画『Colette』
上の写真は、俳優ドミニク・ウェストが演じる夫ヴィリーとキーラ演じるコレットのツーショット…ノーベル文学賞の候補にも選ばれたことのある、実在のフランス人女性作家シドニー=ガブリエル・コレットの伝記映画『Colette(原題)』の予告編が、先日公開されました。
主人公コレット役に抜擢されたのは、ご存じイギリスの実力派女優キーラ・ナイトレイ。
そして、彼女の文学的な才能を利用してスターダムを駆け上がった作家の夫ヴィリーを、『300〈スリーハンドレッド〉』やTVドラマ『アフェア 情事の行方』のドミニク・ウェストが演じます。
1873年フランス生まれのコレットは、代表作『ジジ(原題Gigi)』で性の解放を訴え、女性に立ちはだかる壁や性的偏見を取り除こうとした人物です。
映画では、コレットにゴーストライターとして書き続けることを強要する横柄なヴィリーや、ヴィリーから名誉と栄光を取り返そうと奮闘するコレットの波乱万丈な結婚生活も描かれています。公開された予告編からは、コレットが男女の役割に不満を抱いたり、マニッシュなスーツを着こなすことで社会における「女性らしさ」の概念を覆そうとしたりする様子もうかがえるので、お確かめください。
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他にも、コレットとヴィリーの不倫相手であるアメリカ人女性ジョージー・ラウール=デュヴァル役を、英BBCの人気ドラマ『風の勇士 ポルダーク』のエレノア・トムリンソンが演じ、『ハリー・ポッター』シリーズのフィオナ・ショウ、ロバート・パフ、デニース・ゴフなどのキャストが脇を固めます。
コレットと恋に落ちるジョージー役のエレノア・トムリンソン(左)。Photograph / Lionsgate
夫ヴィリー名義で世に出されたコレットの『クロディーヌ』シリーズは、出版から1世紀以上経っていますが、今もなお売り上げを伸ばし続けている名著です。
本作のメガホンをとったのは、映画『アリスのままで』のウォッシュ・ウェストモアランド監督。彼は「#Coletteというジェンダー平等を求める運動があってもいいくらい ― 女性を黙らせようとする男性や、男性のエゴに抑圧される女性の姿は今も昔も変わらない」と米『バラエティ』誌にコメントしています。
さらには、「これまでもサフラジェット(婦人参政権運動)といった時代の流れに大きな影響を与える出来事はいくつもあったし、今も時代は変わろうとしている。女性たちが『もう終わりにしよう。性的搾取だなんて馬鹿げたことに付き合っている暇はない』と発言できるようになったんです」と語っています。
映画『Colette』は、2019年よりイギリスで公開予定。
性暴力やセクハラを告発する「#MeToo」運動により、ジェンダー平等を目指そうとする世の中の流れにもぴったりの映画と言えそうです。キーラ演じるコレットがヴィリーから解放され、強い女性へと変貌していく姿を日本のスクリーンでも観られるのを楽しみに待ちましょう。
From Harper’s BAZAAR UK
Courtesy of Lionsgate
Translation / Reiko Kuwabara