パブリックイメージが明るくひょうきんな人ほど、実際は寡黙で繊細であることが多いものだ。

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Jim Carrey, an Amazing Painter

 『マスク』や『ライアー ライアー』などのコメディ映画で一世を風靡した俳優ジム・キャリー(55)。ここ数年、銀幕で目立った活躍がない印象だが、彼は何をしているのだろうか。

 その答えは、彼自身がVimeoで公開した6分間の短編ドキュメンタリー「I Needed Color.」の中に用意されていた。

これはvimeoの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 動画の中でキャリーは巨大なキャンバスに向かい、無心に絵を描いていた。

 「僕が絵に本当に打ち込むようになった時は、家の中に足の踏み場がなくなるほどのめり込んだんだ。至るところに作品が置いてあったし、絵の上で食事をしていたこともある。ニューヨークの厳しい冬のある日、あたりを見回してひどく落ち込んでしまったんだ。その時に思った。色が必要だ、って」

 キャリーがアートの世界に足を踏み入れたのは6年前。その動機は「失意を癒やす」ためだったいう。失意の原因については言及していないが、ちょうどその頃は5年ほど交際していた女優ジェニー・マッカーシーと破局した時期にあたる。

 次々とフレームインするキャリーの作品群は、人物や記号などモチーフは様々だが、鮮やかな色彩という共通点がある。人に内在する闇や欲望を、ヴィヴィッドな色づかいで描き出す点がキャリー流だ。

 「人が芸術家なるのは、その人が内に秘めた理想像を形作ろうとする時なんだ。自分の情熱やニーズ、聴衆が求めていることなどにインスパイアされて、物的存在(芸術作品)を作り出そうとするんだ」

 絵を描くことで、キャリーは「未来から、過去から、後悔から、そして心配から解放される」と語る。しばらくは演技よりも描画で自身を表現していくつもりだろう。

 この6分間の映像は、『エターナル・サンシャイン』『ダラス・バイヤーズ・クラブ』のプロデューサー、デヴィッド・L・ブシェルが手がけている。

Text/Masako Iwasaki