2017年2月6日(月)、
エリザベス女王は記念すべき
即位65周年を迎えます。
この年数の周年記念は
「サファイア・ジュビリー」と呼ばれます。
エリザベス女王は歴代のイギリス君主として
一番長く即位されていますので、
この「サファイア・ジュビリー」をお祝いされる
イギリス君主は史上初となります。
2016年03月08日、ロンドンのケニントンで開かれた王室関連のチャリティーイベントにウェールズ公とともに出席したエリザベス女王。Photograph/Chris Jackson(Getty Images)
英国で即位65年を記録した、史上初の君主となるエリザベス女王。女王自身、この歴史的な一日に対して祝う予定はないようです。複数のメディアが伝えたところによれば、女王はサンドリンガム・ハウスで記念日を迎える予定。王室関係者によれば、この日は公務を行わず、父親であるジョージ6世を偲んで静かに過ごすということ。
1946年、父ジョージ6世と王女時代のエリザベス女王。(C)Getty Images
「女王にとってこの日は、父親が亡くなった日でもあることを理解する必要があります」と、『テレグラフ』紙に語るのは王室元報道官のディッキー・アービター氏。
「女王は、自身の長きに渡る在位は、父親ジョージ6世が56歳で逝去したことによってもたらされたものだと考えています。そのため、この日はお祝いの日ではないのです」と、続けて語りました。さらに、「女王は前日には教会に行き、父親のことを偲ぶでしょう。そして当日は、『赤い箱』(女王に届けられる政府関連書類など)に目を通すでしょうが、外出はしないでしょう」とのことです。
エリザベス女王の戴冠式。(C)Getty Images
エリザベス女王が即位に関する記念日を大々的に祝わなかったのは、これが初めてではありません。2015年、ヴィクトリア女王を上回り在位期間が最長となった際も、女王は感謝の言葉を述べつつ「私が切望したものではありません」と語っていました。
大々的な祝賀式典は見られないかもしれませんが、女王の長年の献身を称えて65周年記念コインのコレクションが発行されます。
エリザベス女王が即位されてから65周年を祝し、
イギリス造幣局(ロイヤルミント)より
公式に発行された記念コインの5ポンド硬貨。
(C)The Royal Mint
5ポンドコインには、1947年に21歳の誕生日を迎えた女王の有名なスピーチ、「私の人生、長くても短くても、国民への奉仕に捧げます」の言葉が刻まれています。
それではこの即位65年周年を祝って、エリザベス女王のこれまでをスライド振り返りましょう。よろしければご覧ください。
エリザベス2世を振り返る01
Photograph/Mary Evans Picture Library(Aflo)
生れたばかりの王女・エリザベス。1926年4月21日に生まれ、同年5月29日にバッキンガム宮殿のプライベートチャペルにて命名されました。
エリザベス2世を振り返る02
Photograph/Mary Evans Picture Library(Aflo)
1926年5月19日にバッキンガム宮殿で、両親であるジョージ6世とエリザベス女王とともに。
エリザベス2世を振り返る03
Photograph/Spice/Fred & Hubert Thurston/The Royal Collection/Camera Press(Aflo)
1927年、ハートフォードシャー州のセントポールのヴァルデン・バリーで、最初の誕生日の前に撮影された王女・エリザベス。1歳ですが、凛々しくも聡明な笑顔を見せておられます。
エリザベス2世を振り返る04
Photograph/Leemage(UIG via Getty Images)
正確な年代は不明ですが、誌面に1930年代である痕跡はあります。ゆえに4歳以上であることは確かです。写真の様子から察するに5歳前後ではないでしょうか王女・エリザベスと父親であるジョージ6世、そして母親であるエリザベス・ボーズ=ライアンとのポートレート。フランスの新聞「Lillustre du Petit Journal」の一面を飾りました。
エリザベス2世を振り返る05
Photograph/Spice/Fred & Hubert Thurston/The Royal Collection/Camera Press(Aflo)
1932年8月、ハートフォードシャー州のセントポール・ウォルドデン・ベリーにて、妹のプリンセス・マーガレットが木馬に乗って遊んでいる王女・エリザベス。
エリザベス2世を振り返る06
Photograph/TopFoto(Aflo)
1937年、11歳前後の王女・エリザベス。ジョージ6世とエリザベス王妃とともに。ちなみにジョージ6世は、ファッショニスタの方ならもうお分かりかもしれません。顔は面影どころか、瓜二つと言っていいほど似ています。ファッション界に数々の逸話を残し、さらには当時の世界に大きなインパクトを与えた「王冠を賭けた恋」で有名な「ウィンザー公(退位後の称号がウィンザー公爵)」=エドワード8世の弟にあたります。エドワード8世は、離婚歴のある平民のアメリカ人女性であるウォリス・シンプソンと結婚するために、グレートブリテン王国成立以降のイギリス国王としては歴代最短の在任期間わずか325日(1936年1月20日~1936年12月11日)で退位。弟である、こちらのジョージ6世が即位したのでした。
エリザベス2世を振り返る07
Photograph/REX FEATURES(Aflo)
1939年の王女・エリザベス。同年9月に第二次世界大戦が勃発し、ロンドンは何度も空襲の対象とされながらも、王女姉妹は疎開せずにロンドンに滞在。そしてウィンザー城滞在時には、軍用衣類向けのニット生地を生成する毛糸を調達していた「クイーン・ウール・ファンド」を支援。14歳になった王女・エリザベスは、BBCのラジオ放送を通じて初めて演説を行いました。
「私たちの勇敢な陸海空の軍人の助けとなるために、私たちができることはすべて試みています。そして、私たちが共有する戦争の危険や悲しみに耐えようとも努力しています。私たち一人一人が、最終的には万事上手くいくことを確信しています」と述べました。
エリザベス2世を振り返る08
Photograph/TopFoto(Aflo)
1947年11月20日、フィリップ王子と結婚した王女・エリザベス。バッキンガム宮殿のバルコニーにて。 王女・エリザベスとフィリップ王子が初めて出会ったのは1934年。わずか8歳の頃。フィリップ王子はもともとはギリシャの王子でしたが、まだ幼児だった1922年にフィリップの家族は国を追放されたのでした。
その後、しばらく会えずにいたのですが、1939年に再会。王女・エリザベスは13歳。フィリップ王子と恋に落ちたことを宣言。しかしフィリップ王子は、イギリス海軍の士官候補生になっていたので、しばらくの間2人は文通で愛を育んでいたのでした。第二次世界大戦中、フィリップ王子は地中海艦隊に配属されていました。
そうして戦争が終わると、再び交際を開始。1947年に正式に婚約が発表され、そして同年11月20日にウェストミンスター寺院で結婚式が行われたのでした。同日、フィリップ王子はエディンバラ公爵の爵位を得ることに。
エリザベス2世を振り返る09
Photograph/AP(Aflo)
1951年8月8日、ロンドン、クラレンス・ハウスの芝生にて。王女・エリザベスとフィリップ王子とともに、長男のチャールズ、長女のアン。幸せな様子が伝わってきます。
エリザベス2世を振り返る10
Photograph/TopFoto(Aflo)
1952年2月6日、ジョージ6世の崩御にともない、王女・エリザベスはイギリス連邦に加盟する独立国家たる7カ国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ連邦、パキスタン、セイロンの女王に即位しました。この時点で、イギリス女王・エリザベス2世となり、フィリップ王子はエディンバラ公フィリップ王配となりました。
エリザベス2世を振り返る11
Photograph/Imagestate(Aflo)
即位してから一年以上経った1953年6月2日、ウェストミンスター寺院で戴冠式(たいかんしき)を行いました。この模様はイギリス連邦内だけでなく、世界各国に当時の最新メディアであったテレビにより中継されたのでした。当時、女王・エリザベス2世は27歳。このときから、「国民に親しまれる王室」を目指していたのでしょう。
【女王・エリザベス2世の名言01】
Throughout all my life and with all my heart, I shall strive to be worthy of your trust.
―命ある限り、私はこの身を捧げてあなた方の信頼に応えられるよう努めます―
エリザベス2世を振り返る12
Photograph/TopFoto(Aflo)
1953年6月2日、戴冠式(たいかんしき)当日のロンドン。1年以上前である1952年2月に即位してから16カ月後。国民も大いに待ち焦がれていたのでしょう。始まりはバッキンガム宮殿から、ウェストミンスター寺院に至るまでの行進。膨大な数の熱心な見物人が通りに集まり、絶好の位置を確保しようとする者は前日からの豪雨をものともせず、屋外で一夜を過ごしたそうです。
当日は新しい女王を讃えるべく、なんと300万人が集まったと推定されています。一日中、断続的に雨が降りましたが、行進を中止させるほどではありませんでした。やがて女王・エリザベス2世が黄金の馬車(ゴールド・ステート・コーチ)に乗って登場したのでした。
【女王・エリザベス2世の名言02】
I have to be seen to be believed.
―私は人々が思い描いている通りの姿でいなくてはなりません―
エリザベス2世を振り返る13
Photograph/AP(Aflo)
1955年8月20日、スコットランドのバルモラル城近くの教会でバザーのお手伝いをする女王・エリザベス2世。バザーはエリザベス2世の母、エリザベス・ボーズ=ライアンの名のもとに組織された慈善団体によって運営され、留学生のための資金を調達しました。
【女王・エリザベス2世の名言03】
Work is the rent you pay for the room you occupy on earth.
―仕事とは、自分がこの地球上で占めているスペースの賃貸料である―
エリザベス2世を振り返る14
Photograph/REX FEATURES(Aflo)
女王・エリザベス2世が愛犬家であることは有名です。こちらは1969年当時の写真。公務中にも愛犬のコーギーと一緒にいる様子は、BBCによるロイヤルファミリーのドキュメンタリーに収録されています。
この犬好きは、少女時代に父王ジョージ6世から遊び相手として犬をプレゼントされて以来とのこと。現在も。ウェルシュ・コーギー・ペンブロークを飼っているそうです。国内旅行時には、可能な限り愛犬達を同伴。2012年のロンドンオリンピックの開会式のために撮影した『幸福と栄光を』という短編映画で、ジェームズ・ボンドとともに愛犬たちも出演しています。
【女王・エリザベス2世の名言04】
I only hope that I can bring up my children in the happy atmosphere of love and fairness which Maregaret and I have grown up in.
―私はただ、マーガレット(妹)や私がそうだったように、子ども達を公平で愛に満ちた幸せな環境で育てられれば、と思っているのです―
エリザベス2世を振り返る15
Photograph/Colin Davey/Camera Press(Aflo)
日本には、1度だけ訪問しています。1975年5月7日に羽田空港に到着後、夜には迎賓館で昭和天皇主催の晩餐会に。翌日8日にはNHK放送センターで、大河ドラマ『元禄太平記』の収録を見学。翌々日の9日は、帝国ホテルから国立劇場までオープンカーでパレードしています。
以降は、京都御所、伊勢神宮、御木本真珠島を訪問し、名古屋から東海道新幹線で東京に戻り、そのまま羽田空港から帰国したのでした。
写真は、左から当時15歳の現・皇太子徳仁親王、現・皇后 美智子さま、当時9歳の現・秋篠宮文仁親王、当時6歳の現・黒田清子さん(旧・紀宮清子内親王)です。
【女王・エリザベス2世の名言05】
Good memories are our second chance at happiness.
―良い思い出とは、幸せの2度目のチャンスです―
エリザベス2世を振り返る16
Photograph/Reuters(Aflo)
2006年に80歳を迎えた女王・エリザベス2世ですが、依然と精力的に公務を行い続けています。2007年5月には、英国植民地設立400周年を記念してアメリカを訪問。当時の大統領ブッシュ氏とともに、ホワイトハウス南芝生で行われた到着式へ。
【女王・エリザベス2世の名言06】
It's all to do with the training: you can do a lot if you're properly trained.
―これはすべてトレーニングについて言えることです: 適切な訓練をするだけで、もっと多くのことが可能になるのです―
エリザベス2世を振り返る17
Photograph/PanoramiC(Aflo)
2012年7月27日、ロンドン五輪のオープニングセレモニーにて。前列の左に女王エリザベス2世、その右隣にエディンバラ公フィリップ王配。その他、国際オリンピック委員会委員長ジャック・ロゲ、当時の英国首相デイヴィッド・キャメロンとその妻サマンサ・シェフィールドも。 さらに上段には、ケンブリッジ公ウィリアム王子とケンブリッジ公爵夫人キャサリン、そしてヘンリー・オブ・ウェールズ王子も出席しています。
前出に述べたように、女王・エリザベス2世はジェームズ・ボンドとともに、バッキンガム宮殿からヘリコプターで移動。上空からパラシュートで降下して、このオリンピックスタジアムに到着したのでした(演出)。
【女王・エリザベス2世の名言07】
It has always been easy to hate and destroy. To build and to cherish is much more difficult.
―憎しみ、壊すことはたやすいこと。築いていくこと、大切にすることがはるかに困難なのです―
エリザベス2世を振り返る18
Photograph/Reuters(Aflo)
2015年10月20日、中国・習国家主席が訪英。女王・エリザベス2世は、ケンブリッジ公爵夫人キャサリンとともに英王室主催の歓迎式典を行い、バッキンガム宮殿で晩餐会を行いました。
【女王・エリザベス2世の名言08】
Grief is the price we pay for love.
―愛を貫くためには、悲しみを避けては通れません―
エリザベス2世を振り返る19
Photograph/Dominic Lipinski-WPA Pool(Getty Images)
2016年12月8日、世界の外交官をバッキンガム宮殿に招待し、晩餐会を行う女王・エリザベス2世とエディンバラ公フィリップ王配。そしてウェールズ公チャールズ王太子とコーンウォール公爵夫人カミラ、ケンブリッジ公爵ウィリアム王子とケンブリッジ公爵夫人キャサリン。
【女王・エリザベス2世の名言09】
Like all the best families, we have our share of eccentricities.
―世間の仲の良い家族がそうであるように、私たちの家族はみんな少し変わっていました―
エリザベス2世を振り返る20
Photograph/REX FEATURES(Aflo)
2016年のクリスマスに風邪を患い、クリスマスの礼拝も欠席した女王・エリザベス2世。ですが、2017年1月27日には外出公務が可能に。この日は、イングランド東部ノリッジのイーストアングリア大学で開かれた、フィジーの芸術と文化をテーマにした「フィジー:太平洋の芸術と暮らし」展を訪れました。
フィジーは1970年に英国から独立して以来、英連邦に所属。クーデターで共和制に移行した1987年までは、女王・エリザベス2世が君主を務めていたのでした。
(C)AFLO
(C)Getty Images
From Harper's BAZAAR UK