伝統的な高級自動車メーカーによる、贅沢なフラッグシップEVの発売を待っていた方に朗報です。メルセデス・ベンツは2021年4月15日(ドイツ時間)、電動車に特化して立ち上げたサブブランドである「Mercedes-EQ」において、1回の充電で約640km以上の走行が期待でき、最大出力516馬力を発揮する最新フラッグシップモデル「EQS」をオンライン上で発表しました。

 「EQS」の曲線的でソフトなボディは、これまであまり見たことのない独特のスタイルに見えます。ですがそのフォルムは、目的にかなったデザインと言えるでしょう。「EQS」の空気抵抗係数はわずか0.20であり、市販車として最高峰の空力性能に優れたモデルです。ちなみにテスラの新型「モデルS」の空気抵抗係数は、0.208となっています。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
World Premiere of the All-Electric EQS
World Premiere of the All-Electric EQS thumnail
Watch onWatch on YouTube

「EQS」の走行性能について

 この「EQS」は、最大約770kmもの航続距離(より寛大なWLTPテストサイクルでのもの)を実現とのこと。この値は、実際の走行時にはより短くなることは予想できます。ですがそれでも、おそらくは640kmは下らないでしょう。この航続距離を支えているのは107.8-kWhの大容量バッテリーです。しかも最大200kWの急速充電にも対応し、この場合は30分の充電で約300kmの走行が可能としています。

 そんな新たなEVは、「EQS 450 +」および「EQS 580 4MATIC」の2種類のモデルが提供され、後輪駆動である「EQS 450 +」は最大出力245馬力、最大トルク568Nmを発揮。四輪駆動である「580 4MATIC」は最大出力568馬力、最大トルク855Nmを発揮し、0~100km/h加速は4.3秒となります。また、両モデルがアダプティブ・エアサスペンションや後輪操舵機構を標準装備し、ホイールベースは約320cmと、巨大であることが想像できるでしょう。

メルセデス・ベンツ, eqs, ev , フラッグシップ, クルマ

最新の最新のインフォテイメントシステム「MBUX」が搭載

 またそれ以上に、「インテリアにこそ魅力が詰まっている」と語る方のほうが多いかもしれません。「ハイ、メルセデス」と呼べばクルマ側が反応してくれる、「話すクルマ」として話題を呼んだメルセデス・ベンツが誇る最新のインフォテイメントシステム「MBUX」の最新バージョンが搭載されています。

 確認のために「MBUX」とは何かを説明すると、「Mercedes Benz User Experience」の略称であり、ドライバーが運転に集中できるよう、さまざまな機能がより素早くシンプルに操作できる高い安全性を実現したシステムです。そしてこの「EQS」に搭載される「MBUX」の最新バージョンはというと…「MBUXハイパースクリーン」になります。人工知能(AI)を利用して、インフォテインメント、快適性、車両機能の操作と表示を、高次元のレベルにまで引き上げているところが圧巻です。

 大きく湾曲したスクリーンユニットが、ダッシュボードの横幅いっぱいに配置。これによって直感的で簡単かつ、感情的なデジタル体験を可能にするというわけです。これのシステムは、「デジタルとアナログデザインの融合の一例」と発表会では語られています。印象的な形状のスクリーンは、複数のディスプレイがシームレスに融合しているように見えます。エアダクトは、この大型デジタルディスプレイと一体設計。スクリーンの幅は141cmにも達します。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
EQS with Unique MBUX Hyperscreen: The Big In-Car Cinema
EQS with Unique MBUX Hyperscreen: The Big In-Car Cinema thumnail
Watch onWatch on YouTube

 ちなみに「MBUXハイパースクリーン」自体は、プラスチック製のフレームに囲まれ、「シルバーシャドウ」と呼ばれる3層コーティングシステムで非常に薄い中間層を持ち、高品質の表示を実現すると言っています。また「MBUXハイパースクリーン」下部には、アンビエント照明が組み込まれており、ディスプレイユニットがインストルメントパネルに浮かんでいるように見えます。そんなディスプレイの有効面積は、2432.11平方cmということです。

 また、「EQS」向けの最新「MBUX」システムでは、リラクゼーションプログラムから誕生日のリマインダー、やることリストの提案まで、20以上の機能が人工知能(AI)のサポートを受けて自動的に提供されるようになっています。

 学習可能なソフトウェアによって表示や操作がユーザーに適応して、インフォテインメント、快適装備、車両機能について、ユーザーに最適な提案を行ってくれます。いわゆる「ゼロレイヤー」(最も重要なアプリケーションにアクセスするには、0のメニューレベルをスクロールする必要がある)のおかげによって、サブメニューをスクロールしたり、音声コマンドを実行したりする必要もなくなります。そうして最も重要なアプリケーションは、常に状況に応じた上でトップレベルに表示されるというわけです。

メルセデス・ベンツ, eqs, ev , フラッグシップ, クルマ
Mercedes-Benz

EV専用サウンドプログラム「エナジャイジング・コンフォート」の特徴

 また、新たに開発されたEV専用サウンドプログラム「エナジャイジング・コンフォート(ENERGIZING COMFORT)」により、乗客は自動車とは思えないほどリラックスした空間を手にすることができるでしょう。これは最大7つのプログラムが用意され、各プログラムとも車内温度、空気清浄、香り、音楽、照明などをその時の乗員の状態に合わせ、最適な車内環境を提供してくれます。長距離走行の合間にとるパワーナップ(小休止)に最適なモードも搭載されています。シートがリクライニングされ、すべてのシェードが閉じられ、車内の照明が暗くなり、ハイパースクリーン(オプション)に星空が表示されながら心地よいサウンドが流れ出します。

 さらに、たくさんの魅力を擁している「MBUX」 ですが、詳しくはご自身でぜひお調べください。

メルセデス・ベンツ, eqs, ev , フラッグシップ, クルマ
Mercedes-Benz

 販売価格についてはまだ発表されていませんが、現在販売中の「Sクラス」が1293万円~ですので、このモデルが「Sクラス」より高くなることが予想できます。そんな 「EQS」の発売は2021年秋の予定で、その後はSUV版の「EQS」と共にセダンの「EQE」もEVのラインナップに加える見込みとしています。

Source /Road & Track
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。