徹底した軽量化を進める

 ブガッティ(Bugatti)は2020年3月3日、「シロン(Chiron)」をベースに開発した限定モデル「シロン・ピュアスポーツ(Chiron Pur Sport)」をフランスで初公開しました。

 「シロン」をベースに、ハンドリング性能を引き上げることに重点を置いた新たなモンスターカーは、実際は新型コロナウイルス感染拡大の懸念から中止されたジュネーブモーターショー2020で発表する予定でした…。

ciron, BUGATTI CHIRON PUR SPORT, ブガッティ, シロン・ピュアスポーツ, 3.5億円
BUGATTI

 運転性能向上のため、車体は通常の「シロン」よりも軽量化され、エアロダイナミクス性能を高める新デザインを採用。フロントにはワイド化された吸気口と、専用グリルを装着。フロントリップスポイラーは、前方に突き出た専用デザインで、最大のダウンフォースを生み出すようデザインされています。

 リアには長さ1900mmの固定式の大型ウイングを装着し、ダウンフォースをグッと高め、専用のディフューザーも装備。角度の付いたウイングマウントはリアバンパーとともに、大きなX字を形成しています。

 3Dプリントされたチタン製の軽量エグゾーストパイプを採用したり、ブレーキパッドのチタンへの変更や軽量ブレーキディスクの導入することで軽量化を追求。具体的には、格納式リアスポイラーの油圧コンポーネントを廃止することによっておよそ10kgの軽量化を実現。さらにホイールは、マグネシウム製にすることによっておよそ16kgの軽量化にも成功しているとのこと。

ブガッティ・シロン
BUGATTI

 ブガッティによれば、車体全体で少しずつ軽量化を図ったことで「シロン・ピュアスポーツ」は通常の『シロン』よりも、「トータルでおよそ50kgほど車体が軽くなっている」とのこと。

 インテリアには、クルマの内装素材の最高峰とうたわれえている 「アルカンターラ」を多くの部分に使用。ダイナミックなパターンが、アルカンターラ張りのドアトリムパネルにレーザー加工で施されています。ステアリングホイールもアルカンターラ仕上げで、理想的なグリップを追求しています。

instagramView full post on Instagram

 またシートは、サイドのサポート性を引き上げられています。すべてのトリムパネルとコントロールスイッチは、黒色の陽極酸化アルミまたはチタンで製作され、各部にクロスステッチがあしらわれています。また、ステアリングホイールの12時の位置にある青いハイライトは特徴的です。

快適な運転性はそのままに

 車体重量の軽量化に成功したため、ブガッティのエンジニアチームは「シロン・ピュアスポーツ」のサスペンションを完全につくり直すことができました。とくにワインディングロードで本領を発揮するシャシーとサスペンションを開発。

 快適性に悪影響を与えることなく電子ダンパーは再調整され、フロントに65%ほど硬度の高いスプリングを、リアには33%硬いスプリングが配されています。また、装着された「ミシュランパイロット・スポーツカップ2タイヤ」は、横方向への加速を10%向上させる新たな素材を使用しているとのこと。 

 パワートレインはミッドシップに、2ステージターボ化された8.0リットルW16気筒+4ターボエンジンを搭載。最大出力は「シロン」の1500hpと変わりませんが、発生回転数は6700rpmから6900rpmへ、200rpmほど引き上げらています。最大トルクに関しては163kgm/2000-6000rpmと変わりません。

ブガッティ・シロン
BUGATTI

 一方、トランスミッションには大きな変更が加えられました。コーナーでの爆発的な加速のために、7速デュアルクラッチの「DSG」は全体のギア比を15%クロスレシオ化しています。つまり、各ギア比の差を小さくすることで、出力を効率良く使えるよう設定されているわけです。

 また、駆動方式は4WD。ブガッティによれば、60~120km/hの中間加速はベース車両に対しておよそ2秒短縮しているということです。ですが、これらの変更によって「シロン・ピュアスポーツ」の最高速度は、217mph(時速約349キロ)へと「減退」はしているのでした…。

ブガッティ「シロン ピュアスポーツ(Chiron Pur Sport)」

 しかし、最高速度が落ちているとは言っても、時速約349キロ。他のクルマに置き換えてみれば、依然驚くべき速さであるには変わりありません。つまりは、ここで改めて「シロン」の最高速度261mph(時速約420キロ)が、どれだけ異次元の速度であるかが再確認できたわけです。互いを高め合うモンスターカーの登場というわけです。

 この「シロン・ピュアスポーツ」の生産は2020年後半に開始され、価格は300万ユーロ(約3億5440万円)とのこと。また、限定60台生産の予定です。

これはpollの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

Source / Road & Track
Translate / Esquire JP
この翻訳は抄訳です。