ウィリアム王子は王室の鉄則である、「決して文句を言わず、決して説明しない(never complain, never explain)」というポリシーから離れたいという意向を「ミラー(The Mirror)」紙が伝えています。

そんなウィリアム王子は2022年9月、エリザベス女王の逝去に伴って父チャールズ国王が64年間を過ごした皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)を継承することとなりました。

エリザベス2世逝去の翌日、チャールズ3世新国王は君主として最初の演説を行い、王室の一部のメンバーが新しい称号を採用することを発表しました。長男のウィリアムは皇太子(プリンス・オブ・ウェールズ)に、妻のケイト・ミドルトンは皇太子妃(プリンセス・オブ・ウェールズ)になります。

現在、73歳のチャールズ3世新国王が第一位の王位継承者として在位した期間は64年間であり、英国王室史上最も長い期間となります。そしてその座は、このたびウィリアム王子に受け継がれ第22代皇太子となりました。そこでそんなウィリアム王子に関して、「皇太子としての役割に踏み出すにあたり、いくつかの部分に手を加えて自分のものにする予定」という意向を示しているとの内容を、英国の日刊タブロイド紙「ザ・デイリー・ミラー(The Daily Mirror)」ウェブ版及び「ザ・サン(The Sun)」ウェブ版などいくつかのメディアが報じています。

チャールズ国王
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1969年、チャールズ皇太子(当時)の戴冠式

今後ウィリアム王子は、前回のチャールズ国王の戴冠式(たいかんしき)よりも規模を縮小した即位式(授任式)を行う予定です。「ミラー」の同記事によると、「ウィリアム王子は豪華な戴冠式を避けることで、これまでの君主たちとの差別化を図っている」と言います。 

英王室の場合、この式典ではプリンス・オブ・ウェールズにまつわる各種アイテム(items)を賜与(しよ)されるとのこと。チャールズ国王の際は、1969年にウェールズ北西部のグウィネズ州にあるカーナーヴォン城(Caernarfon Castle)で大規模な式典を行いました。しかしながらウィリアム王子は、「その式典を行わない可能性が高い」と言われています。王室の消息筋はメディアに対して、「王子の父親が行ったような即位式になるような予定は全くない」と語っているそうです。

チャールズ国王
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チャールズ皇太子戴冠式

ウィリアム王子はスタッフの人員を縮小し、厳しいドレスコードも廃止

ザ・サン」が2022年5月に報道したところによれば、ウィリアム王子とキャサリン妃は英王室の近代化を望んでいるそうです。そのため王子は、「皇太子になったあかつきには、父チャールズ国王が皇太子時代に抱えていたスタッフの数を半分にする」とも伝えていました。

ヴァレンタイン・ロウの著書『Courtiers: The Hidden Power Behind the Crown』によれば、「ウィリアム王子はスタッフに対し、『オフィスにいる間はスーツを着なくても良い』と伝えた」ともつづられています。英王室のあるメンバーはロウに対し、「彼はごくカジュアルにしたいと思っています。子どもたちはオフィスを駆け回っているし、プリンスは堅苦しいのが苦手です。もちろん重要な会議があったり、バッキンガム宮殿に行く場合はスーツを着ます。ですが―最初はカジュアル・フライデーから始まったのですが―『もし会議に重要人物が来ないようなら、カジュアルのままでいい』と話したそうです」と伝えたということです。

皇太子の鉄則「決して文句を言わない」から距離を置く

そしてウィリアム王子は、この機会に王室のポリシーから一歩引く予定のようです。「『決して文句を言わず、説明しない』という皇太子に必須とされるメンタリティを捨てる予定」とも「ミラー」同記事は伝えています。

それは2022年3月19日から26日にかけて行われた、カリブ海へのロイヤルツアーが要因となったのかもしれません。このカリブ海ツアーでウィリアム王子とキャサリン妃はベリーズ、ジャマイカ、バハマを訪れました。この 3 つの国はいずれも英連邦王国です。 このウィリアム王子とキャサリン妃の訪問に先立って、ベリーズジャマイカでは植民地化時代の賠償を求めるデモも勃発していました。

ある消息筋は「ザ・サン」に対し、「2人は、自身のカリブ諸国海訪問ツアーが植民地時代を思い起こさせる行為という理由で攻撃を受けたことに傷つきました。将来的には、彼らはこれまでの英王室のルールブックから逸脱して“ケンブリッジ・ウェイ(※)”を貫いて行こうとしていて、それをどのようにしていくかを考えているところのようです」と伝えています。

※ウィリアム王子の公称は「ケンブリッジ公爵ウィリアム王子殿下」、つまり自分流という意味になります。

ウィリアム皇太子
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2022年10月6日、北アイルランドを訪問したウィリアム皇太子。

またウィリアム王子とキャサリン妃は、ウェールズの人々からの信頼を深めようとしているということ。消息筋からの情報として、「ミラー」は「現在、皇太子夫妻は時間をかけてウェールズの人々からの信頼と尊敬を深めることに集中しています」とつづっています。

2022年9月27日に夫妻はウェールズに赴き、皇太子夫妻となって初めて公の場に姿を表しました。ケンジントン宮殿はプレスリリースで、「両殿下はこれからウェールズでより多くの時間を過ごし、ウェールズのあらゆる地域のコミュニティとお二人との絆を強めていくことを心待ちにしています」と述べています。