Netflixは最近、ドキュメンタリー作品で次々に成功を収めています。

 『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』で大失敗した音楽フェスの裏側を描いたかと思えば、『レボリューション-米国議会に挑んだ女性たち』では、米中間選挙に出馬した4人の女性新人候補者の戦いに迫り、ドーピングスキャンダルに迫った『イカロス』では、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞しています。 
 
 そんなNetflixの最新ドキュメンタリー作品の中でも注目したいのが、『天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する』です。これは言うまでもなく、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏の人物像に迫るもので、3部構成のシリーズになっています。そこで、現代を生きる最も魅力的な男性の1人であるゲイツ氏の頭脳の解読を試みているのです。 
 
 『天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する』はテックビジョナリーで慈善家でもあるゲイツ氏の頭脳を分析し、彼のユニークな情報処理方法に目を向け、彼がビジネスやグローバルな危機(気候変動や伝染病など)の問題解決に、この方法をどう活用しているのかに迫るものです。 
 
 Netflixが数年間にわたって断続的にカメラを回したこのドキュメンタリーは、ゲイツ氏に密着しており、「好きな食べ物」(ハンバーガー)といった豆知識から、「もっとも恐れるもの」(脳が動かなくなること)といったディープな質問まで、彼の人物像に徹底的に迫っています。 

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Inside Bill's Brain: Decoding Bill Gates | Official Trailer | Netflix
Inside Bill's Brain: Decoding Bill Gates | Official Trailer | Netflix thumnail
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 この番組が感じさせるゲイツ氏との近距離間距離は、彼のライフワークに関する客観性を失わせてしまう可能性もあります。ですが、今回のシリーズは、ライバルたちによるゲイツ観についても洞察を与えてくれるものになっています。

 例えば、ある男性がゲイツ氏について「マーケットシェアを獲得するためなら何でもする男」と語る場面や、見知らぬ人物がゲイツ氏の顔にパイを投げつけるような映像もあります。 
 
 ゲイツ氏の妻で、彼と共に慈善団体を運営するメリンダ・ゲイツさんは、「彼はまず頭の中に枠組みをつくり、そこに情報を入れ込んでいきます」と説明します。このコンピューター的な情報処理方法&能力は、元々はゲイツ氏がマイクロソフトの優位を保つため、連日連夜働いていたときに役立ったものでした。 
 
 しかし彼が印象的なキャリアの第二幕へと踏み出し、グローバルな人道的問題の解決に焦点を移すと、この方法&能力はビジネスと同様の情熱や好奇心、そして分析力を持って、人助けをするためへと活用され始めたのです。 

ビル・ゲイツの頭脳を解読する、Netflixの最新ドキュメンタリーに注目
Netflix

 そして米国では、言うまでもなくドナルド・トランプ氏が現在も大統領のポジションです。この責任は、フェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏やツイッター創業者のジャック・ドーシー氏らが一端を担ったとされ、近年人々の大富豪やテック界の大物たちへの憤りはピークへと達してきました。 
 
 ゲイツ氏が自らの人生やキャリアが、自身のコミュニティーや家族に対して不利益となる可能性もあることを嘆く彼の母親からは、「多くの大富豪や権力者をのみ込む拝金主義、さらに、行き過ぎた行為から背を向けることこそが、自らの本当の業績である」という想いを抱くゲイツ氏の心内を感じ取ることができるでしょう。 
 
 『天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する』というこの番組は、「自分たち以外の世界のことを気にかけている人物がトップにいるのだ」という信頼とある種の安心感をグッと取り戻させてくれる作品となるはずです。そんな『天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する』は、2019年9月20日よりNetflixにて配信予定です。

 

 

From Esquire UK 
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。