2017年最高傑作の呼び声も高い映画『ダンケルク』が、いよいよ日本でも公開される。本作の見どころを余すところなく紹介する。

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映画『ダンケルク』

 1940年に展開された“史上最大の撤退作戦”として知られる「ダンケルクの戦い」。迫り来るナチス・ドイツから逃れるため、フランスのダンケルクに集まった人々の様子を描いたのが本作品『ダンケルク』だ。クリストファー・ノーラン監督が初めて実話に挑戦した作品だ。 

 ナチス・ドイツのフランス侵攻を押しとどめるべく、フランスの港町ダンケルクで英仏の両軍が共闘していた。しかし、ドイツ軍の凄まじい軍事力に押され、ダンケルクはあっと言う間に包囲されてしまう。窮地に立たされたイギリス軍はダンケルクからの撤退を決断するも、ナチス・ドイツは攻撃の手をゆるめない。陸・海・空のそれぞれで激しい戦闘が交わされており、それが自分たちがいる場所に迫りつつあることを誰もが知っていた。 

 当時ダンケルクには20歳前後の若い軍人が多数派遣されていた。陸軍のトミー(フィオン・ホワイトヘッド)もそのひとりで、彼は多くの仲間が待つダンケルクに駆けつける。無我夢中で行動するトミーは、本作のストーリーテラーとして活躍することになる。 
 

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写真:主人公トミーに抜擢されたのは、本作で長編映画デビューしたフィオン・ホワイトヘッド。巨匠ノーランの目に留まっただけあり、見事な演技を見せてくれている。© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED. 

 他方、イギリス・ドーバーでは民間船がダンケルクに向かおうとしていた。乗船しているのは、船長ミスター・ドーソン(マーク・ライランス)と息子ピーター(トム・グリン=カーニー)、そしてピーターの友人ジョージ(バリー・コーガン)だ。当時の海軍は民間船の力を借りて救出作戦を遂行しようとしていたが、勇敢なミスター・ドーソンは自ら志願して舵を取ったのだ。

 途中で救出した英国兵(キリアン・マーフィー)は、「ダンケルクに行ってはならない!」として港に帰るよう強く警告する。何かに憑かれたように怯える彼は、一体何を体験したのか。ドーソン親子たちは何も知らないまま、ダンケルクに向かうのであった。 
 

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写真:ドーソン親子たちに救出された、謎の英国兵(右、キリアン・マーフィー)。誰よりもダンケルクの恐ろしさを知る重要キャラクターである。© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.  

 空では、エースパイロットのファリア(トム・ハーディー)と後輩コリンズ(ジャック・ロウデン)らが警戒飛行を続けていた。ドイツ軍を見つけては戦闘を繰り返すファリアたちは、陸の状況を把握できていない。そんな状況で、あるトラブルが彼らを襲った−−。 
 

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写真:“空”の主人公ファリアを演じるのは、ノーラン作品の常連であるトム・ハーディー。スピットファイアを操る彼の姿にも注目。© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

 
恐怖感と絶望感が共有される「音」に注目

 本作のポイントは、クリストファー・ノーラン監督が得意とする「音」だ。劇中では追い詰められたイギリス軍の心中を表現する時計のチクタク音が鳴り続け、映画館で作品を観ている私たちにも恐怖感と絶望感が共有される。また、イギリス軍の戦闘機スピットファイアのリアルなエンジン音を耳と体全体で感じ取れるだろう。 

 逃走を描いた作品だが、逃走のための闘争を描いた点では戦争映画である。しかし、残虐なシーンはほぼ登場せず、内面を描く描写が続くのが特徴だ。これまで『インセプション』や『インターステラー』と、細部にこだわった映画作りを続けてきたクリストファー・ノーランが、軍人の心情を丁寧に描いていく。 
 

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写真:トミーたち英国軍は刻々と迫ってくるドイツ軍から逃げ回る。彼らの主観で描かれた物語は壮絶なものであった。© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED. 

 本作ではノーラン作品の常連であるキリアン・マーフィーやトム・ハーディーをはじめ、多くの演技派俳優が顔を見せている。また、ベテラン俳優のケネス・ブラナーやマーク・ライランス、さらに若手俳優としてフィオン・ホワイトヘッドやハリー・スタイルズと、バランスの取れたキャストが放つ演技にも注目したい。 
 

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写真:軍人たちを安全に輸送するために指揮を執るのがボルトン海軍中佐(ケネス・ブラナー)。© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED. 

 ノーラン監督ら製作陣は、陸と海での爆発、そして空での攻防戦を撮影するために、多くの船舶や戦闘機を購入。ほぼCGなしで撮影したという。高画質・高音質を誇るIMAXスクリーンで鑑賞すると、映像と音により集中できるだろう。 

【ストーリー】
海の町ダンケルクに、陸海空から敵襲。惨敗した英仏軍40万人は撤退を決断する。若き兵士トミー(フィオン・ホワイトヘッド)は、絶体絶命の窮地から脱出できるのか。民間船も救出に乗り出す。走るか、潜むか。前か、後ろか。1秒ごとに神経が研ぎ澄まされていく。 

監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・ハーディー、キリアン・マーフィー、ケネス・ブラナー、マーク・ライランス、ハリー・スタイルズ他
 


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映画『ダンケルク』本予告【HD】2017年9月9日(土)公開
映画『ダンケルク』本予告【HD】2017年9月9日(土)公開 thumnail
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ダンケルク
2017 年/アメリカ/カラー/英語/106分
原題:DUNKIRK
配給:ワーナー・ブラザース映画
2017年9月9日(土)、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー



公式サイト
>>>http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/

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編集者:山野井 俊