スティーブン・ソダーバーグ監督のNetflix映画『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』が、配信前に波乱を呼んでいました。この映画の中で描かれた解散済みの法律事務所「モサック・フォンセカ(Mossack Fonseca & Co.)」は、Netflixを名誉毀損および商標権侵害で提訴…「本作が中傷的内容である」と主張しています。

米コネチカット州で起こされた訴訟の中で、モサック・フォンセカはこの映画について、「原告を資金洗浄や脱税、贈収賄、その他の犯罪行為に関与した非情で思いやりのない法律家として描き、中傷している」とし、「その暗示や当てこすりは、原告が贈収賄、資金洗浄、汚職などの犯罪の首謀者であるかのような疑いを投げかけることになる。被告の予告編や映画は明らかに原告の名誉を毀損しており、原告の犯罪行為について誤った疑いをかけるもの」としています。

『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』では、メリル・ストリープ演じるエレン・マーティンという未亡人の物語が描かれます。まだ若かった夫を亡くした彼女は、その保険金の支払いを拒否され、そもそも保険会社自体が存在しなかったことが明らかになります。

彼女は自らが受け取るべきお金を求めて、次々にペーパーカンパニーの痕跡を追う中で、ユルゲン・モサック(アントニオ・バンデラス)とラモン・フォンセカ(ゲイリー・オールドマン)という2人の胡散臭い弁護士にたどり着き、彼らが関与する複雑な不正取引の存在に気づきます。この映画のレビューはすでに出始めており、「不安定で愉快な典型的なソダーバーグ作品」とも評されています。

新作Netflix映画『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』が訴訟沙汰に
Netflix
主人公エレン・マーティンを演じるのは、オスカー女優のメリル・ストリープ。はたしてエレンは、保険金を受け取ることができるのでしょうか。

『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』は、2015年に流出した機密文書「パナマ文書」に関わる映画です。1150万件におよぶこの文書は、モサック・フォンセカから流出したものであり、超富裕層の脱税のために使われた驚くべきペーパーカンパニーのネットワークを暴露していました。同社は、当時オフショア金融サービスに特化しており、同様のサービスを提供する法律事務所としては世界第4位の規模でした。国際調査報道ジャーナリスト連合(The International Consortium of Investigative Journalists )は2019年初め、流出したこの文書をきっかけに、各国政府が徴収した税金や罰金の総額が12億ドル(約1303億円)以上になったことを伝えていました。

一方、モサック・フォンセカは、世界的規模の脱税ではたした役割によって、経済的損害を受けました。また、評判も失墜したことで2019年3月に解散におよんでいます。

Source / Esquire US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。