アカデミー賞で感じている怒りや不満を伝える方法は、いくつかあります。例えば、皮肉交じりのツイートをしたり、着ていくドレスに刺繍をしたりと…。今回この後者の行動にでたのは、ハリウッドにさまざまなカタチで物申してきた活動家であり俳優のナタリー・ポートマン。オスカーにノミネートされなかった女性監督の名前を刺しゅうしたケープをまとって、抗議に乗り出ました。

 黒い「ディオール」のケープの左側にはゴールドの刺しゅうが施されており、よく見てみると、それが人の名前であることがわかります。

ナタリーポートマン、オスカーのレッドカーペットで抗議
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女性監督達の名前がかかれた黒いケープ

 なぜ彼女がこのケープを羽織ったのか? その理由についてポートマンは、こう話しています。「ここ1年で素晴らしい功績を残した女性たちを、オスカーは認めなくとも私のやり方で称えたかった」と。

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グレタ・ガーウィグやルル・ワンなど、ポートマンの衣装にはほんの一部の名前があります。

 ケープにはスカファリア、ガーウィグ、ワンなどと書かれており、それらは『ハスラーズ』のローリーン・スカファリア監督、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のグレタ・ガーウィグ監督や『フェアウェル』のルル・ワン監督を指しています。

 2020年は、歴代のオスカー史に新たに5人の名前が追加されました。『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督、『1917 命をかけた伝令』のサム・メンデス監督、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のクエンティン・タランティーノ監督、『アイリッシュマン』のマーティン・スコセッシ監督、『ジョーカー』のトッド・フィリップス監督です。

 しかし、ご覧の通りすべて男性なのです。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 ナタリー・ポートマンはこれまでも「Time's Up」など、ジェンダーに基づく差別や暴力などをなくし、男女平等や女性の権威向上を訴える活発に積極的でした。2018年のゴールデングローブ賞で、「監督賞」のプレゼンターとして登場した際も「候補者を読み上げます。全員、男性ですけどね…」と発言し、話題を集めています。

 由緒ある賞の選出方法や受賞結果をめぐり、さまざまな意見はあります。が、ハリウッドの裏事情がすべてクリーンになるということは、難しいかもしれません。しかし、今回の彼女の行動は、また一つ積み重なって大きな力となるはずです。 

Source / ESQUIRE UK