現地時間2023年4月13日(木)、第76回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション(公式出品作)が発表されました。アナウンスしたのは、2022年7月に映画祭プレジデントに就任したばかりのイリス・ノブロックと、長年プレジデントを務め映画祭総代表となっているティエリー・フレモー。追加作品が出てくることが常ではあるものの、現時点でのリストは以下の通り。

会期は5月16日(火)~27日(土)。審査員長は、前回『逆転のトライアングル』で2作連続のパルム・ドール受賞を果たした映画監督リューベン・オストルンドです。

※ 4月24日に発表された追加作品を反映させています

コンペティション

76th cannes film festival official selection presentation at ugc normandie in paris
©2023「怪物」製作委員会
『怪物』

『JEUNESSE』by 王兵

『PERFECT DAYS』 by ヴィム・ヴェンダース

『BANEL ET ADAMA』 by ラマタ=トゥライ・シィ (初出品)

『THE OLD OAK』 by ケン・ローチ

『FIREBRAND』 by カリム・アイノズ

『MAY DECEMBER』 by トッド・ヘインズ

『RAPITO』 by マルコ・ベロッキオ

『LA PASSION DE DODIN BOUFFANT』 by トラン・アン・ユン

『L'ÉTÉ DERNIER』 by カトリーヌ・ブレイヤ

『KURU OTLAR USTUNE (LES HERBES SÈCHES / ABOUT DRY GRASSES)』 by ヌリ・ビルゲ・ジェイラン

『LA CHIMERA』 by アリーチェ・ロルヴァケル

『IL SOL DELL’AVVENIRE』 by ナンニ・モレッティ

『怪物(MONSTER)』 by 是枝裕和

『ANATOMIE D'UNE CHUTE』 by ジュスティーヌ・トリエ

『ASTEROID CITY』 by ウェス・アンダーソン

『LES FILLES D’OLFA (FOUR DAUGHTERS)』 by カウテール・ベン・ハニア

『FALLEN LEAVES』 by アキ・カウリスマキ

『THE ZONE OF INTEREST』 by ジョナサン・グレイザー

『CLUB ZERO』 by ジェシカ・ハウスナー

『BLACK FLIES』 by ジャン=ステファーヌ・ソヴェール(追加)

『LE RETOUR』 by カトリーヌ・コルシニ(追加)

最高賞「パルムドール」を争うこの部門。ひとりのシングルマザーの息子の喧嘩が、社会やメディアを巻き込み事件になっていく中で子どもたちがこつぜんと姿を消すという、カンヌ常連是枝監督が坂元裕二氏に脚本を委ねた物語『怪物』(2023年6月2日全国公開)が選出されました。その音楽は、先日他界した坂本龍一氏が担当しています。

その他、ウェス・アンダーソンとロマン・コッポラが書き上げた豪華ハリウッドスター共演のSFロマコメ『ASTEROID CITY』、女性弁護士が再婚した夫の17歳の連れ子と関係を持ったことから始まる悲劇が後味の悪さしかないデンマーク映画『罪と女王』を、女性のセクシュアリティを描き続けてきたカトリーヌ・ブレイヤがリメイクした『L’ÉTÉ DERNIER(最後の夏)』などなど、見逃せない作品が並びます。

トラン・アン・ユン、トッド・ヘインズなど常連の新作はもちろんのこと、東京で製作記者会見が開かれたことも記憶に新しい、ヴィム・ヴェンダースの『PERFECT DAYS』は役所広司を主演に、日本の公衆トイレの管理人を通して社会を切り抜くというもの。これらの作品にも注目です。

アウト・オブ・コンペティション

76th cannes film festival official selection presentation at ugc normandie in paris
©2022 Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.jpg
『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』 by ジェームズ・マンゴールド

『JEANNE DU BARRY』 by マイウェン(オープニング)

『거미집(COBWEB)』 by キム・ジウン

『THE IDOL』 by サム・レヴィンソン

『KILLERS OF THE FLOWER MOON』 by マーティン・スコセッシ 

『L'ABBÉ PIERRE – UNE VIE DE COMBATS』 by フレデリック・テリエ(追加)

公開の延期に延期が重ねられた『インディ・ジョーンズ』シリーズ第5作目が、遂にカンヌでプレミアに…。オープニング作品にもなったフランスのマイウェン監督の『JEANNE DU BARRY』は日本でも『ベルサイユのばら』でおなじみ、デュバリー夫人の物語を愛人役ルイ15世にジョニー・デップを迎えたもの。

ミッドナイト・スクリーニング

『ACIDE』 by ジュスト・フィリッポ

『KENNEDY』 by アヌラーグ・カシャプ

『OMAR LA FRAISE』 by エリアス・ベルケダール 

『HYPNOTIC』 by ロバート・ロドリゲス(追加)

『PROJECT SILENCE』 by キム・テゴン(追加)

深夜上映枠にはインドから常連カシャプ監督作、セザール賞作品賞候補にもなった『La nuée』が怖すぎるフィリッポ監督らが入りました。

カンヌ・プルミエール

『首(KUBI)』 by 北野武

『BONNARD, PIERRE ET MARTHE』 by マルタン・プロヴォスト

『CERRAR LOS OJOS (FERMER LES YEUX)』 by ビクトル・エリセ

『LE TEMPS D'AIMER』 by カテル・キレヴェレ 

『PERDIDOS EN LA NOCHE』 by アマト・エスカランテ(追加)

『L'AMOUR ET LES FORÊTS』 by ヴァレリー・ドンゼッリ(追加)

『EUREKA』 by リサンドロ・アロンソ(追加)

「カンヌ・プルミエール」は、2021年に新設された部門。それまでコンペティションに入れたいが限界があるため、どうしてもあふれた良作は、仕方なく若手支援のための「ある視点」部門へ…。その結果、「ある視点」本来の意義が薄れるという理由から、これら作品を上映するために設けられました。北野武監督6年ぶりの新作は、2021年に新設されたこの部門にリストアップ。

スペシャル・スクリーニング

『MAN IN BLACK』 by ワン・ビン

『OCCUPIED CITY』 by スティーブ・マックイーン

『ANSELM (DAS RAUSCHEN DER ZEIT) / (LE BRUIT DU TEMPS, ANSELM KIEFER) 』by ヴィム・ヴェンダース

『RETRATOS FANTASMAS (PORTRAITS FANTÔMES / PICTURES OF GHOSTS)』 by クレーベル・メンドンサ・フィリョ 

『LITTLE GIRL BLUE』 by モナ・アシャシュ(追加)

『BREAD AND ROSES』 by サーラ・マニ(追加)

『LE THÉORÈME DE MARGUERITE』 by アナ・ノヴィヨン

血みどろの『バクラウ 地図から消された村』(2019)で、カンヌ映画祭審査員賞を受賞したクレーベル・メンドンサ・フィリョの新作がここに。ヴィム・ヴェンダースの作品はこちらにも入っています。

ある視点部門

76th cannes film festival official selection presentation at ugc normandie in paris
HOPELESS
『화란(HOPELESS)』

『LE REGNE ANIMAL』 by トマ・カイエ

『LES MEUTES』 by カマル・ラズラック (初出品)

『RIEN À PERDRE』 by デルフィーヌ・デロジェ (初出品)

『TERRESTRIAL VERSES』 by アリ・アスガリ & アリレザ・ハータミー

『화란(HOPELESS)』 by キム・チャンフン (初出品)

『IF ONLY I COULD HIBERNATE』 by ゾルジャルガル・プレブダシ (初出品)

『THE NEW BOY』 by ワーウィック・ソーントン

『ROSALIE』 by ステファニー・ディ・グスト

『THE BREAKING ICE』 by アンソニー・チェン

『AUGURE (OMEN)』 by バロジ・チアニ (初出品)

『LOS COLONOS (LES COLONS / THE SETTLERS)』 by フェリペ・ガルベス (初出品)

『KADIB ABYAD (LA MÈRE DE TOUS LES MENSONGES / THE MOTHER OF ALL LIES)』 by アスマエ・エル・ムーディル

『SIMPLE COMME SYLVAIN』 by モニア・ショクリ

『CROWRÃ (THE BURITI FLOWER)』 by ジュアン・サラビザ & ルネ・ネーダー・メッソーラ

『LOS DELINCUENTES (THE DELINQUENTS) 』ロドリゴ・モレノ

『How to Have Sex』by モリー・マニング・ウォーカー (初出品)

『GOODBYE JULIA』 by モハメド・コートアニー (初出品)

『ONLY THE RIVER FLOWS』 by ウェイ・シュジュン(追加)

『UNE NUIT』 by アレックス・ルッツ(追加)

若手支援を目的に設けられた、本来の形へと戻った本部門。キム・チャンフン監督が、少年の暴力社会から抜け出したい欲求と、そこに生きるチンピラに惹かれる自分との葛藤を描いた『HOPLESS』はソン・ジュンギが出演。また、日本で映画製作を学んだモンゴルのゾルジャルガル・プレブダシ監督作が初出品を果たしています。

ペドロ・アルモドバルの新作も公式出品 

76th cannes film festival official selection presentation at ugc normandie in paris
© 2023 Iglesias Más El Deseo
STRANGE WAY OF LIFE

『STRANGE WAY OF LIFE』ペドロ・アルモドバル  

『FILLES DU FEU』 by ペドロ・コスタ(追加)

アルモドバル監督が、イーサン・ホークとペドロ・パスカルを配置した短編西部劇の上映も発表されました。またポルトガル監督ペドロ・コスタの短編作品も正式出品作として上映されることも決定しています。