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家族経営のメゾン、
革新的な発想で誕生した
ヴィンテージシャンパーニュ

「ボランジェ(Bollinger)」は、シャンパーニュ地方のアイ村に1829年創立したシャンパーニュ・メゾン。194年もの間、家族経営を貫いている非常に珍しいつくり手です。広大で良質な自社畑のブドウから職人の手仕事でつくられる、卓越したシャンパーニュは古くから世界的名声を博していました。1884年から140年弱、英国王室御用達を拝命し続けていることは、なによりその証でしょう。

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読者の中には、映画「007」シリーズに登場するジェームズ・ボンドが愛するシャンパーニュとして、ご存知の人も多いかもしれません。

「ボランジェ R.D. 2008」の魅力

そんなボランジェのプレステージシャンパーニュ「ボランジェR.D. 2008」が、2023年4月末に発売。良いブドウが収穫した年のみ醸造し、長年熟成された後に出荷されるこのシャンパーニュは、リリースを心待ちにしているファンも多い特別な1本です。

プレステージ・シャンパーニュ「ボランジェ rd 2008」の魅力とは?

過日、その「ボランジェR.D. 2008」をひと足先に料理とともに味わうシークレットな会に参加してきました。その味わいをレポート……の前に「ボランジェR.D.」がなぜ特別なのか、ご紹介しましょう。

“R.D.” とは何か?

実はこの“R.D.”という名前。ここにこそ、このシャンパーニュの美味の秘密があります。“R.D.”とは、“Récemment Dégorgé”(レサマン・デゴルジェ)の略。「最近デゴルジュマン(澱抜き)した」という意味で、エチケットに記載のヴィンテージのシャンパーニュを澱(おり)にふれさせたまま長期熟成し、リリース直前に澱抜きしたことを表しています。

例えば「ボランジェ R.D. 2008」なら、2008年に収穫したブドウをオーク樽で発酵させ、天然コルクをした瓶内で14年熟成。2022年11月に澱抜きし、3カ月程度寝かせてから出荷します。

澱とともに瓶の中で長熟したシャンパーニュを出荷直前に、「澱抜きをすること=“R.D.”」で熟成による複雑味と力強さに加え、驚くほどのフレッシュさを兼ね備えたシャンパーニュになるのです。

愛されるメゾンの歴史

マダム・リリー・ボランジェ
(第3代当主・ジャック・ボランジェの妻)マダム・リリー・ボランジェ。

今では広く知られたこの画期的なシャンパーニュの手法を考案したのが、第3代当主・ジャック・ボランジェの妻であり、夫の死後メゾンの発展に尽力したマダム・リリー・ボランジェでした。

1960年代、シャンパーニュの販売競争が激化し、各メゾンがデザインボトルなどの開発で差別化に注力する中、1952年のシャンパーニュを1967年にデゴルジュマンした、超辛口の「エクストラ・ブリュット」を販売。“ヴィンテージ・シャンパーニュ”という概念がまだない時代に大胆かつ斬新な方法で、シャンパーニュそのもののポテンシャルを新しく引き出した商品で勝負に出たのです。

この全く新しい、複雑味とフレッシュさのコントラストがある味わいは人々を魅了。このときボランジェが生み出したスタイルは、新しいシャンパーニュのカテゴリーとしても確立していきます。

2008年は歴史に残る
グレートヴィンテージ

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1967年の初リリース以降、ボランジェは良いブドウができた年のみ「ボランジェ R.D. 」をつくってきました。ブドウの収穫年、そしてデコルジュマンした正確な月日を記載するというエチケットは、1967年当初から変わっていません。この偉大なるワインを構成する大切な要素、つまりブドウの収穫年とデコルジュマンした時期だけを記載したシンプルさに、メゾンの自信と誇りが感じられます。

「2008年は、ここ50年の間でも10位以内に入るほど良いブドウが収穫できた年でした」と語るのは、グローバル・セールス・ディレクター、ギィ・ド・リヴォワール氏。

2008年のシャンパーニュ地方は、夏が非常に暑く雨も少なかったためブドウがじっくりと成熟。また、寒暖差も大きかったので、ブドウの果実感が凝縮した年でした。

リヴォワール氏によると、そんなグレートヴィンテージの「ボランジェ R.D. 2008」は、いつにも増して複雑味とフレッシュ感のコントラストがはっきり現れているとのこと。また今回の食事会は、「ボランジェ R.D. 2008」が持つ特徴的なヘーゼルナッツの風味をより感じてもらうために、ヘーゼルナッツを使った料理をとともに合わせたことを語ってくれました。

グローバル・セールス・ディレクター、ギィ・ドゥ・リボワール氏
「ボランジェ」グローバル・セールス・ディレクター、ギィ・ド・リヴォワール氏。

「ボランジェ R.D. 2008」の
マグナムボトルと750mlボトルを飲み比べ

それではいざ「ボランジェ R.D. 2008」を味わってみましょう。まず注がれたのは、マグナムボトル(1.5リットル)の「ボランジェ R.D. 2008」です。

一口飲むと、まず非常にクリーミーな泡のきめ細やかさに驚きます。その後口に広がる14年熟成させていたとは思えないほどフレッシュな柑橘のような爽やかさが広がり、心地よい酸を感じます。そしてほのかにナッツのような香ばしさ、力強さが現れてきますが非常に繊細な味わいです。

合わせた料理は、「さまざまに調理した旬野菜 ヘーゼルナッツのヴィネグレット」。フレッシュで繊細なシャンパーニュの味わいがみずみずしい野菜によく合います。

そして、続いて通常ボトル(750ml)の「ボランジェ R.D. 2008」をひと口。クリーミーな泡のきめ細やかさはマグナムと変わらないのですが、マグナムに比べ柑橘のようなフレッシュな味わいから煮込んだ果物、そしてミルキーなコクを感じます。フレッシュ感もありながらマグナムよりもやや力強い印象。泡の強さもより強く感じます。

こちらは「帆立 根セロリ ヘーゼルナッツ」とともに。ホタテに添えられたローストしたヘーゼルナッツの香りが、シャンパーニュのナッツ香によく合い、シャンパーニュの力強いコクはもっちりとしたホタテの甘さを引き立てます。

ボランジェ
飲み比べると、違いがより如実にわかります。

194年守り続けた
手仕事が生み出す
大胆かつ華やかな個性

筆者は勝手に「マグナムのシャンパーニュのほうが“力強いもの”」と思っていたので、これにはびっくり。思ったことを正直にリヴォワール氏に伝えてみると、「フレッシュ感をマグナムのほうが感じるのは、デコルジュマンの時期が一カ月遅いことにあることが由来しているかもしれない」とのこと。通常サイズの倍のマグナムは瓶熟成がよりゆっくりと進むために、味わいもよりきめ細かく、また品質的にも安定するということ。

ちなみに「通常ボトルサイズのほうが泡の強さを感じた」ということに対しては、「ボトルサイズの違いではなく、“瓶ごとの個性の違い”だ」ということで、「ボランジェのシャンパーニュは天然コルクで栓をした瓶で熟成させ、ルミュアージュ(Remuage=熟成中瓶を回転させ、澱を瓶の口に集める作業のこと)も人の手で行います。もちろん、デゴルジュマンの作業も一本ずつ人が行います。機械ではなく手仕事のため一本一本に微妙な違いが生じるかもしれませんが、それもボランジェの個性なのです」と教えてくれました。

ボランジェ
写真左から、「ボランジェR.D. 2008」1.5l 13万円(税抜)、「ボランジェR.D. 2008」750ml 5万6000円(税抜)。

アイ村で2000年以上前から栽培されてきたピノ・ノワールを大切にし、メゾンの象徴としてきたボランジェにとって、ピノ・ノワール由来の力強さこそ、ボランジェの個性と話すリボーワール氏。このシャンパーニュには、自社畑のグランクリュ、プルミエクリュのピノ・ノワールが71%使われており、そのはっきりとした骨格を生み出しています。

職人の手仕事と15年という時が育んだ、芯のある強さと果実味。そして抜栓後15年という時間が放たれた瞬間に立ち上るシルキーな泡とともに開くフレッシュな爽やかさ。メゾンが確立した手法を受け継ぎつくられた、黄金色のシャンパーニュには、深い味わいと生き生きとした躍動感のコントラストが閉じ込められていました。

「2008年ヴィンテージのR.D.は、購入してすぐ美味しく飲めるのはもちろんのこと、購入してからの長熟も可能です」とリヴォワール氏。グレートヴィンテージのメゾンが誇るR.D.は、大切な人と過ごす特別なときのために選びたくなる一本です。

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WINE TO STYLE
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