上半身トレーニング12種目を10週間（70日間）続けた男性の肉体改造

　クリス・ヘムズワース本人と彼の専属トレーナー・ルーク・ゾッキさんと共演するという、素晴らしい機会を得たコノヴァーさんでした。あれから2年が経過し、コロナ禍の自粛期間によってトレーニングを怠ってしまっていたコノヴァーさんの姿がありました。

　文字通り、すっかりたるんでしまったお腹回り。チャレンジ開始を前に、まずは体重測定を行っています。

　コノヴァーさんの体重は、約92kg（202ポンド）、体脂肪率は16.8％、基礎代謝量は2016キロカロリーです。

　「パンデミックが起き、私は自分自身を見失ってしまいました」と、冒頭でコノヴァーさんは打ち明けています。「食生活は乱れ、最悪の破局まで経験することになりました。……人生最悪の時期を過ごすことになりました」。

　これまで積み上げてきたトレーニングの成果は、見る影もなく失われてしまったそうです。

　そんな中、役づくりに励むヘムズワースの変身の過程を記録した動画を目にしたコノヴァーさんは一念発起し、トレーニングの再開を果たします。

　腹筋がくっきり割れて見られるように、彼は10週間（70日間）の過酷なトレーニングを決意したのです。

　まずは、2年前に知り合ったヘムズワースの専属トレーナーであるゾッキさん（写真右）に連絡を試みました。

　「クリスの身体はいま（2021年7月）、まるで野獣そのものだよ。これまで以上に、まさに最高の肉体に仕上がっているんだ。かつてないほど巨大化しているよ」と、ズームミーティングで証言しているのはゾッキさん。

　その発言でモチベーションを一挙に上げたコノヴァーさん、そのタイミングでゾッキさんから10週間の筋トレメニューのアドバイスをもらいました。主な「全身トレーニング12種目」は、次の通りこれはかなりハードです。

■やり方

　四つん這（ば）いの姿勢からスタートです。一度息を吐き切り、お腹に力を入れます。

　両膝（ひざ）をわずかに地面から持ち上げ、お尻を上げない姿勢で、右手と左足、左手と右足を交互に前進します。

　前に進んだ後は、後ろにも進みましょう。

■時間・セット数は？

…20秒行った後、10秒の休憩をしてください。これで1セットで、10セット行っていきます。

■やり方

負荷をかけるために両手にダンベルを持つ、両足を腰幅にして立ちます。

　その場でしゃがみ、両手を地面につけます。そして素早く両足を後ろに伸ばし、腕立て伏せの姿に。そのまま腕立て伏せを行います。

　次に素早くしゃがみ姿勢に戻り、膝（ひざ）を伸ばし体幹に意識をおきながら起立します。

■レップ数（回数）は？

…8レップ行ってください。

■やり方

足幅を肩幅と同じくらいにして、背筋を伸ばして立ちます。ダンベルを両肩の位置まで持ち上げたら、肩の上にダンベルを掲げます。

　そのままダンベルを頭上に押し上げることで、肩の筋肉を鍛えていくトレーニングです。

■レップ数（回数）は？

…8レップ行ってください。

■やり方

ダンベルを手のひらが内を向くように持ち（ハンマーカールのやり方）、両足を肩幅に広げて立ちます。そしてハンマーカールをしながら胸を突きだし、後ろに大きく一歩下がります。

　前足のすねをできるだけ垂直に保ちながら、後ろ足の膝（ひざ）を床に向かって下げていきます。身体を押し上げてもとの姿勢に戻ります。

■レップ数（回数）は？

…8レップ行ってください。

■やり方

　手のひらが内側を向くように両手にダンベルを持ち、足を肩幅程度に開いて直立します。

　腕を伸ばしたまま、ダンベルを肩の高さまで持ち上げていきます。肩まで上げたら、ゆっくりと下ろしましょう。これが「ラテラルレイズ」です。

　そのまま、ダンベルを身体の前に持ってきます。また肩の高さまで持ち上げ、ゆっくりと下ろしていきます。これが「フロントレイズ」です。

　最後に、続けてダンベルを胸の上まで引き上げる動作です。このとき、上半身を反らせたり肩甲骨を寄せたりしないように気をつけて、ダンベルを引き上げていきましょう。

　肘（ひじ）が先行するするように動いていきます。ダンベルを肩の高さまで引き上げたら、ゆっくりと下ろします。これが、「アップライトロウ」になります。

■レップ数（回数）は？

…各動作を8レップずつ行ってください。

■やり方

うつ伏せになり床にふせます。肘（ひじ）を90度に曲げて、肩の真下になるように床につけます。

　前腕、肘、つま先を地面につけて身体を浮かせながら、頭から足が一直線になるようにキープします。これが「プランク」の姿勢です。

　そのまま、右左交互に前方にパンチをしていきます。

■レップ数（回数）は？

…左右にパンチで1レップです。これを8レップ行ってください。

■やり方

　「プランク」の姿勢のまま、電子波や脈を打つように（パルスの意）上下にゆらします。頭から足が一直線になるようキープしましょう。

■レップ数（回数）は？

…上下の脈打ちで1レップです。これを8レップ行ってください。

■やり方

うつ伏せ状態になり、ほふく前進のように肘を90度に曲げます。

　前腕とつま先以外は、地面から離します。 股関節から身体を曲げながらお尻を高く上げて、身体全体で「く」の字をイメージにつくります。

　お腹をゆっくり下ろし、地面すれすれまでお腹を落としたら、またお尻を持ち上げます。その繰り返しです。

■レップ数（回数）は？

…8レップ行ってください。

　それでは、コノヴァーさんの挑戦の道のりに話を戻します。

　チャレンジ当初、トレーニングを行った時点で彼は「かなり自信を喪失した」と弱音を吐いています。何せゴリマッチョで評判の、あのハリウッドスターと一緒にハードな筋トレをしていたわけですから。とは言え初日ですので、焦らず身体をしぼっていきます。

　30日が経過した時点では、出張中などにも決まった重量を用いたトレーニングなどを行なうのは困難で、一貫性を保ち続けることの難しさを学んだとのことです。

　しかし、同時に「腕の筋肉や、基本的な肉体の強度が取り戻されてゆくのを実感。かつての状態に近づいてきました」と喜んでもいます。

　食生活の面では、筋肉増強のための食材選びを心掛け、毎日4000キロカロリー近くを摂取し続けました。上質なタンパク質、安全な炭水化物、健康的な脂質、そして大量の野菜が日々の食卓に乗るようになりました。

　「もはや食べることが日々の仕事です。食べて食べて、食べ抜くことこそが、このチャレンジの中で最大の部分を占めているといっても過言ではありません」と、コノヴァーさん。

　「なにを置いても食事です」と自分に言い聞かせるかのごとく言います。出張など移動を伴う活動は、この食生活を続ける意味からも大きな障壁となりました。おすすめ記事：植物性タンパク質が豊富な食品28種

　体重測定を45日目に改めて行ったところ、コノヴァーさんの体重は約6.8kg（15ポンド）増の約98.4kg（217ポンド）に達していました。

　またクレージーなほどの筋力のアップも、具体的に確認できるほどです。トレーニング用の器具も、当初は約25kgに過ぎませんでしたが、最終日にはや約44kgを使いこなすまでになりました。

　そして、ついにチャレンジ最終日となる70日目、「人生で最も“強靭な肉体をつくり上げることができた”と自信を持ってお伝えします」と、コノヴァーさんは胸を張って言います。

　その自己改革の結果の写真が、インスタグラムに投稿されています。

　最終結果のまとめを見れば、コノヴァーさんが手に入れたのは単なる肉体美だけではないことが分かります。体重約95.25kg（210ポンド）になり、体脂肪率11.2％に。実にシャープな身体へと進化していったのです。

　「これからの目標は、この身体を維持しつつ、できればさらに筋肉を上乗せしていくことです」と、コノヴァーさんは目を光らせています。