トップメゾンと世界トップリーグに挑むアスリート――ファッショナブルとアスレチックの幸福な出合い。
髙橋藍(Ran Takahashi)
[プロフィール]2001年9月2日、京都府出身。小学2年でバレーボールを始め、2020年に春高バレーで優勝。そこで最優秀選手に選ばれ、同年2月に日本代表初選出。日本体育大学に進学し、翌年2021年東京オリンピックに出場。12月には学生ながらイタリア・セリエAのパッラヴォーロ・パドヴァに期限付き入団を果たし、2023年7月のネーションズリーグで46年ぶりとなる日本男子の世界3大大会におけるメダル獲得に貢献。2023年9月30日から東京で開催しているFIVBワールドカップバレーボール男子大会では、2024年パリ・オリンピックへのわずか2枚の切符を賭けた大勝負に挑む。
「服は好きなんです。でも、いつもは練習と家の往復で、ファッションを楽しむ機会が少ないのでこういう仕事はうれしいです」
撮影を終え、こう感想を語った髙橋選手。最近はこだわりの日本製高級時計を購入したことも明かすなど、持ち物へのこだわりを見せています。撮影時はその身体能力で、フォトグラファーからの難しい指示にも的確に対応。
今や世界に多くのファンをもつ髙橋氏は、YouTubeやインスタグラムを通じ積極的に発信。こうしてエスクァイア日本版からのオファーにも応じることにしたその背景、自分の役割をどう捉えているのか…その使命感のようなものを語ってくれました。
「20歳のときに東京オリンピックがあって、自分の経験値などの足りなさを埋めていきたいと思いました。悔しさがありましたね。そのときに海外挑戦をしたい、海外のトップ選手と常に戦う環境に行きたいと思うようになっていました。
自分が日本を背負う選手になったら、バレー界をもっともっと盛り上げていきたい、普及させていきたいという思いは昔から持っていました。それまでいろいろな人のありがたみというか大切さを感じていたこともあって…。
そういう(代表選手のような)立場にならないと、できないことがあります。誰もができることじゃないと思っているので、東京オリンピックを経験してそういう選手になれた中で、代表の一員として自身がやるべきことだなという気持ちでいます」
なんと言っても、世界的に広がるファンの数。フォロワーはインスタグラムだけで優に1.5Mを超えます。最後にファンについても語ってくれました。
「日本の方は少し距離感を取っている雰囲気があり、一方で海外はとてもフレンドリーだったりします。パドヴァでは町の人がものすごく友だち感覚で、『応援してるよー』みたいな感じで声をかけてくれるので、すごくうれしい感覚をずっともっています。バレーボールが地域に根差していることを日常で実感できます。
いまの子どもたちが、『髙橋選手に憧れて、バレーボールを始めました』なんて話を聞くと、嬉しさとこうやって発信していく事の大切さを強く感じます。それだけ影響力があるからこそ…だと。ファンの人たちから影響を受けることや、そんな自分が擁する責任の大きさを強く感じています。もちろん、バレーボール自体を上達させて、トップ選手でい続ける努力は大前提としてあります。それにプラスして、より多くの人にバレーボールのおもしろさ伝えて、もっと好きになってもらえるよう力を入れていきたいと思っています」
Photo: Maciej Kucia(AVGVST)
Styling: Masahiro Hiramatsu(Y's C)
Hair&Make: Jun Goto(OTA OFFICE)
Edit: Kazushige Ogawa, Keiichi Koyama, Hikaru Sato(Esquire)