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Dior / Felix AAA

本記事は「エスクァイア」英国版スタイルエディターのカルメン・ベロットの寄稿になります。

お気に入りのアーティストのパフォーマンスを観ながら、ヨーロッパでも最高峰に息をのむような景色も堪能できる…そんな機会は滅多にありません。ですが、1967年から毎年7月にスイスで開催される「モントルージャズフェスティバル(Montreux Jazz Festival)」は、その例外と言っていいでしょう。

ジュネーブ湖(フランスでは「レマン湖」)とスイス・アルプスを一望できる場所に、ジャズ、ブルース、ヒップホップのミュージシャンが集結し、2週間にわたって繰り広げるパーティーが56年以上も続けられてきました。ロンドン出身の若きラッパーであるロイル・カーナー(Loyle Carner)によれば、「イギリスのフェスティバルが行われる場所は泥でぬかるんだ野外…それに比べたら月とスッポンさ」とのこと。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Montreux Jazz Festival 2023 – Official Aftermovie
Montreux Jazz Festival 2023 – Official Aftermovie thumnail
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「冗談ぬきでその山々に囲まれた湖で泳いだら、エビアン(Evian=レマン湖畔にあるカシャ水源で採取されるミネラルウォーターブランド) の中で泳いでいるようなものさ」と、カーナーから届いたその電子メールにはつづら(タイプさ)れています。さらには、マイルス・デイヴィスもきっと、この同じ場所で泳いだに違いないよ」とのこと…。

モントルーでのライブが終わると、すぐに次の公演地となるオーストラリアに向かわなくてはならなかったロイル・カーナーですが、合間を縫ってメールを送ってくれました。「それはステージも同じさ。あのステージに立って、(2006年に32歳でなくなった)J・ディラ、マッドリブ、それにジョン・コルトレーンにプリンス、ディアンジェロといった人たちの足跡をたどることになる…魔法のような時間、俺にとってそれは大きな意味を持っているんだ

「モントルー・ジャズ・フェスティバル」で、ロイル・カーナーがディオールの衣装を使った理由
Dior / Felix AAA

1994年10月6日生まれで南ロンドン出身の彼は、2022年にもこのフェスティバルに出演したときに翌2023年の開催に対し、「この絵葉書のように美しい町に戻ってくる」と約束していました。そしてその言葉どおり彼はかつての「マイルス・デイビス・ホール」に舞い戻り、モントルー・ジャズ・ラブ(Montreux Jazz Lab)でサード・アルバム『hugo』からの曲をメインにパフォーマンスを披露。最後の週末を飾りました…ですが、そのパフォーマンスに勝るとも劣らず会場を沸かせたのがの衣装…。いつものステージとは全く異なるスタイリングでした。

「モントルー・ジャズ・フェスティバル」で、ロイル・カーナーがディオールの衣装を使った理由
Dior / Felix AAA

ロイル・カーナーは前年に着ていたステューシーの黄色いパーカではなく、頭のてっぺんからつま先まで、(バンドのメンバーともども)ディオールのスーツとブーツでキメていたのです。チョコレート色のスーツにブラックタイ&ホワイトシャツというクラシックなスタイルで統一しており、パブで一杯やるにふさわしい…もっとカジュアルなものが多いいつものステージ衣装に比べると、グッと洗練されたものになっていました。

非常にシンプルかつクリーンで――美しくさえある」と、彼はキム・ジョーンズの仕事ぶりを評しています。「このパンツの下がり具合……こんなスーツをずっと探していたんだ」と、ロイル・カーナーは言います。

彼が衣装について発言するのは、これが初めてのことではありませんが――今年(2023年2月)のブリット・アワードで見せたデニムオンデニムのスタイルを忘れないでください――28歳にしてはずいぶん大人っぽいドレスコードのように感じられます。

ときには、いい気分になるのもいいものさ。たまにはこういうことをやってみたいとずっと思っていたんだけど、それにふさわしいタイミングを待っていたんだ」とロイル・カーナーは言います(彼は聴衆に向かって、バンドと彼がこのショーのために「何かをやりたかった」とまで言っていました)。「前から言ってたんだ。もしバンドと一緒にモントルーでプレイするなら、やってやろうってね」。

で、今後のライブでもスーツ姿を期待していいんでしょうか? 「もちろんさ、ただし、いつになるかわからないけどね。そのときが来るのを待ってもらわないと…」と。ならば、首を長くして待つことにしましょう。

Source / Esquire UK
Translation / Satoru Imada
※この翻訳は抄訳です。