世界で最高レベルに高価な腕時計はどれ? 超高級腕時計ランキングTOP12
パテック フィリップ、ロレックス、ショパール、ブルガリ、ユリス・ナルダン、オーデマ ピゲ、ブレゲなどは勢ぞろい。今こそ、お金を貯めるタイミングかもしれません。
ラグジュアリーな腕時計に大金を費やすのは、現代人が味わえる最高の贅沢のひとつです。
「多くの人々に、羨望(せんぼう)と畏怖(いふ)の念を与える」ことは間違いのない、これらの腕時計。ですが、それを所有することのメリットは…「万一のために備える」というコンサバな感覚を加えながら考えれば、「これらを所有することは本当に大切なことなのか」と、ちょっと迷ってしまうことは否めないでしょう。
とは言え、そんな世界最高峰の腕時計をつけたときの感触…ヒヤリとする冷たさとともに伝わる、自分のこれまでの行いに対する達成感と誇りを得る…あの瞬間のためには、それにふさわしいだけの大金が必要なことは納得いくはずです。
今回は、そんな最高峰の腕時計の中でも極みとも言うべき、世界でもっとも高価な腕時計の数々を紹介しましょう。
※ちなみに公平を期すため、多数のダイヤモンドが散りばめられた超高額モデルは省いています。時計本来の価値とは関係ありませんので...。
第11位:ショパール「L.U.C オールインワン」(通称ヤヌス・ウォッチ)
37万4000ポンド(約5360万円)
ショパールは世界屈指のラグジュアリー時計ブランドとして有名ですが、これには正当な理由があります。
同ブランドは「L.U.C フルストライク」で2017年度ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ の「ウォッチ・オブ・ザ・イヤー」を受賞した後、2018年には、馴染み深くもこのモデルに負けず劣らず魅力的な1本をリリースしました。
「L.U.C オールインワン」は、希少性と有名な神話を結びつけたものです。
各エディション(ローズゴールドおよびプラチナム)の生産本数は世界でわずか10本ずつですが、この時計に着想を与えたのは誰も人が知っているであろう、ローマ神話のヤヌスという神です。
この時計には、2つの顔を持つヤヌスと同じように2つの文字盤があります。
また内部の構造も驚異的で、パーペチュアルカレンダーや多様な天文学的表示、トゥールビヨン(重力の影響により生じる誤差を時計自身が自ら補正する特殊機構。組み立てに卓越した技術を要する)といった機能を搭載。確かに37万4000ポンド(約5360万円)という価格はかなりの額ですが、「神の手」とも言える最高峰の技術で作られたものですから、値段はつけようがないわけです。
第10位:ロレックス「ポール・ニューマン デイトナ」
1350万ポンド(約20億円)
こちらの「デイトナ」は、ポール・ニューマンが1968年に妻のジョアン・ウッドワードからプレゼントされたもので(自動車レース好きの夫を気遣った「DRIVE CAREFULLY ME」というメッセージが裏蓋に刻まれています)、コレクターやファンたちの間では長年にわたって伝説的な腕時計とみなされてきました。
とは言え、この時計にオークションでついた額は、どれほど熱烈なロレックスファンにも予想できなかったことでしょう。
「キング・オブ・クール」ことニューマンが日常的に使用していたこの時計は、黒とクリームのエキゾチックな文字盤が特長で、100万ポンド(約1億4300万円)という控えめな落札価格が予想されていました。ですが、蓋を開けてみれば電話で参加していた匿名の人物が、1350万ポンド(約20億円)という気が狂いそうな額で落札…。これは2017年版の「デイトナ」で換算すれば、9030本分にもなるのです。
ポール・ニューマンの手首に巻いてあったことが、どれほど重要なのか…ということになるのです。
第9位:メートル・デュ・タン「チャプターワン ラウンド トランスペアレンス」
40万4000ポンド(約5800万円)
権威ある腕時計ブランドのメートル・デュ・タンは、世界屈指の時計職人たちの手を借りて、革新的な腕時計の数々を作っていることで有名です。その中でも「チャプターワン ラウンド トランスペアレンス」は、代表する完璧な一例と言えるのです。
独創的な設計哲学と、さまざまな時計師たちのコラボレーションにより生まれた「チャプターワン」は、クラシックながら複雑な腕時計です。18Kレッドゴールドのケースや、特別感あふれる限定版の刻印(世界限定11本)なども注目に値します。
価格は40万4000ポンドという(約5800万円)という破産必至ですが、時計業界の輝かしい歴史と楽しみな未来を象徴する腕時計と言えるのです。
第8位:クリストフ・クラレ「デュアル・トウ・ナイト・イーグル」
44万5000ポンド(約6400万円)
もし、バットマンが腕時計をつけるとしたら、このモデルを選ぶことでしょう。
この時計はガジェット感が満載なだけでなく、どこか不機嫌なイメージのバットマンにぴったりの佇(たたず)まいですから…。
「ナイト・イーグル」はオリジナルの「デュアル・トウ」コンセプトを改良した、世界限定68本のモデルです。時間は2つの回転ベルトで表示され、遊星歯車機構を使ったクロノグラフシステムを搭載しています。
また、トゥールビヨン(重力の影響により生じる誤差を時計自身が自ら補正する特殊機構)やチャイム音のためのハンマーとミニゴングも搭載。内部では、ダークな色調の65個もの受け石が輝いています。
ブルース・ウェインは今ごろ、その額を明記した小切手に手を伸ばしているところでしょう。
第7位:ジョージ・ダニエル「コーアクシャル クロノグラフ」
46万3000ポンド(約6650万円)
このリストの他の時計に比べれば、よりクラシックでミニマルなスタイルのモデルですが、20世紀の最も重要な時計職人が手がけたものになります。
時計職人のジョージ・ダニエルズが、その生涯で作った時計の数は数十本のみとわずかです。が、彼の時計界への最大の貢献は「コーアクシャル脱進機」を発明したこと(ダニエルズはその後、オメガにこの機構を売却しました)。
この機構の技術的な革新性はいくつも挙げられますが、もっとも重要なのはメンテナンス期間を大幅に伸ばすことを可能にしたことです。
世界に1本の「ジョージ・ダニエル コーアクシャル クロノグラフ」には、2012年のオークションで61万9000ドル(約6650万円)の落札額がつきました。この時計は、まさに歴史の証人なのです。
第5位:オーデマ ピゲ「ロイヤルオーク グランド コンプリカシオン」
74万1600ポンド(約1億600万円)
オーデマ ピゲは多彩な複雑機構を組み合わせることに関しては、先駆けとも言える存在です。実際、同社はおそらくどの時計メーカーよりも長い間、これに取り組んできました。
そして、そんなオーデマ ピゲの高級腕時計の中でも、「グランド コンプリカシオン」は間違いなく最高峰の1本になります。手間のかかる時計内部は、1つ1つのカットアウトパーツに手仕上げ装飾(ベゼルはポリッシュ仕上げのビーズブラスト、裏面はマット仕上げ)が施されており、機能面でもスプリットセコンドクロノグラフやパーペチュアルカレンダー、ミニッツリピーターなど多種多彩となっています。
また、見た目も実に魅力的なのです。チタンモデルは70万ポンド以上(約1億円以上)もしますが、このスタイルに値段はつけられませんから…。
第4位:ユリス・ナルダン「ハンニバル ミニッツリピーター トゥールビヨン」
57万1000ポンド(約8200円)
どうやら時計職人たちは、ローマ文化というものを深く信奉(しんぽう)しているようです。ユリス・ナルダンの「ハンニバル ミニッツリピーター トゥールビヨン」は、ハンニバル戦争をモチーフにしています。
とは言っても、この時計を最高級たらしめている要素は、このような彫刻だけではありません。メインプレートからトップブリッジまで、すべての部品が手作業で仕上げられているのです。
この時計が搭載する「ウェストミンスター ミニッツ リピーター」は、熱心なファンでなければ気づかないかもしれません。普通のミニッツリピーターとは違うのです…。そこには、ビッグベンのようなユニークなチャイム機構が備わっているのです(もちろん、ビッグベンより静かです)。
小さな腕時計ながら、精巧で複雑な細部やグランドデザインが非常にスリリングな1本となっています。ただし、価格は57万1000ポンド(約8200万円)とさらにスリリングなわけです..。
第2位:パテック フィリップ「5004T」
298万ポンド(約4億2700万円)
「5004T」は、2013年にオークション向けに世界限定1本で作られたもので、美しくも残念ながら生産中止となった「パテック フィリップ5004」コレクションで唯一のチタニウムモデルなのです。
スイスの老舗高級時計ブランドは、それまでの保守的なコレクションとは異なるスポーティーでカラフルな希少モデルをつくり、時計界にセンセーションを巻き起こしました。それはもう、ウィル・スミスが出円していた1990年からアメリカで放送していたコメディドラマ、「ベルエアのフレッシュプリンス」でお堅いバンクス一家にやってきたフレッシュプリンスのようなものなのです。
激しい入札合戦が行われたオークションでは、最終的に298万(約4億2700万円)ポンドという落札額がつきました。その後も、時計コレクターの憧れとなっている1本になります。
第1位:ルイ・モネ「メテオリス コレクション」
350万ポンド(約5億円)
ルイ・モネ(クロノグラフ時計の父とも呼ばれる、18世紀生まれのルイ・モネに由来しています)の「メテオリス コレクション」には、天文学的価格がついています。ですが、あらゆることを考慮すれば納得できるものです。
4つの時計からなるこのコレクションですが、どの時計も文字盤には希少な隕石が埋め込まれているのです。各モデルの名前は使われている隕石に基づいており、たとえば「トゥールビヨン マーズ」には1億8000年前の火星の隕石「Jiddat al Harasis 479」のかけらが使用されています。
ですから、とにかく特別なのです。
火星の隕石には1グラムあたり1000ドル(約11万円)の価格がついており、これは金の15倍以上となります。1度は実物を見たくなる、そんな高級腕時計なのです。
番外編:ブレゲ「グランデ コンプリケーション マリー アントワネット」
2500万ポンド(35億8500万円)
「スキニージーンズのポケットに入れたまま、忘れていた2500万ポンドが出てきた」というとき、どう使えばいいか迷ってしまわないでしょうか? ご心配なく、良い買い物があります。
ブレゲの「グランデ コンプリケーション マリー アントワネット」はいかがですか? この時計は、間違いなく世界でもっとも高価なものでしょう。
伝説的な時計職人のアブラアム=ルイ・ブレゲは1782年にフランス王妃マリー・アントワネットの謎の恋人から依頼を受け、この懐中時計(そう、これは腕時計ではないので番外編です)の製作を開始しました。その後、1827年にこの時計は彼の息子の手によって完成されたのでした。
この時計はゴールド製ケースを使用しており、ガラスの透明板を通して見える複雑な内部機構には、当時のもっとも革新的な技術が使われています。王妃のための最高の1台というわけです。
問題は完成までに時間がかかりすぎたということ。皮肉にもマリー・アントワネットは34歳で処刑されたため、この時計は表舞台に出ることはなく、彼女のポケットに入ることもありませんでした。
その後1900年代後半に、エルサレムの博物館から盗み出されたこの時計は、2007年に再び表舞台に帰ってきたのです。現在は、LAメイヤー記念イスラム美術館(イスラエル)に保管されています。
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Source / ESQUIRE UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。