大会14日目の7月16日(日)に行われた、テニス・ウインブルドン男子シングルス決勝戦。そこでの最大のニュースと言えば、若干20歳・スペインの新鋭カルロス・アルカラスが初優勝を飾ったことでしょう。ですが、それはまさに氷山の一角であり、虫の目で見たことにすぎません。もっと鳥の目・魚の目・コウモリの目そして時の目で見てみましょう。

その根底から、テニス界における地殻変動…王者という名の氷にひび割れが出始めた映像が見えた人もきっといるはずです。つまり「若さ」が「偉大さ」を圧倒し、絶対王者とも称されるノバク・ジョコビッチの時代に幕が下りはじめ、新たな時代へと突入しようとしていることを。

優勝インタビューで話す、カルロス・アルカラス
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2002年大会以来、実に21年ぶりとなるテニス・ビッグ4(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マリー)以外の選手がウインブルドン優勝者となった今大会。試合後の表彰式でアルカラスは、喜びをあらわにこう語りました。「夢がかなった…今は自分のことを誇りに思っている。この素晴らしい大会でこんなラストを迎えることをできて、信じられないくらいうれしい…本当に驚いている」。

ちなみにアルカラスは腕時計でもジョコビッチを圧倒し、われわれこそが驚いたくらいです。思わず目を引くアクセサリーを身に着けてウインブルドンのコートに現れたのは、テニス界のしゃれ者として名をはせるヤニック・シナーだけではありませんでした。アルカラスも優勝トロフィーの授与式の場に、特別なロレックス「デイトナ」を身に着けて現れたのです。

それを見れば、彼がうわべだけの時計愛好家なでではないことも明らか。その手首に巻かれていたのは「コスモグラフ デイトナ 116500LN」で、ブラックのセラクロムベゼル、イエローゴールドのケースにメテオライト文字盤という1本でした(そうです、宇宙から飛んできた本物の隕石を使った超薄型の円盤です)。

2022 us open day 14
Julian Finney//Getty Images
2022年9月11日、全米オープン男子シングルス決勝でキャスパー・ルードを破り、優勝トロフィーを掲げて喜ぶアルカラス。

そんなアルカラスとロレックスの関係は、今に始まったことではありません。ロジャー・フェデラー、フアン・マルティン・デル・ポトロ、ドミニク・ティームに続き、わずか18歳という若さでロレックスとアンバサダー契約を結ぶと、昨2022年9月の全米オープンを制した彼は、「コスモグラフ」を巻いた腕で高々とトロフィーを掲げてみせましたで。

わずか18歳でアンバサダー契約を結ぶ

そしてその全米オープン後、19歳のアルカラスは史上最年少でATP(Association of Tennis Professionals=男子プロテニス協会)ランキング1位に。信じられないほどの速さでテニス界の頂点へと昇り詰めたアルカラスということで、スピード自慢のレーシングドライバーのためにデザインされたこのタイムピースを身に着けることになんの違和感もありません(ちなみにこの「デイトナ」という名は、フロリダ州のモーターサーキットである「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」にちなんで名づけられたものです)。

今回アルカラスが身に着けていたモデルは、ご存じのとおりレーシングドライバーでもあった俳優のポール・ニューマンが、妻ジョアン・ウッドワードから贈られた「デイトナ6239」を愛用していたことから、カルト的な人気を博したタイムピースです。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

残念ながら「デイトナ」は入手困難なことで知られており、アルカラスの手元を飾った異世界のコスモグラフは、すでに生産は終了しています。そのため、セカンダリーマーケットでは目が飛び出るほどの高値で取引されることになるでしょう。それでも皆さん、ウインブルドンで優勝すれば手にできるかもしれません…。

Source / Esquire UK
Translation / Kazuki Kimura
Edit / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です