◇ピラミッドはどうやって作られたのか?

 あんなにたくさんの石を、いったいどうやって運んだのか…? とても簡単な工夫があったのです。

 古代エジプト時代に建てられたとされるピラミッド。その異様で威容なたたずまいは、本当に人間の力だけで建てたのかと疑ってしまうほど、実に見事なものです(もっとも、人によっては神や宇宙人が建造を手伝ったのでは? と考える人もあるようです)。

◇そもそも、ピラミッドとは何か?

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Courtesy of It's Okay To Be Smart(via Youtube)

 ピラミッドとは、大小の石材のブロックを積み上げてつくられた建造物です。最も大きくて有名な「クフ王の大ピラミッド」は、底辺の一辺が約230メートル、高さが約146メートルになります(頂上部が欠落しているため137メートルになっています)。

 ピラミッドが、エジプトの王の葬送儀礼がとり行われた「お墓」であることは、多くの専門家の間で意見が一致しています。それが意味するのは、ピラミッドの建造が、それを命じた王の生きている間に完了させなければならないプロジェクトであったということです。

 大ピラミッドの主であるクフ王の場合は、その在位期間は最短で23年だと考えられています。さらにその建造には、「2000人以下で造ったに違いない」と、多くの研究者たちが考えているようです。

◇ピラミッドの石を運んだ方法とは

 動画を観れば、古代エジプト人がもっていた高いレベルの建築術に驚きを隠せなくなると思います。

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Courtesy of It's Okay To Be Smart(via Youtube)

 古代エジプト時代はタイヤを使った移動手段がなかったため、砂を濡らすことで石を積んだソリを移動しやすくなるよう工夫がなされていました。そうして、とてつもない量の石を運ぶことができたのでしょう。

 クフ王が建設したとされるギザの大ピラミッドも、同様の方法で建造したとされています。さらに採石場の隣にピラミッドを造ることで、より効率よく石を運べたようです。

 基本方位を定めたり、ピラミッドの底辺をきっちり90度にかたどったりするのは、とても難しい仕事だったはずです。それでも星の位置で方位を決めたり、基礎水準で建てることによって、ピラミッド造りを可能にしていったのでしょう。 

◇ピラミッド建設にかかった年数・人数は? ― 23年で完成させる方法

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Courtesy of It's Okay To Be Smart(via Youtube)

 まず、ピラミッドの建設には、【1】石を切り出す作業、【2】石を運ぶ作業、【3】石を削ってすえ付ける作業…という3つの工程に分けることができます。それぞれの作業にかかる人数を算出し、その合計でピラミッド建設にかかわった人数(労働者数)を出していきます。

【1】石を切り出す作業の人数は?

 クフ王の大ピラミッドを23年で建造するには、1日に約322個の石材ブロックを切り出す必要があります。

 米国考古学者のマーク・レーナー氏が行った「ピラミッド建造実験」によると、12人チームの採石工は、22日間で186個、1日当たり8.5個の石材のブロックを生産することができたとしています。

 しかし、レーナー氏が行った「ピラミッド建造実験」の研究チームが鉄ケーブルのウィンチを使ったことを考慮する、当時クフ王の時代では、12人にさらに20人 =32人の労働者が石を切り出す作業に必要だったと仮定しましょう。

 合計32人で1日8.5個切り出すとすると、322個/日の石材を切り出すには、(322個 ÷ 8.5個 × 32人 =)約1212人の採石工がいればよいことになります。 

【2】石を運ぶ作業の人数は?

 クフ王の採石場から大ピラミッドまでは、約300メートルの距離があります。この道のりを、1個平均2.5トンの石材をソリにのせて引いていきます。

 レーナー氏が行った「ピラミッド建造実験」によると、ソリにのせた重さ2トンのブロックは10〜12人で引けることがわかっています。

 つまり、当時クフ王の時代だったら1組20人程度のチームであれば、2.5トンの石材を運ぶことが可能であったことと仮定します。

 さて、採石場とピラミッドの往復に2時間かかると仮定した場合、1チームあたり1日5個程度の石材をピラミッドに供給できたことになります。

 ピラミッドを23年で完成させるためには、1日340個の石材をすえ付ける必要があったため、20人のチームが68組(=340 ÷ 5)、合計で役1360人程度の引き手がいたと推測できるわけです。

【3】石を削ってすえ付ける作業の人数は?

 レーナー氏が行った「ピラミッド建造実験」によると、テコを使って石を持ちあげるのに4人、石を押して位置を調節するのに2人、石材を削って仕上げをするのに2人必要となるそうです。これに予備員の2人を加えると、ピラミッドの現場でブロック1個に必要な人員は約10人になります。

 採石場からは1時間当たり34個(340÷10)の石材が届けられるので、それを10人が1時間で1つすえ付けるとすると、単純計算で、約340人がこの作業に必要であった可能性があります。

 ただし、同じペースで成果を出し続けるには、あまりにも疲労が伴う作業でるので、多めに見て仮に人数を倍の40人にしたと仮定しても、石を削ってすえ付ける作業には、約680人の労働者が必要だったことになるでしょう。 

◇まとめ

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
ScanPyramids 2017
ScanPyramids 2017 thumnail
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 上記の仮定人数を考慮すると、石を切り出すのに約1212人、石を運ぶのに約1360人、削ってすえ付けるのに約680人とすると…、合計約3252人になります。

 もちろんこれ以外にも、石材をピラミッドの上部に運ぶための傾斜路の建設する作業員だけでなく、道具とソリを作る人員、水を運ぶ労働者、労働者の食事を準備する作業員…と他の職人もいたことを考慮すると、クフ王の大ピラミッド建造に関わった人々は、約2万~2万5000人にのぼった可能性が指摘されているのです。

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Source / ESQUIRE UK
Translation / Esquire JP
※この翻訳は抄訳です。