この記事をざっくり説明すると…

  • エジプトのネクロポリス(共同墓地として機能した埋葬地)での驚くべき新発見に、考古学会が騒然としています。
  • 貴族から労働階級の市民までが埋蔵されているサッカラ遺跡から、13基の新たな木棺が発掘。その翌週には、さらに14基の棺が見つかりました。
  • 発掘された棺について、より詳細な調査が開始されようとしています。

 実に2500年もの間、人知れず地中に眠っていた古代エジプトの棺が13基が考古学調査隊によって発掘されました。一度も日の目を見ることなく、完全に封印されていた木棺です。それはまるで、映画『ハムナプトラ/失われた砂漠の都』で描かれた世界のようです。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
映画「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」劇場予告
映画「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」劇場予告 thumnail
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 エジプト観光古代省は、同省のフェイスブックページで「今回出土した棺がどのような地位にあった人物のものであるかは、いまだ特定されていません」と、声明を発表しています。が、さらなる発掘調査によっていずれ明らかになることでしょう。

 今回、発掘された場所は、エジプトの首都カイロの南に位置するサッカラという遺跡砂漠です。2年前の2018年にも神官のものと見られる墓が発掘されています。

 そして驚くべきことに、今回出土した13基の木棺は全くの無傷状態であり、極めて良好な保存状態で見つけられました。しかも、「この付近からまた新たな棺が出土する可能性があります」とカレド・アル・アナニ大臣は見解を示しています(実際、今回13基の棺が発見された翌週には、新たに14基の棺が発見されました)。

these egyptian coffins have been completely sealed for 2,500 years who's inside
EGYPTIAN MINISTRY OF TOURISM AND ANTIQUITIES
今回発見されたサッカラの遺物の一つ。

 棺が発見されたのは、地下約11メートルの深さです。先述のとおり、状態は極めて良好だったため、木棺の表面に施された絵柄の色も識別できるほどであると、科学系ウェブメディアの「サイエンスアラート(Science Alert)」は伝えています。

 古代の埋葬地であるサッカラは、歴史的遺産の宝庫として名高い“名所”です。これまでにも多くの棺や副葬品、墓石などが出土しており、ユネスコの世界遺産にも指定されています。古代エジプトの古都メンフィスのネクロポリス(共同墓地として機能した埋葬地)として貴族だけでなく、中産階級や労働者階級に属していた市民も、同じ共同墓地に埋葬されたと考えられています。

 サッカラは、古代エジプトの歴史初期から終焉(しゅうえん)までを通じて埋葬地としての役割を果たしたことが認められている唯一の土地です。墓荒らしによる略奪被害を受けることなく、「今なお多くの棺や副葬品などの宝が眠っているのではないか」と想像されています。考古学者たちが今後さらにどのような遺産を発掘することになるのか、ますます目が離せません。

Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。