• タイタニックや、ジョン・F・ケネディが第二次世界大戦中に乗っていた魚雷艇を発見した海洋考古学者ロバート・バラード氏の新たなミッションは、女性初大西洋単独横断の偉業を持つアメリア・イアハート氏が最後に乗っていた飛行機の探索です。
  • バラード氏の後援は、『ナショナルジオグラフィック』の考古学者フレデリック・ヒーバート氏。その様子は、10月に『ナショナルジオグラフィック』の特別番組で放送予定です。

 1985年に、タイタニック号を発見した深海の探検家である海洋考古学者のロバート・バラード氏は、次のミッションとして失踪したアメリア・ イアハート氏の飛行機「ロッキード・エレクトラ」を探しに行くことを発表しました。バラード氏はチームとともに太平洋へと向かい、イアハート氏の失踪の謎に迫ります。

 カレンダーを過去へと大きく戻しましょう。ときは1937年7月2日、イアハート氏はたった一機で、赤道上世界一周飛行を目指して飛び立ちました。ですが、ナビゲータのフレッド・ヌーナン氏とともに、謎の無線通信を残したまま消息が絶っているのです…。彼女たちの身に何が起こったのか? それは解明されることはなく、多くの憶測が飛び交いながらも、その真相は今もなお謎に包まれたままになっています。

 その事件の主役であるアメリカ人パイロットのイアハート氏は、単独大西洋横断飛行を成功させた初の女性であり、殊勲飛行十字章を授与されています。また、1935年1月11日には、ハワイからアメリカ本土への単独飛行を初めて成功させたパイロットでもあります。そして彼女はさらなる挑戦を求め、1937年3月13日に世界一周飛行への意欲を明らかにしたのでした…。

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 しかし、残念ながらイアハート氏は、先に述べているように、この快挙を成し遂げることはできませんでした。「着陸地点が見えない…」と、無線通信が入ったあと連絡が途絶えましたということですが、その後、墜落した残骸などは見つかっていないのです。

 連絡が途絶えてすぐ、アメリカ政府は莫大な捜査費用を費やし、アメリカ海軍、沿岸警備隊、そして当時、隣接した地域を委任統括していた日本の大日本史帝国海軍により海上捜索が行われました。しかし、2週間強捜索が行われたものの、遺体や機体の破片すら発見されることはなく、1937年7月19日に日米とも捜索が打ち切りとなったという経緯をたどっています。

 その後、1941年には太平洋戦争が開戦。この周辺も戦場となったため、付近の調査や捜索が行われることはありませんでした。

 そうして2006年には、アメリカ人海洋探検家のデビッド・ジョーダン氏が2002年と2006年の2回に渡り捜索を行いましたが、結果的にそれらしきものは発見することができずじまい。そこで、バラード氏の出番が回ってきたというわけです。

 海洋考古学者のバラード氏は、2019年8月7日にサモアから出発し、太平洋南西部にあるキリバス共和国のニクマロロ島に向かいます。そこで、米ドキュメンタリー番組『ナショナルジオグラフィック』の考古学者フレデリック・ヒーバート氏と協力し、1カ月にわたってイアハート氏の航空機を探索する予定とのこと。彼女が実際にこの地域で亡くなっていたとしたら、ヒーバート氏によってイアハート氏の遺骨を見つけられる可能性もあります。

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 メディアニュースサイト「The Wrap」の記事によれば、探索には無人水中探査装置や無人水上艇など、様々な最先端技術が使用される予定だということです。その探索の様子は、アメリカでは2019年10月20日に『ナショナルジオグラフィック』の特別番組で放送予定となっています。

 日本版『ナショナルジオグラフィック』でも公開されることを期待しましょう。そして80年の歳月を経て、彼・彼女たちの遺体や航空機、そして、手がかりとなるものが発見されることを願っています。

Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。