2024年がスタートして、早くも1カ月が過ぎてしまいました。本当に時が経つのは早いですね。
そして卒業式、人事異動、転居などなにかと集まりが多い春はもうすぐそこです。親戚の集まり、栄転する友人の送別会、取引先の接待、さまざまな集まりの機会もあるのではないでしょうか?
会社の部署で集まる大人数の会食は別として、少人数で美味しいものをゆっくり食べたいという機会は意外と多いもの。そんなときにぜひ参考にしたいのが、皆さんもよくご存知の「ミシュランガイド」です。
「ミシュランガイド」の概要をおさらい
え?? 今更? というそこのあなた。今回注目して欲しいのは、今年から新設された『ミシュランガイド東京』の“セレクテッドレストラン”になります。
さて、“セレクテッドレストラン”について話す前に、ここで「ミシュランガイド」についておさらいしましょう。
「ミシュランガイド」の歴史は1900年。タイヤメーカー「Michelin(ミシュラン)」の創業者であるアンドレ&エドワールミシュラン兄弟のアイデアから始まった冊子でした。
「フランスを旅するドライバーに給油や車の修理に関する実用的な情報を提供し、食事や宿泊のほか、電報、郵便、電話などで連絡の可能な場所を紹介する」ことを目的とした赤い表紙の400ページにもおよぶ冊子は、タイヤ購入したドライバーに無料で配布されていたということです。
そんなミシュランガイドに、「美味しいレストラン」として初めて星がついたのは1926年のこと。そして現在の評価基準、いわゆる“星”が導入されたのは1931年にフランスの地方を紹介したガイドが最初だったそう。「一つ星=近くに訪れたらいく価値のある優れた料理」「二つ星=遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」「三つ星=そのために旅行する価値のある卓越した料理」という定義が考案され、今現在もその評価基準は踏襲されています。
ちなみに、「価格以上の満足感が得られる料理」として定義されている“ビブグルマン”は、1997年から導入されています。では、その星やビブグルマンをつけるのは誰かと言えば、ミシュランの調査員。調査員は全員ミシュラングループの社員、そしてホスピタリティ業界の経験者から構成されています。
彼らはあくまで一般客として予約をし、来店し、注文し、食事をし、支払います。そして、「素材の質」「料理技術の高さ」「独創性」「味付けの完成度」「安定した料理の一貫性」という5つの評価基準でジャッジし、レポートを提出します。編集者はレポートを元に、レストランや宿泊施設の紹介文を書き、出版の準備をします。ここではまだ、どの店が掲載されるのかわかっていません。
星の評価会議は年に数回、当該ガイドのディレクター、担当調査員、ミシュランガイドのインターナショナルディレクターが集まる「スターセッション」で行われます。星の数は合議によって決まり、評価に同意が得られない場合は再訪してもう一度調査をすることもあるとのこと。
今では40カ国で発刊するこの冊子。「ミシュランの星付き店=美味しい店、はずさない店」という認識は定着し、世界中のグルメが信頼する美食ガイドとしての地位を築いています。
新設カテゴリー“セレクテッドレストラン”とは? その中から、おすすめ3選
前置きが長くなりました。
2023年12月に『ミシュランガイド東京版2024』が発表されたのですが、実はこの回から、ミシュランガイド東京の掲載方法が大きく変わりました。それが“セレクテッドレストラン”という新しいカテゴリーの登場です。
ミシュランガイド東京2024を見ると、星もビブグルマンもついていない掲載店があります。これが“セレクテッドレストラン”です(ちなみに世界のミシュランガイドでは、この“セレクテッドレストラン”は普通に掲載されていました。日本でも、地方版はもともと掲載されていたもの。東京版、京都・大阪版には今まで掲載がありませんでした)。
ミシュランガイドの公式見解として、「“セレクテッドレストラン”は、星やビブグルマンの評価はつかないけれども、ミシュランガイドのおすすめの飲食店・レストラン」とのこと。星には至らない評価だったというのは明確ですが、“ビブグルマン”より劣っているか? というと、そうではありません。
この“セレクテッドレストラン”も、“星”や“ビブグルマン”と同じように調査員が調査をし、合議の場所で決定され、上限の件数はありません。
これは完全な筆者の妄想ですが、「一旦会議のテーブルに乗ったけれど、星がつけられなかった」という良店が、“セレクテッドレストラン”なのかなあと思っています。
つまり、調査員の皆さんがレストランを訪れ、調査をし、合議をした結果、意見が合わずに星がつけられないお店がいくつも発生。しかし、「いずれも非常にいいお店だよね、紹介しないのはもったいないよね」ということで、“セレクテッドレストラン”として紹介……したのではないでしょうか?
何度も言いますが、これは私の完全なる妄想で、ミシュランの公式見解ではありません。ミシュランは、詳しいセレクト基準について発表はしていないので誤解のないようお願いします。でも、「そう言いたくなるほどに、良いお店ばかりがラインナップされている」というのは間違いないのです。
さて、「会食にはこの“セレクテッドレストラン”に注目せよ」というのは、2つの理由があります。それは予約の取りやすさです。
【理由その1】
ミシュランの星付きレストランは予約が困難なお店が多く、短くても数カ月先、長ければ1年以上先まで予約が取れないこともあります。星付き店は、国内のゲストのみならず、海外のゲストもこの星を基準にして予約する傾向があるので、どうしても予約が埋まってしまいます。
もちろん“セレクテッドレストラン”の中には、予約困難店も含まれます。が、その割合は星付きレストランより圧倒的に少なく感じます。
【理由その2】
もう一つの理由は、価格レンジの広さです。ミシュランは料金の目安を「¥」で記していますが、“セレクテッドレストラン”は5000円~1万円の「¥¥」から3万円以上の「¥¥¥¥」まで幅広いラインナップ。星付きのお店は一つ星だとしても、ほぼ1万円―3万円以下の「¥¥¥」以上になります(しかも、「¥¥¥¥」の割合が多い)。
つまり予約が取りやすく、目的によって価格帯も選びやすいのが“セレクテッドレストラン”なのです。
今回ご紹介した3軒は、いずれも筆者もおすすめとして”セレクト”したくなるお店ですので、ぜひ参考にしてみてください。