記事に移動

食と健康に関する“現代の迷信”17を、専門家が検証

10月16日(月)の「世界食料デー」に、私たちがよく耳にする食や栄養にまつわるウワサについて確かめてみましょう。

By and
食 健康 栄養 ダイエット トレーニング タンパク質 迷信 ウワサ 神話
Claudia Totir//Getty Images

現代において、食や栄養に関する情報は複雑化しており、そこから正しいセオリーだけを見つけるのは、その道に精通しているプロでも簡単ではありません。ダイエット法や健康メソッドも流行り廃り(はやりすたり)が激しく、今日ありがたがられていたものが明日には見向きもされなくなったりします。

そこで、UK版『メンズヘルス』がエキスパートたちに取材。彼らがよく耳にするという神話や疑似科学についてうかがい、真偽のほどを確かめてみました。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Source / Men's Health UK

1

「朝食は一日で最も重要な食事である」

breakfast for two persons served in a restaurant, directly above view
Alexander Spatari//Getty Images

「シリアル会社は、この言葉を信じてもらうためのマーケティングに多額の資金を投じています。ですが実際には、トレーニング後に十分な栄養を摂っていれば、体に必要なものはそろうのです」と述べるのは、パーソナルトレーナーのヘンドリック・ファムティミさん。

朝食を軽めに済ませたいときは、日中のワークアウト後にしっかりと栄養補給をすることが効果的。「16:8」のインターミッテント・ファスティング(断続的断食)を実行中の人も同様とのこと。

研究では、BMIが高い人ほど、一日の遅い時間に食事をする傾向にあることが示されているそうです。それはつまり、朝食にこだわるのではなく、あくまで日中の明るいうちにカロリーを摂取することが違いを生むということになると推察できます。

ペンシルベニア大学のある研究では、概日リズムと同期しない食事をする人は、血糖値やコレステロール、中性脂肪の数値が芳(かんば)しくなかったそうです。

2

「炭水化物を抜くことが最も賢いダイエット法である」

dietary fiber food still life
fcafotodigital//Getty Images

「炭水化物」と聞くと、パンやパスタを真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、炭水化物は実際のところ葉物野菜からオーツ麦、レンズ豆まで、さまざまな食材に含まれています。

「英国では肥満が増加していますが、オーツ麦やレンズ豆の食べ過ぎが原因だからでしょうか? それは現代のデータに基づくものではありません」と説明するのは、栄養士のライアン・アンドリュースさん。彼は、体組成は「ストレスから睡眠まで、無数の要因に影響されます」と指摘します。

それはつまり、バターをたっぷり塗ったトーストの食べ過ぎだけが肥満の原因になるわけではないということを意味します。では、なぜこのような認識があるのでしょうか?

炭水化物を摂取すると血糖値が上昇し、脂肪の蓄積をコントロールするホルモンであるインスリンの分泌を誘発します。しかし、これは正常な生物学的プロセスであり、体の要求を満たす適切な量のエネルギーを摂取していれば、余分な脂肪がつく理由にはならないということ。

確かに、低炭水化物の食事で脂肪が減る人はいるかもしれません。ファムティミさんも「他の食べ物と同じく炭水化物をカットすると、カロリーを抑えることはできます」と説明します。しかし、それは問題の解決にはならないようです。

非常に健康的でも、炭水化物をたくさん食べる人がいることは事実で、例えば、米を主食とする日本人の肥満(WHOの基準でBMIが30以上)の割合はわずか4%程度という数字が出ています。

3

「午後6時以降に食べる炭水化物は、脂肪として蓄積される」

success sure tastes good
kupicoo//Getty Images

「寝る前に炭水化物を摂取すると、『代謝が落ちて身体に良くない』と考える人もいます。ですが、それは必ずしも『正しい』とは限りません」と、ファムティミさんは言います。

エネルギーのバランスを、預金残高と同じように考えてみましょう。重要なのは月を通しての習慣で、“華金”の夜であろうが火曜の昼であろうが、散財は散財に変わりないはず。

また、もしあなたが仕事帰りにジムに行く人であれば、バランスのとれた夕食にはメリットがあるそうです。ファムティミさんはほとんどのクライアントに、ワークアウト後は炭水化物の多い食事を摂るようにとアドバイスをしているそう。「なぜなら、身体が栄養を欲しているときですから」と彼は補足します。

ADの後に記事が続きます
4

「乳製品を控えるとカルシウム不足になる」

pouring fresh milk in glass
alvarez//Getty Images

「牛乳は身体に良い」という1980年代のマーケティングキャンペーンは、乳製品を骨粗しょう症の予防薬として位置づけました。また、問題なく乳製品を消化できる世界中の成人約40%にとって乳製品にはメリットがあり、ビタミンDやビタミンB12、リン、そしてもちろん骨を形成するカルシウムの供給源となります。

ですが、豆乳や豆腐、チンゲン菜、ケール、特定の豆類やナッツ類、シード類からも、カルシウムを得ることは可能です。多くの食品はミネラルが強化されており、例えば英国では、小麦粉にカルシウムを添加することが法律で定められています。

要するに乳製品が好きなら、楽しむことに問題はありませんが、牛乳は「絶対に必要なもの」というわけではないのです。

5

「栄養をとるには生がベスト」

fruit and vegetable close up
Kinga Krzeminska//Getty Images

全ての食材が、「生で食べるのがいちばん」というわけではありません。赤色&オレンジ色の食材(トマト、にんじん、さつまいもなど)や、葉物野菜(ほうれん草など)に含まれるリコピンやβ-カロテンは、調理することでバイオアベイラビリティ(体内で栄養素が抽出され利用されやすくなること)が高まります。

さらに、脂溶性のビタミンA(トマトやにんじん)、ビタミンD(キノコ類)、ビタミンE(アスパラガス、スイスチャード)、ビタミンK(ケール、ブロッコリー、芽キャベツ)を含む食材を、オリーブオイルやバターなどの脂質と合わせて調理するのも効果的と言えます。

6

「より多くの筋肉をつけるために必要なのは、タンパク質」

cutting poached egg on top of avocado toast with salmon
Alexander Spatari//Getty Images

「私たちの身体はゼロからタンパク質をつくり出すことはできないので、食事から摂る必要があります。筋肉をつくるために、タンパク質の摂取は欠かせません」と話すのは、栄養士のシネイド・ロバーツさん。

ですが、筋肉を育てる成分はタンパク質だけではありません。「筋肉を育てるプロセスは、『mTORC1』と呼ばれる分子によって制御されており、これは筋力トレーニングによってスイッチが入ります。ですが、スイッチを入れ続けるにはエネルギー、すなわちカロリーも必要なのです」

つまり、赤身の肉と葉物野菜だけの節制した食事では不十分ということ。タンパク質だけでなく、幅広くいろいろなものを十分に摂取することが求められるのです。

ロバーツさんは、「研究では、卵白のような“シンプル”なタンパク質の食材と、脂質や微量栄養素も含む全卵のような“より複雑”な食材を比較しました。その結果、いくつかのホールフードは筋タンパク質合成をサポートするうえで、より効果的である可能性が示されました」と言います。自分に合うものをぜひ探してみてください。

ADの後に記事が続きます
7

「さらに、トレーニング直後にはタンパク質が必要」

glass of chocolate protein shake with milk and banana, whey protein in scoop and black sporting kettlebell in background sport nutrition stone wooden background copy space
Eugeniusz Dudzinski//Getty Images

消化器系はあなたが思っている以上にスマートに役割を果たし、筋肉に必要とされるときのためにアミノ酸を吸収して貯蔵しておくことが可能となっているそうです。

Journal of the International Society of Sports Nutrition』によると、「運動前後の食事は、成長を妨げない程度に4時間ほどの間隔を空けてもいい」とのこと。「身体がカタボリック状態(体内の筋肉や脂肪が分解されエネルギーとして使われる状態)に入るには、数時間かかります」と、ファムティミさんは説明しています。

8

「高GIの炭水化物は食べるべきではない」

twice baked stuffed potatoes
LauriPatterson//Getty Images

グリセミック・インデックス(GI)は、食品が血糖値に与える影響を示す指標ですが、炭水化物にタンパク質、脂質、食物繊維を組み合わせると、血糖値の反応は弱まります。例えば、イギリス名物「ジャケットポテト(ベイクドポテト)」はGI値が高い料理ですが、ここにスプーン1杯のツナマヨと少しのアボカドを合わせるとGI値は下がるとのこと。

「実際、状況によっては、高GIの炭水化物は有益でさえあります」と述べるのは、栄養士のスティーブ・グラントさん。「特に、トレーニング後にグリコーゲンを補給したいときには助けになります」

また、反応には個人差もあるようです。「私たちの腸内細菌叢は、食品のGI値に影響を与えることが示されています。反応は人により異なるので、『高GIの炭水化物は食べるべきではない』とひと言で片づけてしまうのはよくないと思われます」と、グラントさんは付け足して言います。

9

「スーパーフードは代謝をスーパーチャージしてくれる」

chia pudding with mango, granola and honey healthy dessert, proper nutrition
White Bear Studio//Getty Images

「スーパーチャージ(過給)」と「サポート」には、決定的な違いがあります。ビタミンB群や特定のミネラルを含む微量栄養素は、健康的な代謝機能をサポートしてくれます。ですが、ひとつまみのチリパウダーやスプーン1杯のりんご酢を加えただけでは、カロリーの燃焼には役立ちません。せいぜい血糖値バランスと、満腹感を助けてくれる程度ということ。

「“ワークアウトの前にスプーン1杯のココナッツオイルを摂取すれば、脂肪がより多く燃焼する”と考えられていた時代もありました」とファムティミさん。実はこれもまやかしで、ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸(MCT)は、他のタイプの脂肪と比較して、脂肪の酸化を改善すると思われがちです。が、メリットとしてはごくわずか…。スプーン1杯だけでは、ほとんど影響しないそうです。

ADの後に記事が続きます
10

「砂糖/乳製品/小麦/カフェインを断つことで、デトックスが促進される」

coffee with latte art and small doughnut of wine with sugar and cinnamon and ingredients donuts dessert
Cavan Images//Getty Images

一体、「何」からのデトックスなのでしょうか? 

2009年、独立研究機関Examineが“デトックス”を謳(うた)う10の企業を調査したところ、どの企業も排除される毒素の名前を挙げることができなかったそうです。それから10年以上が経った今でも、その状況は改善されていないそうです。

「『デトックス』という言葉は、かなり使い古されています。私たちがこれまで以上に多くの毒素にさらされていることに異論はありませんが、砂糖や乳製品などを断つことを『デトックス』とみなすことはできません」と、グラントさんは言います。

消化の問題の原因となり得る食品(上で述べてきた食品も含まれる可能性はありますが、必ずしもそうとは限りません)を避けることは、体内のデトックスプロセスをサポートすることにはなります。

が、グラントさんによると「カロリー不足だと毒素が脂肪細胞に蓄積される可能性があるため、毒物暴露が増えるリスクもあります」とのこと。その代わりに、栄養価の高いホールフードと消化を促す食物繊維の摂取量を増やし、さらにジムのルーティンの中にときどき、サウナを加えることを彼は推奨しています。

11

「良いものはどれだけ摂取してもOKである」

medicines, supplements and vitamins are in a wooden spoon have are bottles of medicine as a background
supitchamcsdam//Getty Images

栄養の“境地”に到達することを期待して、合成ビタミンをたくさん胃に流し込んでも効果は期待できないとも言います。

「その多くは『ホルミシス』現象(高濃度あるいは大量に用いられると有害となるが、低濃度あるいは微量に用いられると有益な作用をもたらすこと)であり、ある時点までは有益と言えます。つまり、リミットを超えて摂取すると逆効果になるということです」と、ロバーツさんは述べます。

例えばビタミンC。許容上限量は1日2000ミリグラムですが、これを超えて摂取すると、吐き気や睡眠障害などの副作用が現れる可能性が高まるそうです。サプリメントのラベルをよく確認し、不足が心配なときは補給する前に血液検査を受けるといいでしょう。

12

「健康的な食生活にサプリメントは必要ない」

closeup female hand neatly placing medicament at domestic first aid kit top view storage organization in transparent plastic box drug, pill, syringe, bandage fast health help safety emergency supply
Kseniya Ovchinnikova//Getty Images

ほとんどの栄養士は、「フード・ファースト(食べ物第一)」のアプローチを提唱しています。ロバーツさんも「ビタミンCの錠剤からはビタミンCだけしか補給できませんが、ビーツからは1ポーションでビタミンC、硝酸塩、カリウム、マンガン、食物繊維、葉酸を摂取することができます」と例を挙げます。

とは言え、食事だけでは得ることが難しい栄養素も中にはあります。ビタミンD3(10月から3月は、1日10マイクログラムの摂取が目安とされています)や、EPAとDHA(脂ののった魚をたくさん食べている場合を除く)、ヴィーガンの人に不足しがちなビタミンB12などがその例です。

一方、アスリートに役立ちそうなサプリメントには筋肉増強をサポートするクレアチンや、有酸素運動のパフォーマンスを高める硝酸塩などがあります。

ADの後に記事が続きます
13

「チートミールがカロリー消費に役立つ」

various dishes and snacks table top view
Rouzes//Getty Images

「これは今注目のトピックです」と、ロバーツさんは言います。

長期間ダイエットを続けると、代謝が落ちるのは事実。これを防ぐために、“チートミール”あるいは“チートウィーク”を設けることが提案されています。つまり、「摂取カロリーを増やすことで落ちた代謝を戻す」ということになります。

ですが、「カロリーを増やしている間は代謝が回復するかもしれませんが、研究によれば、ダイエット食に戻すとまた下がるようです」とロバーツさんは説明します。

されど、摂取カロリーを増やすことに全くメリットがないわけではありません。最近の研究では、ブレイクをはさむことで、ダイエット疲れ、つまり好きな食べ物を我慢することによる退屈なストレスを減少させることが示されています。

これにより、「食事計画を維持でき、より体重を減らすことができるようになるかもしれません」とロバーツさんは付け加えます。

14

「植物性食品は本当のタンパク源にはならない」

salad bar
Jordan Lye//Getty Images

アンドリューさんは、「私たちはカテゴリー分けする考え方をしがちです。肉はタンパク質、全粒穀物は炭水化物、ナッツ類は脂質…と言われることが多いと思います」と説明します。ですが実際には、ほとんどの食品にさまざまな主要栄養素、微量栄養素が含まれています。

植物性タンパク質の多くには、9種類の必須アミノ酸の全てが含まれていないため(一方、動物性タンパク質の多くには9種類の必須アミノ酸が含まれています)、“不完全”であることは事実ですが、これは食生活が偏っているときの問題。

例えばヴィーガンの人は、必須アミノ酸の一種であるリジンを得るために、「ひよこ豆などの豆類を、一日に一食は取り入れるのが望ましい」とされています。

15

「脂質をより多く食べれば、より燃焼する」

chef cooking food in the kitchen, chef preparing food
Prarinya Thonghyad//Getty Images

「人間はさまざまな食事を取り入れることで長生きし、成長することができます」とアンドリューさん。「ですが、脂質の摂取量をコントロールすることは体組成にとって他の要因ほど重要ではなく、加工食品をなるべく控え、植物性食品をたくさん使った質の高い食事を心がけるほうが大切です」

カロリーの70%以上を脂質から摂取するケトジェニック・ダイエットは、身体を断食に似た状態に追い込み、エネルギー源をグリコーゲンからケトン体へと切り替えます。しかし、体重の増減に影響するのは「エネルギー源」ではなく、「エネルギーバランス」ということです。

ADの後に記事が続きます
16

「食事を少量にして回数を増やすと、代謝が上がる」

caucasian woman about to eat tiny portion of meat and potatoes
John M Lund Photography Inc//Getty Images

「燃やす」という言葉が使われますが、代謝はかまどではありません。1時間ごとに薪を入れ、火を燃やし続ける必要はないのです。複数の分析やレビューでも、「食事の回数が代謝率に影響を与えることはほとんどない」という結果が導き出されています。

より重要なのは、回数よりも何を食べるか。一方で、「ファスティングをすることで代謝が活発になる」と指摘する研究もあるそうです。

17

「天然由来の甘味料は体に良い」

honey dipper and honeycomb on table
Rapeepong Puttakumwong//Getty Images

グラントさんは、「“天然”の甘味料と砂糖に大きな違いはありません」と指摘します。さらに、「蜂蜜や糖蜜、デーツシロップといった糖類には、微量栄養素が砂糖よりも少し多く含まれるかもしれませんが、カロリーや主要栄養素の観点ではほぼ同じです。ですから、やはり摂取量には気をつけるべきです」と警告。

つまり、オーガニックのシリアルバーやスナックでも、食べ過ぎはNGということなのです。

Watch Next
 
preview for “Karada Dojyo”

健康・ウエルネス(Wellness)

smiling blond man taking an ice bath in the middle of a field

アイスバス(氷風呂)に期待できる5つの効果を解説

man running on mountain

ゴールデンウィーク(GW)に挑戦したい、アウトドア派向けワークアウト6選|暖かい季節に最適なスポーツ

girl overeat pizza

夜間に脂肪を溜め込む3つのNG習慣:いつも夕食が夜遅くなるから痩せられない!本当にそれだけ?

unrecognizable senior man preparing healthy breakfast at home

エネルギーを高める9つの意外な食品

ADの後に記事が続きます
ADの後に記事が続きます