テニス界のアイコンとして長年フロントロウで活躍するセリーナ・ウィリアムズ選手が、2020年1月12日(現地時間)にニュージーランド・オークランドで開催された「ASBクラシック」決勝戦で優勝を果たし、大会で獲得した賞金を開催地の隣国であり、甚大な森林火災の被害を受けているオーストライリアへ、救援基金として寄付することを発表しました。

 今回の優勝は、決勝戦にてアメリカのジェシカ・ペグラ選手を下し、2017年に長女のアレクシス・オリンピア・オハニアン・ジュニアを出産して以来3年ぶりとなるタイトル獲得。そして、賞金4万3000ドル(約470万円)を手にしました…。

 「私は20年以上、オーストラリアでプレーしてきました。そして、オーストラリアで今現在起きている全てのニュースに心を痛めています。火災、そして火災によって住む場所を失った十億を超える動物や人々に関するニュースは、見ていられませんでした…そこで私は、自分の賞金を救援のために全額寄付することにしました」と語りました。

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 2019年9月に深刻な森林火災が発生して以来、これまで28名の命を失うこととなり、同国東南部ニューサウスウェールズ州では3000軒以上の建物に被害が出ています。さらには、およそ5億匹の哺乳類・爬虫類・鳥類が犠牲になったと見られている世界的に類を見ない甚大なる災害の真っ只中に置かれているオーストラリア…。

 現在、ウィリアムズ選手はそのオーストラリアに滞在中。2020年1月20日(月)~2月2日(日)で開催される全豪オープンに出場するため…。この大会で彼女はこれまでに、グランドスラムでのシングルス23勝のうち7勝をあげています。

 CNNによれば全豪オープンの主催側は大会前に、森林火災による影響が懸念される中で大会を「予定通り開催する」と発表していました。

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 さらに、この全豪オープンを災害援助の貢献の場にすることを宣言。そして選手たちのベストなコンディションでパフォーマンスできるようにと、「万が一極端な煙が発生した場合には、3つのスタジアムのコートの屋根を閉鎖し、温度調整と空気清浄がなされた環境で大会を続行する」と公式のツイッターアカウントでファンからの質問に対してコメントしていました。

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 すでに、大気汚染の影響で呼吸に問題が出た選手が予選の試合を棄権したほか、練習セッションも一時中止となっています。2020年1月14日(火)に行われた予選で、ダリア・ジャクポビック選手(スロベニア)はシュテファニー・フェーゲレ選手(スイス)との試合に4-6で第一セットを落とすも、第二セットで6-5と挽回を果そうとしている矢先、自身のサービスゲームを終えることができず棄権することになっています。

 また 、オーストラリアの環境当局はメルボルンの大気汚染のレベルについて、森林火災による煙のため「危険」としており、人々には屋内にとどまるよう推奨してもいます。 そんな現状であるオーストラリア…。

 このように依然として続いている予想をはるかに超える森林火災について、この大会の開催に関しては主催者側も大きく悩んだことでしょう。しかしながら、ここで敢えて開催することも認知拡大のため大きな貢献を果たしてくれるのではないでしょうか…。

 この全豪オープン前の大会で獲得した優勝賞金を、全額寄付したセリーナ・ウィリアムズ選手を代表に…。今後も多くの選手たちが、オーストラリアの今を伝えながらベストプレーをしてくれるでしょう。

From Harper's BAZAAR
Translation: Masayo Fukaya

From: Harper's BAZAAR JP