全米プロバスケットボールリーグNBAのレジェンドプレーヤーであるコービー・ブライアント氏が、2020年1月26日に ヘリコプター事故により13歳の娘・ジアナさんも含め計9名が死亡したという訃報を受け、バスケットボール界を中心に様々なカタチで追悼の動きが世界へ広がりました…。

 ここで改めて、ブライアント氏や愛娘のジアナさん、さらにパイロットを含めた同乗者の方々のご冥福を祈りたいと思います。


Portland Trail Blazers v Los Angeles Lakers
Wally Skalij//Getty Images
2020年1月31日、ロサンゼルス・レイカーズのホームであるステイプルズ・センターに、ポートランド・トレイルブレイザーズを迎えた一戦。その試合前の観客席には…。

 2020年1月31日、ロサンゼルス・レイカーズはブライアント氏の死後初となる試合を、本拠地であるステイプルズ・センターで行いました。相手はポートランド・トレイルブレイザーズ。試合前には、ブライアント氏の功績を称える追悼式が執り行われ、球団はブライアント氏が現役時代に着用した8番と24番のバスケットジャージーをすべての観客席に用意し、選手たちも入場時にはブライアント氏のジャージーを着用していたのでした…。

 追悼式を締めくくったのは、2018年からレイカーズに加わったレブロン・ジェームズ。ブライアント氏を兄のように慕っていたレブロンは、ブライアント氏が事故に遭う直前に会話を交わしていた一人。事故前夜には敵地でのフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦で29得点を記録し、通算得点でコービーの3万3643得点を超え、歴代3位に浮上したところでもありました。

 そこでマイクを握ったレブロンは、ポケットから一枚のメモを取り出します。ですが、あえてその原稿は読まず、「これをそのまま読んでしまったら、レイカーネーション(レイカーズの熱烈なファン)に失礼だ」と説明しながら、「心が感じるままに話させてもらう」と、語り始めました。

 「…いつか、コービーを称える記念の何かができることでしょう。でも僕は、今日という日こそセレブレーションだと思っています。20年もの間、血と汗と涙を流し、肉体が傷ついても立ち上がり、休み、偉大な存在になろうとした彼のすべてを称えるセレブレーションだと思っているのです。18歳でNBAでプレーするようになり、38歳で現役を引退。それからの3年間は、最高の父親だった人物の功績を僕たちは今日、称えたいと思います…これまで何度も彼と対戦してきました。お互いに、いつ対戦しても勝ちたいという強い気持ち、偉大な選手になりたいという気持ちを共有できていたと思います。…今こうして、ここに僕がいるというのは、とても大きな意味があるこだと思うのです。これからもチームメートと一緒に、彼が遺してくれたものを伝え続けていきたい。今シーズンだけではなくて、できるだけ長く、僕たちが愛するバスケットボールをプレーできる限り。これは、コービー・ブライアントも望んだことではないでしょうか」

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Kobe Bryant's Farewell to Lakers Fans
Kobe Bryant's Farewell to Lakers Fans thumnail
Watch onWatch on YouTube


 そしてレブロンはスピーチの最後に、ブライアント氏が2016年の現役最後の試合後に語った名スピーチの最後のセリフを引用しながらも、その言葉を言い換えました。

 「コービーの言葉を引用するなら、『Manba out(マンバは去ります)』なのかもしれない。でも、僕たちはこう言いたいと思う。『not forget live on brother(絶対に忘れないよ、これからも心の中で生き続けるよ、ブラザー!)」

instagramView full post on Instagram

 追悼セレモニーの国歌斉唱中には、涙を流すレブロンの姿も見られました。全米のスポーツ専門局「ESPN」が公開した大男が肩を震わせるそのシーンに対して、「みんな同じ気持ちだよ」と感動が広がっています。

 1万9000人の観衆で膨れ上がったこの夜の試合は、ロサンゼルス・レイカーズはポートランド・ブレイザーズに119対127で敗れました。ブライアント氏とジャンナさんのバスケットジャージーが掛けられたコートサイドの2つの空席には、バラの花束が手向けられていました。

 レブロンは、ブライアント氏の死後、身体に新しいタトゥーを彫っています。そのデザインは、現役時代からのブライアント氏の愛称ブラックマンバ(世界で最も危険な猛毒ヘビの一種)で、バラの花と数字の8と24を組み合わせたものになります。

 彼がインスタグラムで公開した蛇のタトゥーの下には、「Mamba 4 Life(マンバよ、永遠に)」というメッセージも彫られています。スピーチの締めの言葉と同様に、ブライアント氏はこれからもレブロンの中で生き続けることでしょう。