アメリカ国防総省は、パイロットのサポート役を現在開発中とのことです。


 その名は「スカイボーグ」。彼はロボット副操縦士または無人飛行のウィングマン(僚機)として、実際に戦闘機を飛行するパイロットのために重要なタスクをこなす役割をすることが想定されています。アメリカ空軍の調達・技術・補給担当次官補ウィル・ローパー氏によれば、空軍研究所では現在“画期的な”技術を開発中とのことです。

 米軍ウェブメディア「C4ISRNET」によると、ローパー氏は「スカイボーグを『スター・ウォーズ』に出てくる主人公ルーク・スカイウォーカーの後ろで操縦をサポートするロボット、R2-D2になぞらえている」と話しています。

 映画でスカイウォーカーは肉声でR2-D2とコミュニケーションを交わし、ナビゲーション情報を得たり、飛行中に機体の修理をさせたりしていました。

USS Constellation Patrols Persian Gulf
Scott Nelson//Getty Images
「スカイボーグ」は、この戦闘機「F-14 トムキャット」のように操縦士と副操縦士が前後に並び、操縦士が飛行に集中できるよう副操縦士が担当していたモニタリングなどの役割を、さらに正確かつ迅速に担うよう開発されているようです。

 実際に使用される場合には、「スカイボーグ」には2つの使い道が想定されています。

 1つめは「R2-D2」のようなAIで、有人戦闘機に副操縦士として搭載されること。操縦士はルーク・スカイウォーカーのように音声でAIとやりとりができるという予定にもなっています。その場合、一人乗りのジェット機でもパイロットのためにレーダーの操作やターゲットの特定、ナビゲーション、状況確認などの副操縦士の役割をこなすことができるようになるとのこと。

 特にローパー氏が見据えている「スカイボーグ」の役割は、ターゲットの識別です。センサーからのデータを使って、敵機を含む周囲の航空機を識別させます。これはあの有名な2人乗りの戦闘機、「F-14 トムキャット」の後部座席に乗り込む第2クルーであるレーダー迎撃士官の役割と同じものになります。

 2つめはボーイングの「ロイヤル・ウィングマン(Royal Wingman=忠実な僚機)」やクラトス社の「XQ-58A ヴァルキリー」のような、無人機を操縦するAIです。ウェブメディアの「C4ISRNET」によれば、「QF-16」のようなドローンにも搭載される可能性があるとのこと。「QF-16」はリタイア後の「F-16」を無人機として改造したもので、追撃されることを目的とした標的機として使われています。しかしながら高性能のAIを搭載することで、理論的には安価で使い捨てのきく、武器を搭載した戦闘用無人機として使えるようになるわけです。

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U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Perry Aston
戦闘機サイズの標的機である「QF-16」は、コックピットにパイロットを乗せて有人機として使うこともできます。

 どちらの使い道にせよ、アメリカ空軍は「スカイボーグ開発の目的はパイロットの代わりとなることではなく(そしてAI同士の戦闘といった難しく倫理的な問題に立ち入ることでもなく)、人間のパイロットの効率を上げ、複雑な戦闘環境でより多くのタスクを管理させることだ」と強調しています。つまり武器を発射したり、敵に危害を与えようとする際には、依然、人間に判断を委ねるということになります。

 「AIや自律システム(AS)が人間に取って代わるわけではなく、人間のパフォーマンス向上に貢献する」…その考え方さえ忘れなければ、ターミネーターのようなロボットが戦場で勝手に人を殺してしまうような未来は、避けられるのではないでしょうか。

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From POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。