核攻撃の可能性については、正直言って文章を書くことはもちろん、考えることさえ嫌気が差すものです。また、Facebookなど、SNS等で核攻撃の脅威についてヒステリックに煽(あお)るような投稿もありますが、実際に核攻撃が起こるリスクが低いことも確かなことです。

とは言え、米・公衆衛生当局は「核攻撃時に備えた計画が事前に用意されていれば、病気や死亡のリスクを下げることにつながる」としています。「米疾病予防管理センター(以下CDC)」が2018年1月16日に、医者や政府関係者、緊急医療従事者向けの説明会を開催したのはこのためなのです。

CDCはこの説明会のなかで、連邦政府や州政府、地域の公衆衛生プログラムが核爆発に備えて、どのような計画を準備しているかについて解説しました。この説明会に関するCDCのウェブサイト上の告知は、核爆発が起こる可能性は低いとしながらも、実際に起これば壊滅的な被害をもたらす可能性があるとしています。

CDCの説明会が、北朝鮮の脅迫やこれに対するトランプ大統領のTwitter上での反応など、何らかの出来事を受けて実施されたのかははっきりしていません(本サイト「メンズヘルス」では、CDCにコメントを求めましたが、返答は得られていませんでした)。また、CDCが核攻撃への備えをテーマにした、こういった説明会を開催するのが初めてではないことも指摘しておくべきでしょう。

核の脅威に対し、備えるべきこと

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しかし、米国救急医学会の防災委員会委員長で、マサチューセッツ大学記念医療センターの助教授でもあるイラ・ネメス医師によれば、災害対策専門家の間では、北朝鮮による核攻撃のリスクが高まるずっと以前から、「核の脅威に備えるべき」という考えが広がっていたと言います。

「災害対策の専門家は、このことについて長年議論してきました。われわれは核攻撃に十分備えておく必要があるのです」と、ネメス氏は語っています。

では、核爆発が起こった際には、実際にどのように行動をすべきなのでしょうか?

ニューヨーク大学ランゴン・ヘルスで災害対策およびエンタープライズ・レジリエンスの責任者を務めるケリー・R・マッキンゼー氏によれば、「あなたが爆心地から数km以内にいた場合は、生き残れる可能性は低い」としています。しかし、この周囲のエリアにいた場合は生き残る可能性は十分あり、この場合は被爆から自らを守る必要があります。

「爆風の範囲内で生き残ることは不可能です。ですが、爆心地から離れた場所では…そこで脅威となるのは放射線になります」と、マッキンゼー氏は話しています。

建物の中に入り屋内に留まる、そしてそのまま待つことが大切

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つまり、「放射線」への対処法を身につけておくことが、もっとも重要なことだと言えるのです。

安全で頑丈な壁に囲まれた場所にいれば、被爆を減らすことが期待できます。ならば核攻撃の後にも、生き残れる可能性が充分高まるのです。CDCのウェブサイトでも、少なくとも24時間はシェルターなど屋内にいるよう忠告しています。

「放射線防護には3つの原則があり、それは時間と距離、そして遮蔽(しゃへい)です。被爆から逃れるためには、この3つを念頭に行動しなければなりません。実際に核攻撃が起これば、するべきことは非常にシンプルなんです」と、マッキンゼー氏は説明します。

核攻撃時の対応については、「建物の中に入り、屋内にとどまり、そのまま待つ」とだけ覚えておきましょう。

地下室やお風呂、窓がない部屋、しっかりと密封された窓などは、放射性細塵による被爆を減らしてくれるでしょう。一方、自動車の中は安全ではありません。他に選択肢がない場合以外は、避けた方がいいと言えるでしょう。

核爆発による放射線レベルは、爆発から数時間で劇的に低下します。しかし、屋内のどこかに留まり、ニュースを聞き、爆発から離れたエリア(被害エリア内の人には連絡が取れないでしょうから)の友人や家族から情報を得ることは、非常に重要なこととなります。

「放射性細塵などの汚染物質は、ときに数百マイル風下に運ばれることもあります。自分が放射能の落ちてくる地域にいるかどうかを知ることは、重要なんです」と、マッキンゼー氏は説明します。

何事も知っておくことは大切です

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シェルターなど屋内では、数日間を過ごす可能性があります。このためネメス氏は、ハリケーンやその他の自然災害へ備えにもなる災害キットや災害ボックスを、事前に準備しておくよう推奨しています。

こういった災害キットと数日分の水や保存食、必要な処方薬などを準備しておくべきです。また、あなたの携帯電話内の連絡先リストが、携帯電話と一緒に壊れてしまう場合も想定して、被災地となった町から外出中、または離れてた地に住む家族、さらには友人たちの電話番号も事前にハードコピーで保管しておくといいでしょう。

外に出ても大丈夫な状況になったら、まずは地域の避難勧告などに従いましょう。また、このときは風向きに注意し、放射性のちりや残骸などは避けること。もし何らかの放射性物質に触れてしまった場合、できるだけ早く払い落とし、シャワーで肌や髪から水で洗い落としてください。

核攻撃に備えることは気のめいることですが、ポジティブに考えてください。

再度言わせていただきますが、「核攻撃が起こる可能性はかなり低いと思っています」とネメス氏は話します。ですが、どれだけ可能性が低かろうと、最悪のケースに何をすべきかを知っていることはとても重要なことなのです。

「はっきり言って考えるのも恐ろしいことです。冷戦時代以来、人々はこのことについて考える必要がありませんでしたから…」と、ネメス氏は最後に付け加えています…。

Source / Men's Health US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。