《目次》

▶歯科医によるホワイトニングが安全と言える理由

▶注意点

 ―厚生労働省の認定外の薬品購入は控える

 ―日本人はエナメル質が薄い

▶ホワイトニングを控えるべき人・NGな人

▶まとめ・アドバイス

歯のホワイトニングのために、過酸化水素のマウスウォッシュは本当に有効なのでしょうか?

◇「歯科医によるホワイトニングが安全」と言える理由

「自分の歯をより白くするために、市販の過酸化水素を含んだマウスウォッシュを使用しようかと思っていますが、これって安全ですか?」という質問に対し、米国シカゴで「Dentologie(デントロジー)」という歯科医院を営むスハイル・モヒウディン博士からの返答は、「絶対に安全とは言えません」とのこと。

そして、こう続けます。

「過酸化水素という化合物に関してですが、これは知識のある歯科医師が扱うから安全だと言えるのです。知識のない人がネットなどで購入した市販の過酸化水素配合マウスウォッシュを常用するとなると、極めて危険性が高まります」と、注意をうながしています。

またさらに、「歯科医院で扱うホワイトニング剤の主成分も、同じく過酸化水素です。過酸化水素には歯を白くする成分が含まれているからですが、ここで皆さんは消毒用のオキシドールと同じ成分ということで、安全だと思う人も少なくないでしょう。ですが、濃度が高くなると危険です。つまり、過酸化水素のホワイトニング剤自体が危険ということではなく、知識のない人が不用意に過酸化水素を口の中に入れることが危険、ということです」。

「例えば、無カタラーゼ症の疾患がある人の場合。その人は過酸化水素を分解できない体質なので、過酸化水素を常用すれば口腔内が壊死(えし)してしまったり、歯茎に慢性的な炎症を引き起こす危険性もはらんでいます。自分が無カタラーゼ症だと判断できますか? そもそも、無カタラーゼ症という疾患を知っていますか?(下記説明) そう言うことです」と、博士はTikTok動画を通して警告しています。

これはtiktokの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

「TikTok動画上で、過酸化水素配合のマウスウォッシュを直接使ってうがいをする若い女性の動画を見つけ、しかも、それを歯科医の服を着た中年男性が笑顔で容認しているような内容で『これはいかん、誤解を招く情報だ』と思ったわけです。そんなことを真に受けてしまえば、歯茎が赤く炎症を起こしたり、口腔内の組織が壊死してしまったりする可能性があるのです」。

「過酸化水素は、歯のホワイトニングに一定の効果があることは認めます。ですが、専門的なホワイトニング治療やその施術の中でのみ使われるべきものです」と、モヒウディン博士と重ねて言います。

ニューヨーク、ワシントンDC、そしてボストンで最先端の歯科医院チェーンを展開する「Tend(テンド)」でチーフ・デンタル・オフィサーを務めるクリス・サリエルノ博士も、全く同じ意見です。

「ホワイトニングを目的とした過酸化物による洗浄を、FDA(Food and Drug Administration=アメリカ食品医薬品局)も承認していません。その化合物の使用にはリスクがあるだけなく、それが実際に効果を示した研究結果もまだないのです」と、サリエルノ博士も言います。

ネット通販でホワイトニング剤を購入する危険性

多くのホワイトニング製品において、有効成分として配合されている過酸化水素。ですが、モヒウディン博士の言う通り、これを使用するには特定の方法や専門性が求められるものなのです。

「過酸化水素は、実に強力な漂白剤効果のある化学物質です。頻繁に使用したり不適切に使用すれば、エナメル質を形成するリン酸カルシウムを溶かしてしまうだけの作用があります」と指摘するのは、ニューヨークおよびニュージャージーを拠点とする「Beam St(ビーム・ストリート)」の矯正歯科医ヘザー・クーネン博士です。

「歯のホワイトニングに過酸化水素を用いる場合には、医療機関等の指示に従って、適度な用法を守らなければ安全性も効果も期待できません」。

◇注意点

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日本の厚生労働省の認定外の薬品購入は控える

昨今では、自宅用ホワイトニング剤のキットをネット通販で購入が可能ですが、不用意に購入するのことは避けるのはベターと言えるでしょう。実際に認可を受けているか否かが分からないからです。表記がしっかりしていても、よくわからないようなホワイトニング剤に手を出すのはやめておきましょう。

日本人はエナメル質が薄い

日本人の歯は欧米人に比べると黄色いと言われていますが、その理由の1つに、歯の表面をガードしているエナメル質が相対的に薄いことが挙げられます。エナメル質は白色で半透明という特色があり、これが厚いほど歯は白く見えるわけです。

また、エナメル質が薄いということは、知覚過敏を起こす可能性があります。ですので日本の歯科医院でホワイトニングを行う場合は、日本人向けに施術可能な濃度の過酸化水素を使用しているので、安心して受けることができるというわけです。そういう意味でも、やはり歯科医院に相談するのが最良の策と言えるのです。

◇ホワイトニングを控えるべき人・できない人は?

ホワイトニングを考えている人は、あくまでも歯は健康状態にあり、ホワイトニングができる条件をクリアしている人のみ施術することが可能となります。 次のような人は、避ける、または改善してから、ホワイトニングを受けましょう。

  • 知覚過敏や歯周病、虫歯がある人

歯の健康状態が良くない人がホワイトニングを行うと、薬剤がしみてしまい痛みが生じる可能性があります。そのような人は、治療してから改めて受けることが推奨されています。

  • 14歳以下はNG

若いと歯の成長に悪影響を及ぼす可能性が高いため、ホワイトニングは基本的に「不可」とされています。歯科医院でもNGですが、ホームホワイトニング用の薬剤にも注意書が記されています。

  • 妊娠中や授乳中の女性は控える

ホワイトニング薬剤による直接的な健康被害は、科学的には報告されていません。ですが、安全性を考慮するなら、この時期にホワイトニングを受けることは控えたほうが無難でしょう。

  • 無カタラーゼ症

「無カタラーゼ症」の人は過酸化水素を分解できない体質ですので、使用してしまうと口腔内の壊死を引き起こす恐れがあります。症状を持っているのかどうかは、歯周ポケット内にオキシドールを1滴たらすだけで分かるということ。オキシドールが泡立たなければ、「無カタラーゼ症」だと診断されるそうです。

  • 光線過敏症である人

ホワイトニングの施術の際、薬剤の反応を促進するために強い光を照射します。よって、光線過敏症の人は強い光を当てることによって、皮膚に紅斑(こうはん)や水疱(みずぶくれ)ができてしまう可能性があります。なので、控えたほうがベターと言えるでしょう。

◇まとめ・アドバイス

自宅でできるホワイトニング方法を探している場合、まずは専門の歯科医に相談することから始めましょう。安全かつ効果的とされる適量に注意して、取り組むべきです。

歯の白さは
ホワイトニングだけでなく
日々のケアでも
改善でき

「歯の着色や変色の状況、そして、その原因などを専門の歯科医に診てもらうのが最善です。クリニックおよび在宅でできる効果的なケアについてアドバイスを受け、その方法に従うべきです」と、サリエルノ博士は言います。「ホワイトニングではなく、シンプルに歯のクリーニングを改善するだけで、見違えるほど歯が白くなる人もいますよ」と締めくくってくれました。

Source / Men’s Health US
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。