本記事を読み始めた読者の皆さまの中には、「そんなの飲酒量を減らせば即解決でしょう!!」と明らかな解決策がすでに頭に浮かんでいるかもしれません。…とは言え、理性より欲が勝ってしまうのが人間の性(さが)というものです。

なぜ暴飲暴食の原因は?

まずは、なぜ飲酒後に暴飲暴食という衝動にかられてしまうのか? 科学的な話から始めましょう。

スイス・チューリッヒ工科大学の神経科学者であるデニス・ブルダコフ教授は、飲酒により引き起こされる食欲の増加を「アペリティフ効果(aperitif effect)」と呼んでいます。これに関しては、ビールやワインなど醸造酒のほうがその傾向が顕著に表れる研究結果もあります。

飲酒で食欲が増す「アペリティフ効果」

これは、アルコールはそれ自体がカロリー源であるにもかかわらず、食べたいという欲求を抑えるどころか、高めるような信号を脳に送るという奇妙な現象です。そうなると脳は「進化的飢餓モード」に陥ってしまい、まるで空腹であるかのようにカロリーの高い食べ物を過剰に欲するようになるというわけです。

もちろん、そこでアルコールと水を含むノンアルコール飲料をうまく飲み分けることで、「半酩酊(はんめいて)状態」のままでいることが有効となるでしょう。ですが、お酒はどこにでもあるものです(お酒好きならなおさら…)。ましてや、美味しくてカロリー高めの食べ物がたくさんそろうこの季節なら、それを辛抱することはなかなか難しいことでしょう。そしてブルダコフ教授は、「われわれはここで、進化に逆らっているのです」と話します。

飲酒後の暴飲暴食やめる方法・食べ物は?

とは言え、対策がないわけではありません。ブルダコフ教授は、「例えば夜に飲みに行く場合は、その前に、汗をかくトレーニングを取り入れることで、暴飲暴食を抑制できる可能性が高まります」とおすすめしています。

理由は、「一時的に代謝を上げることで、体内のアルコール処理が少し早くなり、食欲をそそる分子を減らしてくれます」ということ。

お酒を飲む前に胃に入れておきたい食べ物

またその場合のトレーニング後には、(お酒を飲む前に)アボカド、ナッツ、サーモン、チーズなどの高脂肪の軽食でお腹を満たしておくことをおすすめしています。

「すでにバーや居酒屋にいるのであれば、英国のパブでは定番の『ピクルドエッグ(ゆで卵のピクルス)』などがおすすめです」と、英国在住のブルダコフ教授言います。日本の居酒屋でしたら、アボカドサラダやナッツ、サーモンで補えそうです。これは消化に時間がかかるため、アルコールに影響される速度が遅くなるからということ。

教授によれば、「飲酒コンテストに参加する者の中には、競技前に油を一気飲みする者も見たことがある」とも言及しています。ちなみに、消化管の壁を保護しつつ食べ物をスムーズにおくる方法として、一般的にはエキストラバージンオリーブオイル、アマニ油やココナッツオイルなどの高品質な「植物性のオイル」を使用することがおすすめということ。 もちろん会社の飲み会の席や仕事の会食などで、油を単品での一気飲みすることはやめておきましょう。

最後に、パーティーや飲み会の最中であれば、サラダやフムス(中東諸国で広く食べられているひよこ豆のペースト)、クラッカーやポップコーンといった食物繊維の多い食べ物を優先的に食べましょう。こういった食品には、より早く、より長くお腹を満たしてくれるので、後にポテトチップスの大袋が食べたくなるといった食欲を和らげてくれることが期待できます。…とは言っても、あまり無理はしないようにしてください。そのストレスから、時間差で食欲が爆破する可能性も否定できないので。

Source / Men’s Health UK
Translation / Kazuhiro Uchida
※この翻訳は抄訳です。