トランプ政権メンバーの1人である、ジェフ・セッションズ司法長官。第一印象は優しそうな初老男性ですが、油断してはいけない人物です。

 ジェファーソン・ビューレガード・セッションズ三世氏は、人々に脅威を与えるはずです。

 今、事業上の対立相手であるロシアとの結びつきが調査対象となっている大統領に対し、その防御の第一線に立っているセッションズ氏。近い将来、セッションズ氏が誰のために闘い、誰と闘うことになるか、明らかになるときがくるでしょう。

 セッションズ氏は、警察組合と憲法上の保安官協会、さらに千鈞(せんきん)の重みある証拠をもって最前線で締まりという名の幕をはり、常に攻撃を受け止めている法律家たちの上に立つ司法長官なのです。

 長きにわたる不祥事と差別という慣行に染まる警察当局を、今後、連邦の監視下に置くということが確約できれば…。これに対し「度を越していないか!」と呼ぶような法執行団体に、セッションズ氏は背くのを避けるかもしれません。(警察と市民双方の)生活を守る大改革は、絶対に行われないことでしょう。

 セッションズが司法省在職中にならないものは、彼の助けと支持を最も必要とする人々のための司法長官です。セッションズは、警察における人種的格差や責任の陰に隠れている官吏による執拗な過度の権力行使によって、生活を侵された市民を優先させることはしないことでしょう。彼は貧困や犯罪の連鎖に対する、狭量な判決によって処分を受けた人々や、新世代の債務者刑務所を出たり、入ったりしている人々の味方になる司法長官にはならないと思われます。

 この点について、セッションズと彼の新しいボス、トランプ大統領は、いずれもはっきりしています。

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 昨夏、アメリカ合衆国の新司法長官は、1989年にこの権力者がぶちまけた、ある女性を暴行し、レイプした罪で告訴されたティーンエージャーグループに死刑を求めた悪名高い「セントラル・パーク・ファイブ」広告に関して、トランプを称賛したのと同一人物です。

 当然ながら、彼の検察官としての経歴や、司法省での恐ろしい仕事の性質が分かれば、セッションズは、検察官のための司法長官になることでしょう。彼の記録は、訴追上の違法行為(すなわち、犯罪事件において無罪を証明する重大な証拠を公表しないことによる)を犯した人々を特定して罰することにおいては、甘いと言えるでしょう。事実、彼は公式に、悪徳検察官を被告側弁護士の被害者とみなしていると言っています。こうした人を小ばかにした見解の代償は人的犠牲であれ、経済的犠牲であれ、莫大なものとなるでしょう。

アメリカ合衆国の新司法長官は
悪名高い「セントラル・パーク・ファイブ」広告に
トランプを称賛したのと同一人物であった

 セッションズの指揮下で、前線の検察官は、今や連邦薬物事犯の被告に対し、刑を積み上げる(すなわち実刑とする)よう、鼓舞されることでしょう。これは、連邦刑務所がすでに過密状態であり、刑務局の予算がすでに他の重要な司法省の優先事項、例えば、被害者の権利保護グループなどに支出するのにいっぱいであるこのときに、非暴力犯罪で有罪判決を受けたより多くの男女が、より長い期間、収監されることを意味します。

 国家が大量拘禁に背を向けようとし、犯罪率が収監率とともに下がっていることが判明しているまさにこの時、セッションズ司法長官は、正反対の流れに向かおうとしています。昨年、彼は極度に厳しい刑法の施行による影響を受けた家族に対し、一切の同情も共感も感じないとして、超党派の刑法改革論者に反対の意を表明しました。彼はまた、道義心に衝撃を与えるような明らかな不正行為があった場合でも、大統領の恩赦に対して、断固とした容赦のない反対の意を表明しています。

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 この世には、2種類の検察官がいます。有罪判決だけに関心のある者と、より広義の正義を掲げる者である。セッションズは、アラバマとキャピトル・ヒルで、彼が前者の検察官であることを明らかにしてきました。

 セッションズの指名承認公聴会は、彼が投票抑制者と不正投票神話の加害者のための司法長官になることを我々に思い出させました。ありもしない脅威から民主主義を守るという名目の下、彼は高齢者や貧困層、有色人種が有効投票を投じるのを困難にする、或いは不可能にするような投票制限を定めるため、より強い司法権を認める司法長官になるでしょう。彼は投票権を保護するために定められた、攻撃的な訴訟を起こさない言い訳を探す司法長官になることも考えられます。彼は、自身が不正投票の疑いのあるケースを訴追するのに大胆さを示してきたのと同じく、この職域において無思慮な司法長官になるかもしれません。

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 セッションズは、最高裁が投票権法を骨抜きにするよう鼓舞し、それに対して法的措置を支援するのを拒みましたが、突如方向転換するつもりもなければ、制限的な投票法の次の波に反発するつもりもありません。

 彼は、アメリカ的でも安全でもない、すでに世界の至るところで、われわれの名声を損なってきた移民法と移民政策を擁護する、恐るべき司法長官になることでしょう。

すべての新世代の男女は
正当な理由なく長期刑を受ける
運命にあることであろう

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 そこで、今日の問題は新司法長官が君臨する間に、過去8年間の漸進的な法改革が、いかに早々に中断されるかではないかについてです。問題は、新たな政治的選択によって、不正のあった恐ろしい歴史にどれほど後戻りしてしまうかであります。

 セッションズ率いる司法省は、我々が今日直面している大量拘禁に拍車をかけ、刑事裁判において人種的格差を大きく無視していた、レーガン時代へ逆戻りしているのでしょうか? セッションズがさしたる手柄もなく勤めていた1990年代のアラバマの恐ろしい政策に逆戻りするのでしょうか? それとも、わずか10年前に政党支持者が司法省の仕事の評価を大いに損ねた、ジョージ・W・ブッシュ時代の司法省に逆戻りするのでしょうか?

 この先、待ち受けていることに謎などありません。ジェフ・セッションズの長い公式記録からも、交際してきた味方からも、彼が作ってきた敵からも、すべてが明らかなのです。刑事裁判に対する近年の彼の見解や、アラバマやそれ以降に投票権に対し、彼が長い間示してきた姿勢から明らかです。

 彼が委員会のアンケートで適切に記入しなかった、または記入を拒否した、或いはトランプの渡航禁止令の作成に関わったことに関する、その後の質問で回答しなかった又は回答を拒否したやり方から明らかです。ホワイトハウスにおいて政治工作を行う悪意に満ちた人々に、彼が取り入った方法から明らかです。白人至上主義の勢いと人口構造の変化に対する恐れによって容認され、勢いづけられた法律家、政治家としての長いキャリアから明らかです。

 ジェフ・セッションズは、ドナルド・トランプに投票した人々にとっては、素晴らしい司法長官になります。しかし、トランプに投票しなかった何百万人もの人々にとっては、司法長官としてのジェフ・セッションズは、法の守護を最も必要とする人々や司法省の公正な仲裁者のために、国家が歩んだばかりの大いなる一歩を後退させる、もう一人の日常的に破滅をもたらす者となるでしょう。誰一人として、次に起こることに驚くはずはないでしょう。

Source / ESQUIRE US
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。