この数週間のイーロン・マスク氏はおとなしいものでした。テスラの非公開化に資金を提供する投資家が、あたかも存在するようなツイートで米証券取引委員会から制裁を受け、同社の会長を退任し、4000万ドル(約45億6000万円)の罰金を支払うことを余儀なくされた以外は…ですが。

しかし、そんなマスク氏が2018年11月5日(米国時間)、またもやツイッターをめぐる騒動に巻き込まれてしまいました。とは言っても、今回の騒動はマスク氏のパロディアカウントである「イタリアン・イーロン・マスク」とは関係ありません。マスク氏になりすました詐欺師が、ツイッターユーザーをターゲットにビットコインに関する儲け話を持ちかけ、そんな話にのってきた彼らの金を巻き上げたのです。

詐欺師たちはツイッターの認証済みアカウントを乗っ取り、名称や写真をマスク氏個人のツイッターアカウントに見せかけたうえで、少額のビットコイン投資で大きなリターンを得られることを約束するツイートで被害者たちを騙しました。

「クオーツ」紙の報道によれば、このアカウントは326回の取引で15万ドル(約1700万)を集めたと言います。

このアカウントは「コミュニティ全員に1万ビットコインをプレゼントする」、あるいは「テスラの会長から退くことになった。これまでサポートをありがとう」といったツイートをスペルミス混じりで投稿。これらのツイートによれば、偽のマスク氏は自らのアカウントに、640ドル〜1万3000ドル(約7万3000円~約148万円)相当のビットコインを預けたすべての人におよそ6400万ドル(約73億円)相当のビットコインを提供することを約束していました。

この詐欺でハッキング被害にあったツイッター公式アカウントには、映画配給会社のパテUK、衣料品小売店のマタランやスウォンジー・シティ・レディースなどのアカウントが含まれていました。

多くの人が騙されてしまったのは、これらのアカウントに青い公式マークが付いていたためでしょう。真面目なユーザーたちは、この詐欺ツイートがフィードに流れてきたときに確認したはずです…それがアダになったのでしょう。このマークを確認することで、「信頼できる!」と判断してしまったようです。

今回の騒動で、マスク氏と詐欺を結びつける「#enronmusk」や「#eponzischememusk」のようなハッシュタグが出てきたら、少し気の毒ですね。今回ばかりは、彼に責任はないようですから。

ちなみに、もしも「ビットコインを買うように」とすすめてきたのがあのイーロン・マスクであったなら、あなたは断りますか? 彼からなら、きっとあなたも買ってしまうことでしょう。そんな心理をついた、イタい事件でした。これを参考に、今後は皆さんもお気をつけください。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。