フランス政府はフランス大統領官邸である「Élysée(エリゼ宮)」のアカウントで、2019年6月29日に大阪で行われた20カ国・地域首脳会議(以下、G20)のインスタ動画を投稿しました。

 そこに映っていたのは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、イギリスのテリーザ・メイ首相、カナダのジャスティン・トルドー首相、クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事。そして、彼らが立ち話をしているその横でドナルド・トランプ米大統領の娘イヴァンカ・トランプ(以下、イヴァンカ)が、一所懸命会話に参加しようとしているのです。
 
 米ニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は、急速に拡散したこの動画に関してツイッターでコメント。

「一部の人にとってはとんでもないことかもしれませんが、事実、重要人物の娘であるということは職務資格になりません」と指摘し、「米国は自国の大統領にG20を機能させてもらいたいのであって、資格のある外交官を同行すれば何の問題もないのです」と批判しました。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 

オカシオ=コルテス氏のツイート:
「一部の人にとっては、これはとんでもないことかもしれません。事実、誰かの娘であるということは、職務資格にはなりえません。大統領がこういういい加減なことをし、それで世界が動くようなことがあれば、米国の外交姿勢が問われます。米国は自国の大統領にG20を機能させてもらいたいのであって、資格のある外交官を同行すべきであり、そのほうが何の問題もないわけです」

 イヴァンカは父親が大統領となり、補佐官としてホワイトハウス入りしました。それ以前はモデルであり、ファッションブランドを率いる実業家でもあります。というわけで、エコノミストでもなけえば外交官でもないのです。しかしながら、イヴァンカがサミットに出席するのは、これが初めてではありません。2017年のハンブルクサミットも、2018年のブエノスアイレスサミットにも登場しているのです。 
 
 イヴァンカが初めてサミットデビューしたハンブルクで、彼女は外交的な資格がないにもかかわらず、父親の代わりに正式な会合の席に着き、その行動は大きく報じられました。米「ワシントン・ポスト」紙のコラムニスト、アン・アップルバウム氏は当時、「選挙で選ばれてもいなければその資格もなく、心構えもできていないニューヨーク社交界の有名人が、米国の国益を代表するに最もふさわしい人物なわけですから…」と、皮肉たっぷりにツイートしました。
 
 ホワイトハウスにおけるイヴァンカと彼の夫ジャレッド・クシュナー氏の役割は、以前から物議を醸していました。トランプ大統領は自分の娘とその娘婿に国家の機密情報取り扱い権限を付与するよう当局者の判断に反する指示を出し、イヴァンカやクシュナー氏などが権限を得たプロセスは、民主党の調査の対象となったのです。 
 
 テレビ司会者のピアーズ・モーガンは、オカシオ=コルテス議員のイヴァンカについてのツイートに反応して、「まだ良いほうなのでは? イヴァンカは1年半前にバーテンダーをしていたわけではないのだから…」と投稿。議員歴が浅いオカシオ=コルテス氏が、以前バーテンダーをしていたことに対してチクリと嫌みを含めたのでした(ボストン大学在学中の2008年に彼女は父を亡くしており、大学を卒業後は家計を助けるためブロンクス区に戻ってウェイトレスやバーテンダーの職を務めたということ)。 
 
 これに対してオカシオ=コルテス氏も、「実際そうだったら、政府はまだマシになっていたことでしょう」と反撃。続けて、「政権内で、より多くの人が実際に生活のために働いた経験があれば、とっくに医療制度や生活賃金は達成されていたはずですから…」とコメントしています。 
 
 G20で各国のリーダーが親睦を深めながら、それぞれが思っている今後の外交について話している中、イヴァンカ・トランプがその輪の中で自己主張をしている姿を見るのは、やはり違和感があるものでしょう。…という批判を浴びながらも、今後も彼女らは何もなかったかのように多くのサミット等に引き続き姿を現すことでしょう。トランプ大統領である限りは…。 

preview for Ivanka Trump Is Just Another Wannabe Oligarch

 

 

 

From Esquire US
Translation / Keiko Tanaka 
※この翻訳は抄訳です。