• 研究者グループは、ラパ・ヌイ島(通称イースター島)で発見されたモアイ像の謎が解けたと考えています。
  • 考古学誌「Journal of Archaeological Science」で2019年11月に発表された研究によれば、この研究者グループは2体のモアイ像の周辺の土壌を分析し、「バナナやタロイモ、サツマイモの痕跡を見つけた」と言っています。
  • これらの痕跡は、この石像群が同地域の土壌の作物生産力を称(たた)えるものであった可能性を示唆しています。

ラパ・ヌイ島(通称イースター島)にそびえ立つ有名な石像群は、数世紀にわたって研究者たちの頭を悩ませてきました。そんな中、2019年に古代のモアイ像を研究する考古学者と土壌学者のグループは、「石像の謎が解けた」と歓喜に沸きました。

それはカリフォルニア大学ロサンゼルス校のジョアン・ヴァン・ティルバーグ氏らによる研究であり、ラパ・ヌイのアーティストであるクリスティアン・アレヴァロ・パカラティ氏ら現地コミュニティーのメンバーとも協力し、30年以上にわたってモアイ像の起源について研究を続けてきた成果でもあります。それは、周辺の土壌から得られたさまざまな手がかりから、この石像が同地域の作物生産力を称(たた)えるために設置された可能性を示唆しているということでした。

ティルバーグ氏らのグループは、テネシー州サウス大学の土壌研究者であるサラ・シャーウッド氏をチームに引き入れ、島の東側にあるラノ・ララク採石場(1000体以上のモアイ像のうち、ほぼ全てがつくられた場所です)の特に高い場所で見つかった2体の像の周辺の土壌を分析しました(研究者グループは、この採石場でのモアイ像づくりが紀元後1455年ごろに始まったと考えています)。

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THE EASTER ISLAND PROJECT
ラパ・ヌイ島東部のラノ・ララク採石場に立つ、2体のモアイ像。

それは考古学者らが紀元後1510年以前、あるいは紀元後1510年〜1645年に建造されたと考えている2体の像の足元の土壌を分析。考古学誌『Journal of Archaeological Science』で2019年11月に発表された研究結果によれば、「この土壌にはタロイモやバナナ、サツマイモのような食べ物の痕跡が含まれていた」とつづられています。

今回の発見では、この島の住民が採石場自体を食物生産のために利用していた可能性を示唆しています。シャーウッド氏は、「化学分析の結果を受け取ったときは、衝撃を受けました」と声明の中で語っています。

彼女が驚いたのは、土壌について…。ラパ・ヌイ島の大部分の土壌は状態が悪く、腐食が進み過ぎているか、植物の栽培に役立つ重要な栄養素が枯渇しているのですが、今回の分析によれば、採石場周辺の土壌に関しては、これまでの想定よりもはるかに土地が肥えており、水分やカリウム、リンなど収穫量拡大に不可欠な成分を豊富に含んでいたそうなのです。

「今回の研究は、『ラノ・ララクに立ち並ぶ全ての像は、単純にこの採石場から運び出す途中であった』という説を根本的に覆すものです」と、ティルバーグ氏は語っています。

また、「つまりこれら2体、あるいはラノ・ララクに立ち並ぶ他のモアイ像たちは、この採石場自体の神聖な性質を守るために、この場所に設置されていたと考えられるでしょう。モアイ像は土壌の肥沃さの象徴であり、ラパ・ヌイの信仰では、この像の存在が作物の生産を活気づけると考えられていたと推測できます」と、ティルバーグ氏はコメントしまいます。



Source / Popular Mechanics
Translation / Wataru Nakamura 
※この翻訳は抄訳です。